投稿元:
レビューを見る
かなり面白かった。想像と論理をパッチワーク的に繋いでいく記述スタイルが参考になったというか、自分好みで。リベラルアーツを学ぶことの真髄がこの本には詰まっていて、自分の不確かさや、歴史・社会・倫理との接合点を考えるきっかけを与えてくれる。読む人によって、受け取るメッセージが無限にある良書だと思った。
投稿元:
レビューを見る
知っている本やワードをマッシュアップしながら文章が展開されることで、難しい内容も分かりやすく読者に伝わるものとなっている。
普段は読書をするばっかりで、ほとんどできていなかったレビュー・感想だが、これもまた本書で言うところの一つの『贈与』ということになるのだろう。幾つかの本ではどちらかというとレビュー・感想は自分に視点が置かれており、なかなか私自身の中でも消化できていなかったのだが、本書を読んでストンと落ちてきたように思えた。
自分の為でも、特定の人の為でもなく、どこの誰とも知れぬ人がこれを読んで何かを考え、また違う誰かへとつながることでこの世界はなりたっているように思う。
普段なかなかできていなかったまとまった時間を作り、手を休めて考えないことを考えるいいきっかけにもなった。
投稿元:
レビューを見る
資本主義の社会において「お金では買えないもの」、すなわち贈与の正体を解き明かす本書。
哲学書であるため難解な個所も多いが、贈与について多様な切り口で語っており、議論が展開していくというよりは”贈与”の周りをぐるぐる回り続けている印象。
そのため、多少ついていけないところがあっても読み進めていけば、贈与について理解することができるようになっている。
「贈与」という言葉が強力な新しい思考の武器となると確信できた一冊。
投稿元:
レビューを見る
著者が何のためにこの本を発行したのか。
読者に何を期待しているのか。
という指針がよくわからないまま読んでしまったため、のめり込むことが出来なかった。
内容は決して浅いわけではなく、考えさせられる点へ多かった。
投稿元:
レビューを見る
交換と贈与という、2つのコミュニケーションの型を補助線に、世界を視る新しい眼をくれる本。読み進める程、なんてポジティブで優しい眼差しなんだろう、優しすぎだろうとすら思うけれど、ただそれこそ、贈与の仕組みを理解したからだ、という展開になっているところが秀逸。
筆運びの根底に流れている知性や勉強への愛が心地よい。
投稿元:
レビューを見る
親はなぜ孫の顔が見たいのか?
そんなどこにでも
ある問いから
本書はスタートします.
そして、贈与とは
お金で買うことの出来ないもの
およびその移動と
定義されています.
最初の問いに戻ると
親は子供が生まれた時から
世話をしたり、食費や教育などの
経済的な負担もしたりします.
また、その負担に対して
普通の親は見返りを求めません.
そして、その子供は
ある時を境に
親から与えたれていたものに
気付き
返礼しなければならない
と普通は思うはずです.
それが贈与という
お金では買えないものです.
ただ、親は常に
ここに不安があります.
自分の育て方(贈与)は
正しかったのだろうか?
という不安です.
そして、その正しさを
証明してくれるのが
孫の存在なのです.
自分の子供が孫に
また愛を与える.
そうすることで
自分が行ってきたことは
正しかったという認識が出来る.
だから、親は孫を求めるようです.
そういう論理からすると
親が孫を溺愛するのも
説明がつきます.
例えば
怖いお父さんが
柔和なおじいちゃんになるのも
その贈与の義務から
開放された結果なのかも.
一見、贈与なんて
難しい言葉だなぁ
と思うかもしれませんが
自分の気付かないところに
贈与が溢れていました.
コロナの影響で
当たり前な日常ではないからこそ
当たり前を維持するための
贈与に気付く.
1つの物事に対して
色々な見方をするために
かなり役に立つ本です.
