紙の本
なるほど
2023/09/28 15:09
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとつの作品(小説)に対するイメージが、
感じ方で変わるんだなと。
そんな読み方があったのかと感心。
作者さんが、本好きなんだろうな。
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本嫌いの元美術部員の荒坂と本の虫で大人しい孤立している藤生が 図書新聞を作る中、過去の謎解きもしながら距離が縮まる…。図書室謎解きものは 大抵『名作』なので難しい(笑) 赤い繭や舞姫、などだから、よっぽど本好きじゃないと難しい。でも荒坂君のキャラは嫌いじゃない。
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僕こと荒坂浩二は、消去法で選んだ図書委員になり、委員会の自己紹介で、「好きな本はありません」と一人だけ書名を答えなかったことから、司書の河合先生から逆に適任とされ、図書新聞の編集委員に任命されてしまいます。
同じ二年六組のものすごい読書家の藤生蛍も一緒に任命されます。
趣旨は「読書をしない荒坂君に本に興味がない人も手に取ってもらえるような新聞を作ってもらいたい」ということです。
僕と蛍は読書感想文を書いてもらえる人を校内で探します。
そして40代で、白木台高校に通算20年勤務する、生物教師の樋崎先生が、安部公房の『壁』という短編集に入っている『赤い繭』の感想を、美術部の緑川先輩がヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』を、同級生でオーストラリアからの留学生のアリシアが好きな八重樫徹が、森鴎外の『舞姫』の感想を書いてくれることになるまでが前半のストーリーです。
後半は樋崎先生の謎めいた行動と、校内に伝わる18年前、樋崎が最初に白木台高校を去った時に自殺未遂をした女生徒の噂話。
蛍に対する女子生徒らのいじめ。
そして、事件に対する僕の推理です。
美大志望でもないのに、なぜか絵の色彩感覚が非常に優れている、僕の特殊能力がどういうものなのかが、明らかになります。
そして、僕がなぜ本を読むのが嫌いなのか、本当の理由が明かされます。
最後はネタバレになりますが、ハッピーエンドです。
ただ、この本で一番多く出てくる安部公房の『赤い繭』は私は未読ですが、私は読みたいとはあまり思えない本でした。
ビブリオミステリーが好きなので、これからも続刊がでないかなあと思いました。
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YouTuberのベルさんの紹介から購入してみた。
とっても読み進めやすく、面白い。
読書嫌いの主人公が図書委員になり図書新聞を作る話。感想文を書くことで過去の贖罪をする先輩やら、先生の話…そして教科書にも載ってる物語とかもあってそれも分かりやすかった。
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タイトルに惹かれて、読んだ。
読書嫌いな荒坂と読書大好きな藤生。
対極にいる2人が関わり合っているのが新鮮でした。
読んでいる途中で荒坂の視覚感覚に「??」って
なりながら読んでたらラストの場面で伏線回収
されていて納得。
いろんな本の名前が出てきて楽しかった。
高校生で安部公房は渋い………
自分自身、図書委員やったことなかったけど
やれば良かったかなぁと少し後悔したほど
図書委員会の仕事は楽しそうでした。
同級生の八重樫、美術部の緑川先輩、
生物の樋崎先生と登場人物は皆濃い。
それぞれに執筆と引き換えに条件提示されて
それをクリアしながら学校で過去に起きた事件
を解明していくのは楽しかった。
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読めないには読めないなりの理由がある。
それはとても大事なことだし、どう対応して行ったらいいかはものすごく悩むところ。
それはそれとして、多分この物語は読書好きの方が楽しめるかなと思います。
だけど、主人公のように、読書嫌いでも色んなことに対して関心をもって考えることを厭わないなら楽しめるかもしれない。
というか、多分この物語の中に本当の意味での「読書嫌い」はいないんじゃないかと思うな…。
この物語には読書してるときに読んでる人が何考えてるのか詳しく書かれています。
何のために読書するのかということも。
それが唯一の正解じゃないし、それだけが正解でもないけれど、私はすごくうなずけるし、私自身も子供たちにそんな話をしてきました。
「読書好き」の見ているもの、考えていることをシミュレートできる物語とも言えるかもしれません。
うちの図書館には藤生さんがガンガン語りだしたくなるほどの蔵書揃っているだろうか。
荒坂くんが読みたいと思った時に手渡せる本が揃っているだろうか。
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既視感ならぬ既読感あり。《ビブリア古書堂》シリーズ+《古典部》シリーズ。あと「共感覚」が出てくるところは、《天才月澪彩葉の精神病質学研究ノート》も入っているのかな。高校が舞台になっていて、主人公の男の子は折木奉太郎+五浦大輔。女の子のほうは、千反田えるを篠川栞子に置き換えたような感じ。あと《BIS ビブリオバトル部》シリーズの伏木空も少々入ってるか。
