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うーん、思わず読みたくなって、ブックオフオンラインで8冊注文してしまった。買いためている三島の本も未読が10冊以上あるというのに。まあ、まず手を出すのは川端「山の音」だろうか。これは、いま本棚にあることを確認した。次は谷崎「瘋癲老人日記」かな。おやおや、注文したのはすべて新潮文庫だけれど、本書(中公文庫)の広告を見ると谷崎の本が並んでいるではないか。中公文庫に刺激されて新潮文庫を買う。とはいえ、いずれにせよ古本だから出版社には一文も入らぬか。一方、川端の広告がないというのは中公からは1冊も出していないということか。どんな理由があるのだろう。さてさて、三島による谷崎論・川端論。内容はだいたい難しくて理解していない。谷崎が戦時中でもおいしいものを食べていたとか、川端は沈黙が得意で、30分ほどまったく会話なしで、どうしていいか分からなくなった新人の女性編集者が泣いてしまったとか、どうでもいいようなエピソードだけが頭に残っている。まあしかし、それぞれの作家の人柄が分かったのが良かった。さらにそのあとは川端「眠れる美女」といくかな。うーん、楽しみだ。
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世界的な二大文豪を三島由紀夫はどう読んだのか。両者をめぐる批評・随筆を初集成した谷崎・川端文学への最良の入門書。文庫オリジナル。〈解説〉梶尾文武
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谷崎の美意識が陰影にひそむカオスの反映だとすれば
三島の美意識は基本的にコスモス志向である
それは、ある意味じゃ町人とサムライの違いであり
またある意味では
個人主義に対する捉え方の違いであった
戦中戦後の日本社会における全体主義的モラルを前にして
自分の世界に引きこもっていったのが谷崎であり
パフォーマンスに走ったのが三島である
川端の美意識はまた両者と異なり
秘中の花、陰影のなかの秩序を見出そうとする姿勢にあった
影のなかから鬼が出るとも蛇が出るとも限らないことは
川端自身、承知していただろう
それすら飲み込む概念が「魔界」であり
してみると「魔界」に佇む川端康成こそ、秩序そのものであった
しかし三島由紀夫の死がつきつけたのは鬼や蛇どころじゃない
おそらく無限の虚無である
谷崎ならば、それすら陰影に押し込めて
知らん顔をできただろうが
魔界の秩序たる川端は、虚無を取り込もうとしたところで
力尽きてしまったのだった
川端のそういうところが三島は好きだったのに違いない
おそろしいことである
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さすがは三島由紀夫、谷崎潤一郎の諸作から本人の精神遍歴を辿り精緻な作品分析につなげていく。
時に批評家の論評を読むよりも同業者である作家の視線の方が本質を捉える機会が多くある。
『金色の死』は未読だが、作品内の美学的な観点から三島が導き出した谷崎論は、行為でもって最高の美を現出させようとする三島の未来が垣間見えた。
谷崎目当てだったので川端の方は未読です。