投稿元:
レビューを見る
献本御礼。
電子書籍で献本いただけるのはありがたい。
マービンミンスキーのエッセイ6本を中核にしてる本。
書籍としては、全体のかなり多くの部分が解説や「私とミンスキー」みたいな寄稿で、その部分は1980年代MITのコンピュータ研究に興味がないと実感がわかない。(僕もLogoとかよくわからんし、登場人物をよく知らないで三国志のとあるエピソードを読む、みたいになる)
エッセイ本体は特定の予備知識に依存するようなものでなく、深い洞察多くて面白い。
読んで具体的な役に立てるためというより、ロマンのためのものだと思う。
「現実社会の記述言語として数学があり、現実社会の模倣としてティンカートイ, マインクラフトみたいなものがある」みたいな考え方は、一定の層のロマンを刺激するし、僕も一番ぐっときた。
好悪の扱いが少ないことや体育に対して何度か出てくる嫌悪なども面白い。
ファスト&スローにおける「システム2」についての話が多いと感じる。
1.無限の組み立てキット
は、メカノやMakeblockみたいな規則性あるパーツ型の組み立てキット(ティンカーキット)がなんの材料にもなり得る、それは数字にも似ている。一方で人間はストーリーがないと興味を示さない(から数学に興味を示さない人が多い)けど、なんの材料にもなり得るということはストーリーにならないから、ティンカーキットそのものを教えるのではなく、どういうものを作りたいかに注目すべきということ。問題の整理もティンカーキットという言葉も素晴らしい。
2.数学を学ぶのはなぜ難しいか
は、さらにその話を一歩すすめて、「計算という作業を反復練習させるだけではなくて、思考や発見を伴う幾何や統計みたいなものに早い段階から触れさせるほうが数学的思考を面白いと感じさせられるのではないか」という話
統計でこんな問題に答えるなどの例はどれも面白く、ファストアンドスローで言うシステム2の鍛え方の話にも近い
作業を減らして線形/非線形とか、物事を表現する数学用語を増やし、数学的考え方を重視しようという指摘は面白い。
3.年齢別クラスの弊害
人間が物事を理解するやり方は一様ではないし、一様にすることの弊害のほうが多いから、年齢別のクラス分けや決められた時間割も考え直したほうが?という内容
うーん。多分そのとおりなんだけど、強制から学ぶことはかなり沢山あるので、そういうことも考慮すると、実際はどうするのがいいのかしら。このエッセイは短く、具体例は飛び級に少し触れるぐらいであまり出てこない
4.ロールモデル, メンター, インプリマから学ぶ
3の内容を更に進めて、「子供は真似したい対象のことをまるごと学ぶので、学科を教えるより師匠みたいなものとマッチングさせるほうが良いのでは?」的な内容
ほとんどの学校教育よりも親が重要だったりするので、それはわかる。一方で、スポーツ選手がスピードあるのは親の遺伝なんだけど、エリートの家に生まれて頭いい人がいつも周りにいた環境だったことを遺伝的と呼ばないのはちょっとアンフェアな��もする
5.一般教育を問う
「何かの専門家になったあとで一般教養をやったほうがいいのでは」という話。
同感するところ多い。社会人になってから勉強が大好きになる人はけっこういる。
ゲームであれ絵画であれ、何か本気で打ち込んでいることがあると、それをとっかかりに他のものも学びやすい。何より一番大事な「思考の仕方, 大きな問題を解ける問題に分割して説いていく方法」を磨いていける。遊びに見えてもそれがマインクラフトみたいなものだったら、そっちを精一杯やらせるほうがいいんじゃないか。
一方で、そういうのがない人もいるが、それについては語られない。それはミンスキーの話全部に共通しているので、アンフェアではない。基本的に全エッセイ、「やりたいことをうまく伸ばしていこう」みたいな話に通じている。
アンフェアなのは4.でも出てくる体育へのヘイトで、典型的なギークの価値観で面白かった。
-運動能力は遺伝子なのでそれを褒めるのは間違ってる
-多くの子供にコンプレックスを与える
-肉体的優位性を褒めると、広く言うと暴力による問題解決の推奨につながるのではないか
このへんは芸術や知的思考さえ練習でなんとかなり、遺伝はほとんど関係ないと様々なケースで立証してるマシューサイドの「非才!」とあわせて読んだほうがよさそう。
(マシューサイドはPh.Dだけど卓球のオリンピック代表にもなってる)
6.教育と心理学
サイバネティクス、フィードバックループといった心と行動の仕組みをより配慮して教育をやろう、という指摘
面白い。そのために擬似的な社会を作れるような、複数のロボットやコンピュータシュミレーションをやってみよう、という考え方はロマンがある。
アラン・ケイのEssay1
現実社会の模倣としてのティンカートイ、という考え方は面白い
ロマンある
投稿元:
レビューを見る
人工知能の父・Marvin Minskyの6つのエッセイとそれに付随する"ミンスキアン"たちの寄稿文からなる書籍。さくっと読めるけど、奥深い。
これ読んで次はMinskyの「ミンスキー博士の脳の探検」を読みたくなったのでポチった。
投稿元:
レビューを見る
変わった本である。ミンスキーのエッセイ集である。エッセイ本文よりも、あとがき、訳者の解説、さらに訳者以外の寄稿者もいる、そのほうが本人のエッセイよりも多い、という不思議な本である。
投稿元:
レビューを見る
これは良書です。
「プログラミング教育を進めていく人の必読書 第1位」
だと思います。
プログラミング教育に対して後ろ向きな人が多い中、
この本は「プログラミング教育で培う資質・能力」について書かれています。
(もちろんそんな単語は使われていませんが・・・)
今までプログラミング教育の勉強をしようと思ったら
「プログラミング教育の入門書」
「プログラミング技術の専門書」
のどちらかしかありませんでした。
この本は
「プログラミング教育の専門書」
です。
プログラミング教育よくわからんのに主任になった!
