電子書籍
シュール
2020/07/29 20:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
嫉妬や憧れが詰め込まれた、女同士の話。速水咲子という女性の得体の知れぬ存在感が怖い。結果、翻弄される二人の女性たちの運命は明暗を開けることに。
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美人で才能溢れる織部妙は、新人作家の橋本さなぎの文体に惹かれていく。そして、とあるパーティーで出会った橋本の秘書の初芝に心惹かれていき…
レズビアンの妙と、ゴーストを立てている初芝、そしてアバターの咲子。容姿と才能を兼ね備えた妙に比べ、容姿が劣り今まで辛酸をなめてきた初芝は対称的でした。そして初芝に寄生して生きている咲子と、容姿にコンプレックスを持っている初芝の関係は、いつ破綻しても仕方ない関係だった様に見えました。ラストも変にドロドロしてなくてドライな終わり方が良かったです。
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2人の小説家と1人の秘書、3人の女が織りなす心理サスペンス。
面白かった!!
美人の作家2人と太った容姿に恵まれない秘書。
美人であることをもてあましている作家、優れていても冴えない容姿故に嘲笑の対象となってしまう秘書。
良い話系より断然面白い。
でもやはり美人に生まれたかったと思う。
(図書館)
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7年目のキャリアの作家織部妙、美貌の新人作家橋本さなぎとさえない容姿の彼女の秘書初芝祐。
文壇のパーティーで顔を合わせる程度という、かするほどの関係で終わるはずの三人の人生が交差していく中で、芽生えた疑惑。
その真相と三人の関係、サスペンスフルな展開にドキドキが止まらない。
新人作家に秘書がいるなんて、と私でもびっくりする。元が取れるのか?というか、売れっ子作家ならまだしもいったいどんな仕事があるというのだろう?なんて考えながら読む。
織部妙の初芝祐への興味、執着。そこに作家としての業が加わってどんどん深みにはまっていく。いやぁ、ドキドキしましたよ、いろんな意味で。
恋愛って、体力が必要ですわね。
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傷つけられるのが当たり前の世界なら、なんとしても反抗したいんです。間違ってますか?
中盤で出てくるこの言葉には胸を打たれた。
才能があっても容姿のせいで馬鹿にされてしまう初芝。
完璧な容姿を持つけれども誰かに寄生しないと生きていけない速水。
その2人の間に挟まれる織部。
三者の性格は全く違えども、それぞれの女の生きた方には、どこかしら分かる部分が含まれている。
最終的に蛹から蝶のように織部の元から旅立っていく初芝と速水。
残された織部がいつだって自分の事は分からないと思う様は、小さな頃に蝶の羽を自分で毟ってしまった事を大人になった今でも抱えて飛び立てないままのようで少し切ない。
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3人の女性を中心とした愛憎劇。
「愛憎劇」と言っても、登場人物がサバサバしているので、ドロドロ感はほとんどない。
近藤作品はほとんど読んでいるけど、たまにある「読まなくても良かったかな」と思える内容。
女性作家の綾部妙は、デビューしたばかりの「橋本なぎさ」が気になり、パーティーで初めて会ったなぎさの馴れ馴れしさに引きながらも、なぎさの私生活へ入り込んでいく。
そこには女性同士の恋愛の駆け引きもあり…
終始、自分の容姿端麗さを主張する主人公に読んでいる方も引く。自分がきれいだから、容姿に問題のある女性に惹かれると言うところも、賛否が分かれるところだろう。
「橋本なぎさ」がきれいに飛び立ったところで、物語が終わっており、作品としては大円満なんだろうけど、読んだ後は主人公と同じく、何も残らず、読者も「よくわからない」の一言に尽きる。
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女同士のあるあるって感じです。
小説家センセたちの、心の中の黒いモノとかも見られたし。後味は良くなく、速水と名のる女性が活き活きしだしたところからはもっと不穏な空気が流れ出して気持ち良くはなかった。
普通でよかった、と自分のこれまでの道のり改めて思ったり。
面白かったかと問われれば面白かったかと応えるけれど。よまなくていいジャンルだったかと問われればうなづく。思いっきり頷く。
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初読。図書館。主人公が小学5年生のときに蝶の羽化を助けようとして死なせてしまったという冒頭の話がこの物語を象徴している。蛹から蝶への変身は、誰かの手を借りたのでは失敗に終わり、自らの意志で飛びたたなくては生き残れないのだ。主人公は蝶なのか、いまだに蛹なのか。飛び立った2人は蝶になったのか。虫と違って人間はわかりやすく羽化しない。自ら望めば何度でもいろんな風に羽化できるのかもしれないと思った。
