投稿元:
レビューを見る
これは面白い本である。
商売人が「ちりめんじゃこ」を捕獲するときに,その鰯の稚魚たち(ちりめんじゃこ)と一緒に網に入ってきてしまう海の小さな生き物たちを事細かに観察するための本である。商売人にとっては邪魔者の小さな生物たちが,この本の主役なのである。
この小さな生き物たちのことを,愛好家はチリメンモンスターと呼んで,教材にしているのだ。生物多様性の…である。そして,それに合わせるように,チリメンモンスターを販売するところも出てきた。うれしい限りである。そしてそして,わたしも,小学校6年生と一緒に,チリメンを使って分けて遊んだこともあるのだ。サークルでもやったし…。
今回,このような絵と写真と説明入りのめっちゃ詳しい本が出来たおかげで,珍しいモンスターを見つけるだけの行為(これはこれで楽しいのだが)が,本格的な学問への入門となり得るのではないかと思えてきた。
本書に出てくるチリメンモンスターたちは,まだ幼い体であり,しかも生の姿ではないので,生き物の同定が難しいのである。そこで,その道の専門家が何人も登場して,まじめに生き物の同定と説明をしてくれているのだ。
「はじめに」に,西田百代さんは「海洋生物の各分野の高名な専門家の指導のおかげで,内容の濃い図鑑に仕上がったと思います」と謝辞を書かれている。
いやー,見ているだけでも楽しいし,モンスターを探してみたくなる。