という人は読んでみてください。
オライリーのホームページで電子版も購入できます。
投稿元:
レビューを見る
主要な部分は小さな部分がいくつも集まって出来上がっていることや何のために数学を勉強しているのか、こういったことが歳を重ねるにつれてわかった。これを昔の自分に伝えたいって思ったときもあったけど、たとえ伝えたとしても伝わらない。実際に実感するまでは気付かない気がする。このことを子どもに理解してもらうのは難しい。
自分に合うメンターをみつけるためには積極的に動くしかないのか、、運命的なものなのか、
もし年齢別のクラスがなくて、好きなことだけひたすらできたのだとしたらもっと深く学べていたのかもしれない。ただ、広く学んできたことでいろいろ繋がることもある。どっちがいいとかないけど、とりあえず「考えることを考える」ことが大切。完璧にこの言葉を理解はしてないけど。
投稿元:
レビューを見る
タイトルは教育本だが、内容は人工知能の父といわれるマーヴィン・ミンスキーによる教育に関するエッセイ。
現在、画像認識をはじめとする人工知能と言われている技術の主流は、多くの「結果」を学ぶことで、その「特徴」を見出だす方法をとっている。
画像認識の場合、新しく与えられた画像(情報)と、蓄積されている結果や特徴と照合し、何の画像か推測する。
そのため「意味」を理解して処理しているわけではない。
一方、マーヴィン・ミンスキーは「心の働き」の側面から人工知能の研究を行った。
そのため「人間はどのように学ぶのか」は彼の人工知能研究と表裏一体だったろう。
その「学び」についての6つのエッセイが本書のメインである。
ただしミンスキーは2016年に亡くなっており、本書におけるエッセイの分量は全体の半分ほどである。
残りは、やはり人工知能の父とよばれるアラン・ケイによる寄稿、各エッセイに記載されているミンスキーの同僚や研究者による「まえがき」、訳者による解説で構成されている。
ミンスキーのエッセイが半分だけでは一見、詐欺のようだが、この寄稿やまえがきにより、エッセイだけでは抽象的な教育論にしかならないところ、それがどういう意図で書かれたもので、人工知能とどう関わっているのかが分かるようになっている。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りた。
オライリーが出す教育の本ということで、プログラミング教育に役立つかと思い借りたが、「この本を読めばプログラミング教育で教えることができるようになる」というものではない。
裏表紙にあるように、「新しい学びの議論に、新たな視点を与えてくれる一冊」で、私の印象は「教育学部の教授先生が語ったためになる格言集」に近いかなと。
人工知能の博士によるエッセイ集という形式であり、こどもの視点だけでなく、「動物はどのように学ぶのか」など、教える立場が意識する考え方を広げてくれそうな話題が多い。
投稿元:
レビューを見る
オライリーの書籍。教えてもらって初めて読んだ1冊目。図書館で貸し出している気軽さに、驚きました。
教育の考え方が偏ってなくて、伸ばせる能力を伸ばせるタイミングで伸ばす〜という個別支援は共感しました。時間割とか学年別とかに縛られずに、自分で時間割を立てて実施していく学校を創りたいなと思っていた時期がわたしにもあって(今回初めて言語化しました)その時のことを思い出しました。まさにそれがモンテッソーリ教育で、ヨーロッパでは何校も運営されてるはず…。
同じ部分に魅力を感じている著者マーヴィン氏に、畏れ多くも同じ考えだわ〜と思い、嬉しくなりました(^^)
星3つなのは、期待し過ぎていて…汗
非常に読み易い本でした。