ミステリー要素のある青春小説といえる。本好きの若い人にはおススメできるが、やはり「どこかで読んだぞ」感がぬぐえない。本(特に小説)の読みすぎなのか(?)、新鮮な感動を得られなくなってきた。少し悲しい。
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同じクラスで図書委員の読書嫌いな男子と読書好きな女子が、図書新聞を作ることに。その紙面に読書感想文を載せようと、3人に依頼をします。ただ書く代わりに3人それぞれ一筋縄ではいかない依頼を引き受けなければならないことに。
恋愛相談やら、題名を当てて下さいやら、ある小説を読んでやら、そういった依頼を受けるうちに様々な謎だったことが明らかになっていきます。
読んでいて思ったことは、「ビブリア古書店シリーズ」や「古典部シリーズ」の要素が見え隠れしている印象でした。
ただ、2作品と比較すると、この作品では、より身近な要素を取り入れているように感じました。図書委員や読書感想文、舞姫というキーワードは久しぶりに聞いたワードで、懐かしさが込み上げてきました。ただし、学校で学んだとされる〇〇(ネタバレになるので、隠します)は習っていないので、世代の違いでしょうか。
3人の依頼を一つずつ解決していくのですが、ミステリーの要素があり、意外な真実もあったりと色々と楽しむことができました。最後の依頼では、今までの伏線を回収すると、もしかして…と期待していたのですが、意表を突く展開ばかりが発生し、なんとなく興醒めしてしまいました。個人的には、“本読み過ぎな展開”を期待していました。
完全にミスリードでしたが、これはこれとして楽しめました。
ミステリーだけでなく、青春小説としても楽しめました。読書嫌いだった主人公が、段々と本に興味を持ったり、読書好きな女子が、周りの人に打ち解けたりと二人の成長も楽しめました。
続編がありそうな終わり方でしたので、ぜひ読んでみたいです。
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読書嫌いの男子学生が図書委員になったが、担当の司書から無茶振りされた。
何と図書新聞を発行せよと言う。
果たして彼は無事なしとげられるか。
その過程で、数々の謎が解き明かされる。
彼の読書嫌いはなぜ?
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読書が苦手な男子高校生の荒坂が、本好き女子高生の藤生とともに図書新聞の再刊を任される、同級生・先輩・先生に本の感想の執筆を頼むのだが、執筆と引き換えに交換条件を提示され、条件を解決していく中で、過去に学校で発生した事件に巻き込まれていくミステリー青春小説。適度にミスリードも散らされていて最後まで目が離せない。「なぜ本を読むのか」「どのようにして本を読むのか」など、作中さまざまな場面で本に対しての疑問が投げかけられる。本好きの人にもだが、本をあまり読んだことのない人にもおすすめの一冊。
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読書嫌いというのは、なんとなく理解できます。
自分が読書好きになったのは16歳になった時です。それまでは一冊も読まなかったし、むしろ本なんて退屈なもの読む必要無いだろうと思っていました。
それ以降は空気のように本を必要としている人生になりましたが、本を退屈だと思う人の気持ちも分からないでもないのです。
この本は読書が体に合わないと感じている男子が、暇そうだからと図書委員に立候補する所から始まります。
ひょんな事から図書新聞の係りに任命されて困惑する主人公。そこへ救世主として登場するのが活字中毒の少女です。
2人は読書感想文を生徒や教師に依頼するごとに、ちょっとした謎に突き当たります。彼らは謎を解き、図書新聞を完成させることが出来るのでしょうか。
いわゆる平和な事件が起こらないミステリーよりは、少し怪しげな雰囲気が漂っていますが、概ね平和な気持ちで読めます。
少々、この読書少女が類型的というか、モテない読書男子が居たらいいなと思い描くような女の子です(すなわち私)。そこがわくわくする所でもあり、若干の底の浅さを感じる部分でもあります。
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読書を苦手としつつも打算から図書委員会に所属した主人公はその浅薄さを見抜かれて図書新聞の作成を命じられる
共に作業することになった本の虫のクラスメイトと早速進めていくのだが
読書感想文の依頼にことごとく難問が生じてーー
******
本の面白さを伝えるのに読書が嫌いな人間からの視点で、というのが新鮮だった
けど、本が全く面白くなくて〜というのではなくて
特殊体質から読めないというのが
ちょっと反則では!と思わなくもなく
興味があるけど読めない、てのと
嫌い、てのは
自分の中では少し違うかも
でも、読書をした人の数だけ話の捉え方が違って
そこから思想だとか思考だとかを読み解いていくのは
他者理解のひとつの方法として大事だなぁとは思う
本を苦手としている人にもそんな観点から興味を持ってもらえるならいいなぁ
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「物語は人生のカタログ」という言葉がなんだかとても胸に刺さった。
