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夫婦で中華ラーメン店を営んでいる主人公だが、妻が急死、このラーメン店は夫婦でなければ切り盛りできないと、店を閉めてしまう。
あるとき、本に挟んであった一枚のはがきを見つけ、全国の灯台を巡る旅に出る。
そのはがきは昔、妻あてに届いたもので、全く心当たりがないと、放念していたはずのはがきだったが。
そのはがきが発端となり、今まで知らなかった妻の過去をたどることとなり・・・と少しミステリー的に進んでいくが、そんなたいそうなものでもなく、妻が過去を隠していたというほどのことでもなく、宮本さんらしく人情味も絡めながら、まぁすべて明らかになってよかった。
最近、独身時代に何十億円という莫大な遺産を相続していながら、夫に隠して結婚生活を送っていた、というドラマを見ましたが、そんなことは異例にしても、おしゃべりな私は些細なことでも隠せおおせないだろうなと。
なんちゅう感想でしょう。
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読了後、無性に中華そば(ラーメンというよりシナチクや海苔がのってるような)食べたくなった。
できれば康平の作る”まきの”のラーメンが。
それにしてもなぜそこまで、頑なに小坂真砂雄をかばい続けたのか、夫にも言わず見事に墓場まで持っていったね。
”神の歴史”(本)に挟まれた葉書によって真実に辿り着くわけだけど。
”賢いということは人情の機微がわかるということ”
この小説には惣菜屋のトシオといい、カンちゃんの愛人の息子、新之助、その妻の由衣といい賢い人しか登場しない。
人間讃歌の小説。読後感、さわやか。
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中華そば屋の店主、妻を突然亡くし、店を閉め、隠居のような暮らしをしているとき、妻宛の古い葉書が見つかり灯台めぐりを始める。
立派な3人の娘息子、近所の友だち、新たな出会い、穏やかな日常、日々の読書、妻の秘密。
宮本輝の本を読むと、いつも大人になった気がする…
覚え書き
カンちゃん→雑学が人を面白くするとかいうようなこと=読書のススメ。
「これを読んだら心の中に数千人の人間の歴史が生まれてるよ」など。
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久しぶりの宮本輝作品。相変わらず気持ちの良い読後感を楽しませてくれました。
58才の妻を急死で失ったラーメン屋店主牧野康平。
腑抜けの様になって暮らす康平が、30年ほど前に妻が受け取った「知らない人からの」葉書を見つける。それは本当に知らない人からだったのか⁈
灯台巡りをしたというそのハガキの謎から、灯台を巡る旅を始めた康平。ラーメン屋の周りの下町の人々や家族との関係を通し、人としての在り方を作者独特の柔らかな強さで編み込んでいく。
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板橋で中華そば屋を営む店主が、偶然本に挟まった亡き妻あてのハガキを見つけたことをきっかけに灯台巡りの旅に出る話。
60歳を超えた主人公と家族や商店街の友達、若者との交流や人情を通して、人は老いてからの人生をいかに生きて行くべきかについて、考えさせられる内容だった。
灯台というものにこれまで興味がなかったのだが、今度機会があったら是非見に行ってみたい。
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宮本輝『灯台からの響き』(集英社)読了。東京・板橋で中華そば店を営む康平。
ある日、本のあいだから古い葉書が見つかる。
当時、大学生だった小坂真砂雄から亡き妻・蘭子宛に届いたもの。
どのような関係だったのか、今更ながら気になり出した。葉書に書かれている「灯台巡りをしました」
その一文に引かれるように、康平は灯台を回る旅に出る。
その間にも幼馴染のちょっとした事件(?)があり、康平も忙しくなる。
楽しさが伝わる旅の様子や、小坂真砂雄と蘭子の関係も含め、読み終えたときは優しい気持ちになれる。
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人生の終盤。
誰もがふと自分の人生を振り返る
遅すぎることなんて何もないのかもしれない。
声高に何かを主張するのでなく
何気ない日常の中で感じられる
その気配が背中を押してくれるような
優しさを感じながら読了。
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康平さん同級生なんだ。気持ちよくわかる。登場人物の友達も含めて、そういう時代だったんだ。僕らの時代。
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30年前に謎だった葉書が妻の死後2年経って本の間から現れる.まるで神の啓示のように.本の題名も「神の歴史」.その葉書が指し示す未来が灯台巡りを軸にしながらあっちへ行ったりこっちへ来たりしつつ,人間関係を修復したり絆を深めたりまた新しい出会いがあったりと宮本氏の巧みな導きで,納まるところに納まり謎も解け,そして何より康平に生きる力が戻ってきたことが嬉しい.妻の蘭子さんはなんと偉大だったのだろう.