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引き込まれて一気読みしました。
ドラマを見ているような読みやすさです。
女性のコンプレックスに対する葛藤が、決して暗い印象を与えることなく坦々と描かれています。
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初出 2019〜20年「小説NON」
アラフォーの美人作家綾部妙は、新人の美人作家「橋本さなぎ」ではなく大柄な秘書の初芝裕に惹かれる。
橋本の小説は映像化されることになっていて嫉妬するほどおもしろかったが、書いているのは初芝で、橋本(本当は速見咲子)は外見に引け目を感じる初芝が自由に書けるためのアバターだったことを知る。
綾部は初芝が速見を切り捨てて札幌に移住するのを応援したが、今度は速見が綾部のマンションに入り込んで、やがて同居する。上京した初芝が訪ねてきて速見と出くわしたことで、初芝は「橋本さなぎ」のペンネームを棄てて速見に権利を渡す。そして速見は出て行った。
不器用な3人の生き方が切ない。
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面白くてスラスラと読み進めた。
女性の三角関係を描いた物語は初めてだったので新鮮でドキドキした。
作家の才能に溢れいるのに、自分の容姿に自信がない初芝は、咲子というアバターを利用して本当の姿を隠しながら作家活動をしている。自分の姿を曝け出せずにいる蛹だった。
物語が進むうちに、咲子も自分の容姿のせいで辛い人生を送ってきたことが明らかになる。美しい容姿を有しているが他に才能なさがないと思っている彼女は、誰かに依存(寄生)しないと生きていけない。自分がしたいことをする、自由な生き方がわからない蛹だ。
一方主人公の妙は容姿端麗、本も売れ続けていて作家として活躍している。彼女の目線で蛹たちがどう変化していくかが描かれている。そして読み手からすると、この3人の対比が面白かった。
個人的には妙に本当に愛せる人が見つかって、幸せに生きてほしいと思う。
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甘美でありながらひりひりするような、女性作家たちの奇妙な関係を描いた物語。容姿が美しいことと、素晴らしい才能を持っていること。どちらも持つことができるのが一番幸せであることは間違いないのだけれど。どちらかしか得られないのなら、いったいどちらが幸せなのか……。
美しい容姿とある程度の才能をもった織部。美しい容姿と素晴らしい才能を兼ね備えた橋本。そして冴えない容姿ながら、なぜか織部が強烈に惹きつけられる初芝。この三人の女性を巡る関係と、彼女たちの真の姿を描いた物語は魅力的ながらも、どこかしら毒々しく思えました。美しくてもそうでなくても、外部から差別されたり揶揄されたりすることはあるのだろうし、外見だけがすべてではないのは確か。それならもちろん才能に勝るものはないだろう、と思うのですが、才能を嫉妬されたことで容姿の批判に繋がってしまうという悲劇もまたやり切れません。ただし、本を読む側からすれば、作家の容姿なんてまったく気にしないんだけどね…
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+++
小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻滅してしまう。織部の興味を惹いたのは、橋本の秘書である初芝祐という女性だった。初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった…。「第13回エキナカ書店大賞」受賞作家の最新作。
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ミステリでありながら、恋愛物語でもあり、人としてどう生きるかを問う物語でもあるように思う。職業、趣向、容姿、才能、さまざまな要素によって、人は他人を判断し、関わり方を変えたりもする。だが、そんなものに囚われず、なにものからも自由になったときこそ、どう生きているかの真価が問われるのかもしれない。他人とかかわらずには生きられないからこそ、大切なのはその距離感で、それによって、傷つけたり傷ついたりすることにもなるのだろう。胸の内側を軽く引っかかれたような読後感の一冊である。
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レズビアンの美人作家が、やはり美人作家として売り出し中の新人に紹介されるが、彼女が惹かれたのはその秘書のほうだったというお話。ぼくはLGBTの人達に特に偏見はないつもりだが、特に興味もない。だから、こういう話を読んでもどう反応すればいいのか困ってしまう。つまらなくはなかったけれど、おもしろくもなかった。なにも残らない読書だった。
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レズビアンの女性が自身に言い訳しながら気になる女性にアピールしつつも、手近な女性と適当に関係を持ったりと欲深いお話。
主人公を男性に置き換えて読むとただのたらし。
作者の伝えたいことはきっと違う部分なのでしょうが、そこを探る気になれませんでした。
苦手な一冊。