自分のつらい現状を少しでも忘れて、本の世界へ救いを求める蛍ちゃんの姿にどうしても昔の自分を重ねてしまう。
物語に期待してしまうのは、自分に対して期待することが出来ないから。そんな蛍ちゃんが最後は浩二の力を借りて、自分の意志を通すところが読んでいて清々しかった。物語は未来のカタログであるだけでなく、明日を生きるための参考書でもあるのだ。
物語は生きる力になる。
作中に出てきたヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』を無性に読み返したくなった。
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ミステリの形態を取っており、読書のハードルは下げられている
しかも、こう言ったタイトルに有りがちなビブリオミステリではなく、考察の対象はあくまでも人間
これはより本書の主旨を踏まえたものと考えられる
目的からブレておらず、且つ物語として楽しめた
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活字中毒の同級生・藤生さんと図書新聞を作ることになった読書嫌いな荒坂くん。自分で書く手間を省こうと先輩や先生、同級生に読書感想文を頼んだら、恋愛トラブルや自分の過去、虐め問題に学校の怪談まで降りかかって大変なことに。無事、図書新聞を完成させて、放課後の図書当番を免れることは出来るのか?謎多き女子高生・藤生さんとこれまた謎多きイケオジ生物教師・樋口先生との三角関係も?といった内容です。
『メタルギア』で有名なゲームクリエイター小島監督が依頼もないのに推薦文を書いたと話題になっていたので読みました。「ビブリオものって何?」というレベルで小説を殆ど読まないのですが、タイトルやテーマから察するに私のような読者もターゲットなのでしょう。
人間関係もミステリー(?)要素も分かりやすくスラスラ読めました。読書とはどういうものかという作者が伝えたい主張もハッキリと出てくるので得られるものも単純明快で気持ちが良いです。作中に登場する本が中学校の国語で出てくる『少年の日の思い出』、高校の国語で出てくる『舞姫』、短編の『赤い繭』と読書嫌いな読者が興味・理解を持てるように工夫がなされてるのも好感でした。読書嫌いな主人公の荒坂くんが難解な古典を使って謎を解いていってもおかしいですしね。読書嫌いでも読めるし、読書好きは頷きながら読めると思います。前述の通り小説は殆ど読まないのですが、(良い意味で)大したことのないミステリーがドンドン湧いてきて解決していく感じは『氷菓』みたいだなと思いました。本当に読まない人間の感想ですよ(強調)。孤独に頑張る藤生さんや恋愛で悩む同級生の八重樫くんは可愛いですし、主人公の荒坂くんは生き様がカッコよく、影のある緑川先輩は共感出来るなど登場キャラクターも不快感がないので、キャラ愛だけでも読み進められるのではないでしょうか。
物語を通して荒坂くん視点で描かれるのですが、読書嫌いなはずなのに地の文でやけに小難しい表現をするのが気になりました(例:幕間に・便覧・一縷の・反駁・気色ばんだ・頽れる・詳らかに・悄然etc…)。荒坂くんは一種の天才でもありますし、学校のレベルも分からないからと自分を納得させて読み進めましたが、小説としては普通なのでしょうか?
>「一般庶民はね、小説を読んで初めて、自分以外の人間にも感情があることを知ったんだよ」
>「現実に嫌な人が現れても、たくさん裏読みをすることで『何か理由があるんじゃないか』『前向きに受け止めよう』って思えるんです。だからなるべく本を読むようにしています。いろんな考え方ができるように。他人の言葉をひとつの意味にしか解釈できないと苦しくなってしまうから、逃げ道をたくさん作っておけるように」
『ケーキの切れない非行少年たち』という本の中でも融通の利かなさや思考の硬さが被害感につながるとの主張がありました。読書を通して柔軟な思考を手に入れて物事を見ないと取り返しのつかないことになってしまうよというのが作中で示唆されています。下手にやると説教臭かったり、脅しのように感じてしまう部分を上手く物語で伝えてるなと感じました。
>「この世にある物語は、すべて予言の書になり得るからです」
>『本を読むことは現実逃避なんかじゃなく、現実に立ち向かう術のひとつだよ』
読書をしているからといって現実性がないわけではない。ただし、現実に立ち向かうには一歩進む必要がある。そういった姿勢を藤生さんが作中で体現してくれています。普段、本を読まない方が現実で問題にぶつかって読書をせねばと本書と出会う場合もあるでしょう。藤生さんから勇気と後押しをもらえるはずです。
>読書はいつか訪れるかもしれない未来をシミュレートできるものだとは聞いていたが、どうやら先輩は「少年の日の思い出」を読んで、謝っても決して許されない状況があるという思い込みに囚われてしまったらしい。
読書推奨小説だと思って読んでいたら読書の危険性にも踏み込んでいて非常に好印象でした。こちらは前述の解釈を増やして苦しまないようにするという考えが解決策になりますね。実際、荒坂くんと藤生さんは思考の柔軟さでトラブルを切り抜けていきます。
最後に、とにかく荒坂くんの生き様がカッコ良いので、一番印象に残った台詞を紹介しておきます。
>自分が相手に向けている感情と、相手から自分に向けられる感情が常にイコールで繫がっているわけではないし、そうである必要もないと思っているので、嫌われても落胆しない
荒坂くんのようにありたいものです。