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流転の海読み終えたあと久しぶりの宮本輝だった。読み始めて、ああ宮本輝だなって思ったが、面白さは中くらいなりって感じだな。
奥さんの蘭子さんが心筋梗塞で亡くなってから二年、それまで夫婦で営んできた板橋の中華そば屋を再開するまでの話なんだが、主人公の康平さんが、大変な読書家で840冊くらいの蔵書があって、作中にも雪国だったり、森鴎外の渋江抽斎という人の話が出てきたりで、自分と重ね合わせて、スッと入っていけたのだが、最後の蘭子の謎を解くことになる小坂さんというカーナビソフトの制作会社の社長と訪れた出雲の日御先灯台での彼の話を聞いたくだりは、あまり、感動も呼び起こさずに終わった。強い刺激はない小説なんだけど、所々、人の心の機微を拾い上げることについて、じっくり味わうと、それはそれで面白く読めるのかもなと思う。
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2年前に妻を亡くした、中華そば屋まきのの店主、牧野康平。妻宛に昔届いた葉書をもとに灯台巡りをはじめる。
大事件が待っているわけでなく、人が色んな人と関わりながら生きているさまを描いている。歴史の上では名もなき人間でも、身近な者からすれば、唯一無二のかけがえのない人間な訳で、康平の愛読書、「渋江抽斎」もそのような内容なのではないかと推察する。
宮本輝さんの作品は読んでいて丁寧に、前向きに生きていこうと思わされる。灯台巡りもやってみたくなった。
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山陰中央新報掲載で読む。二人三脚で経営してきた小坂夫妻のラーメン店は、妻の逝去で店を閉じている。60歳での自営業、家計の状況にもよるけれど隠居もありだ。でも、子どもが大学院に進みたいと希望して支えてやりたいし、かつての贔屓客からあの味の復活を望まれて一念発起、店の再開を目ざす。地味だけど、毎朝細切れに読む新聞小説として期待を寄せる。そこに、タイトルどおり灯台巡りの旅が絡むんだけれど、その旅の動機は亡くなった妻宛てに30年前に届いていた小坂真砂雄という男性からのハガキに起因する。と、なにやら噛み合わせの悪い歯車のような二つの展開があって、最後は我がまち松江を舞台に終わるのは嬉しいものの、テーマをとらえきれぬうちに終わってしまった。
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灯台巡りと妻の生前の謎が二大テーマなのだが、肝心のそのリンク部分がイマイチ。長編なのに印象が薄いのもその辺りに原因がありそう。
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妻を亡くしてから鬱々と過ごしていた60代の男性が、偶然見つけた古い葉書がきっかけで日常を取り戻していく再生の物語。
しょぼくれたオヤジという表現がぴったりの主人公が、大した事件が起こる訳でもない日々のなかでぶつぶつと呟く心の内が、これもまた特別珍しい内容でもないところがいい。
主人公が夫婦だけで切り盛りしていたのが、シンプルな中華そばが売り物の小さな店であること、それが板橋の商店街にあるという設定も、何気ないけれど見事にはまっている。こういうところが、ベテラン作家としての安定感のある上手さなんだろうと思う。
いい人ばかりが登場して、万事うまく運んでしまうのは出来すぎだけれど、こんなご時世だから安心して読める作品があることも救いだ。
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何度も読み直した一冊でした。もうじき、入院するので、この本だけは、なるほどって分かるまで繰り返しました。また、戻ってきたら、本の中に紹介された本を読みます。でないと、カンちゃんに笑われてしまいそう。