https://amzn.to/3bKhoBE
投稿元:
レビューを見る
すごい本に出会ったと思わされたのだが、上手く説明できそうになくてもどかしい。
必要だがお金で買えないもの及びその移動である「贈与」というものの正体を理解するために、資本主義や言葉を介したゲームルール。疑うことがそもそもできない世界像という常識の総体。世界像があることで浮き彫りになるアノマリー
。アノマリーに気づくための装置としてのSF。散々一見関係の無さそうな知識体系を一通り巡ってきた後に再び戻ってくる贈与とはなにか?という論理展開が、ある種のドラマチックさを持っていて終盤は読みながらconecting dots感をひしひし感じた。
贈与を受け取る人の存在自体が、差出人に生命力を与えるというところに、日常に潜む喜びや、親と子を始め家族や愛する人との間にある無形の価値、社会性によって進歩してきた人類の根源的な動力源を見いだせる。
ところどころ著者の思考スピードに追いつけないところもあって咀嚼するのにもう何度か読み返したり考えを深めないと真の意味でメッセージを受け取れないし、受け取り誰かに伝えることでメッセンジャーたらんとしている自分に気づき、そこでまた理解が深まる。
本の装丁も、主旨を上手く表現していて良い。
投稿元:
レビューを見る
自分は生きている意味があるのか、迷子になっている人に是非読んで欲しい。
存在しているだけで意味があることを、心の底から理解できる。これは、単なるギブ&テイク本ではない。
そして、読んでる途中から、世界の見え方が一変する。大袈裟ではない。
なるほど、で終わらない、その瞬間から生き方に効いてくる哲学書は初めてだ。
投稿元:
レビューを見る
贈与は供儀(sacrifice)ではない。
この世のありとあらゆる「届いていた手紙」に気づき、受け取ってしまった贈与を次の人に繋ぐメッセンジャーになること。
きれいな景色を見て写真を撮り、SNSでシェアすることすら贈与のメッセンジャーになり得る、というのは目から鱗でした。最後にこの本の存在すら贈与であると締めくくっていますが、同じように誰かの絵や曲なども贈与なのですね。
投稿元:
レビューを見る
倫理学とか哲学の本は堅苦しくてとっつきにくいイメージがありましたが、この本は全然そのように感じることなくスラスラと読むことができました。
映画「ペイ・フォーワード」や小松左京のSF小説など、この本を通して興味を持った作品も沢山ありました。
メモ
・人間は哺乳類の中で最も難産な種
・贈与は必ずプレヒストリーを持つ
・天職は英語ではcalling
・若者からすると献血はコスパが悪い
・贈与は時として、呪いとして機能する
・贈与はそれが贈与だと知られてはいけない
・愛は不合理からしか生まれない
・不合理は合理性の後にやってくる
・現在のサンタクロースのイメージは
1931年にコカコーラ社がつくったもの
・贈与は差出人に倫理を要求して、
受取人に知性を要求する
・辞書の中のメリーゴーランド
・贈与は未来にあると同時に過去にある
・見ることと観察することは違う
・逸脱的思考とは、世界と出会い直すための
想像力のこと
・アンサングヒーローとは、功績が顕彰され
ない陰の功労者のこと
・贈与は市場経済の「すきま」にある
・「仕事のやりがい」と「生きる意味」の
獲得は目的ではなく結果
投稿元:
レビューを見る
贈与と交換について、身近なサンプルをピックアップして分かりやすく解説されているが、とても深い内容であり何度か噛み締めて読むべき一冊。
アノマリー、アンサング・ヒーローなど、キーワードから資本主義の先行きへのヒントを感じ取り、未来について考えるきっかけにしていきたい。
そうだ、また「ペイ・フォワード」を観ようかな。
投稿元:
レビューを見る
「贈与論」は内田樹氏をはじめ、何人かのかたが言及されているが、著者による丁寧な再構築がされている。面白い。
投稿元:
レビューを見る
長期思考につながる話。
贈与は祈りであり、受取人には想像力が必要。
祈りでもあっても良し、とできるかは贈る側の使命感にかかるのかも。
投稿元:
レビューを見る
贈与の原理とは何か、という問いに挑んだ1冊。様々なコンテクストを用いて説明されているので、贈与が我々の生活の中にどう存在しているのか、ということがよく理解できる。著者曰く、贈与とは連鎖であり、我々は生まれた時点で、親からの無性の愛を受け取ってしまっていることから、この連鎖に組み込まれている。この「受け取ってしまった」という一種の負い目の感覚が、返礼としての贈与を掻き立てる。そして、結果として、決してお金には変換することのできない、贈与、愛を享受することができる、というわけだ。今我々が恩恵を受け、更なる発展を目指している資本主義に対し、贈与という観点で切り込み、ここまで分かりやすくポイントを押さえた本はないと思う。何だか、優しい気持ちになれる1冊。
印象に残った箇所の引用は以下
「「金で買えないものはない」のではありません。そうではなく、「金で買えないものはあってはならない」という理念が正当なものとして承認される経済システムを資本主義というのです」(p.57)
「交換の論理の最大の弊害は、「意味」を無時間的に求めてしまう点にあります」(p.91)
「このように、他者のことを理解できないのは、その心の内側が分からないからではありません。その他者が営んでいる言語ゲームに一緒に参加できていないから理解できないと感じるのです」(p.134)
「常識は科学的探究を生む」(p.150)
「パラダイムという枠組み、つまり科学者たちの常識の総体が存在しなければ、そもそもアノマリーが発生することができないという点です」(p.156)
「正しい言葉は、正しい文脈を必要とする」(p.199)
「教養とは誤配に気づくことです。どれだけ多くを知っていたとしても、それだけでは教養とは言えません。手に入れた知識や知見そのものが贈与であることに気づき、そしてその知見から世界を眺めたとき、いかに世界が贈与で満ちているかを悟った人を、教養ある人と呼ぶのです」(p.242)
投稿元:
レビューを見る
理系出身若き哲学者デビュー作。初めて付箋を付けて読みました。資本主義は交換が基本だが、裏でこの社会を支えているのはお金で買えない贈与。その贈与を気付く為にはいろんな歴史を学びことが必要である。アフターコロナ時代は交換と贈与の両方とも重要らしい。