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各章、簡潔に説明されており分かりやすい。何度も読み直したくなる、まさに医療政策の教科書。
オバマケアの政策立案過程の説明が知れて勉強になった。
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統計学のところはまたあとから復習します。
日本以外も含めて医療全体を網羅されている内容で本当に分かりやすかった
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レビュー者私のバックグラウンド:医療政策の完全な素人。データ分析が仕事。因果推論、エビデンスに基づくなどに多少の知見、大いなる興味あり。
本書を推奨したい読者対象:医療政策に関わる方はもちろんすべて。医療政策にものを言うプロ(政治家、マスコミ、評論家、etc)の基本知識としてほしい)。のみならず、チュートリアルに毛が生えた程度の技術で「データサイエンティスト」を名乗るようななんちゃってではなくて、因果推論等データ分析を深めたいデータ分析関連の方にぜひ進めたい。
本書の内容については他のレビュワーの方々が絶賛されているので私は周辺の話を。
因果推論、エビデンスに基づく判断に興味があるが論文を読むほどの知見がないため、本著者の
『岩波データサイエンス Vol.3』(の「準実験のデザイン」)
『「原因と結果」の経済学』
『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』
『最高のがん治療』
をずっと追ってきた。いずれも名著(いずれもAmazonで4以上と思ったら食事だけ3.9ですね。食事はうるさ型が多いためか?)だが振り返ってみると
『岩波データサイエンス Vol.3』はデータ分析の専門家のための入門書的立場の書籍であるため研究者が1つの項目を担当するのも当然であった。
『「原因と結果」の経済学』はベストセラーと言って良いと思うが、今から思えば名刺代わりだったのだろう。因果推論、エビデンスのプチ・ブームの火付け役の一つと言っていいと思う。難しい概念を非常に丁寧に優しく解説している。
『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』、『最高のがん治療』は巷にあふれる疑似科学の類いをバッサリとする痛快かつ、凡人が日常に活かせる「エビデンスはこう活かす」の最好例と思う(こういうのが世界一受けたい授業で世の中に広まれば日本ももっと良くなると思うが、成分ネタ!もバッサリ斬っているので駄目ですねあぁ)。
ここまで耕して耕してついにご本人の専門分野(で良いですよね)にどかんと一撃の本。
中世のようにエセ科学がまかり通り、専門家でない人がエビデンス以前のデータも無視か曲解して持論をがなるか「高齢化福祉を〇〇しよう」みたいなスローガンだけのお寒い日本(世界も同じみたいですが)に。
まず、内容が広い。そして濃い。本書のあとがきを信じるならばハーバード大の医療政策学の博士課程の知識が詰まっているらしい。本書を読んだだけではもちろん駄目で、引用文献や関連知識を読み込み、現実問題にどう適用するかの議論が出来て初めて修めたということになるのであろうが。少なくとも門外漢の凡人にも、何を最低限の知識としておさえないといけないか、何が課題となっているのか、は分かる。
今までの書籍でベストセラーを連発していたのは出版社に対して、本書のような売れにくい本を売るためのネームバリューを確保するためだったのではないかとさえ思える。いや、これを足がかりに、具体政策に踏み込み本気で日本の医療政策を変えていくのではないか。
絶賛★5なのだが、あえて改善点を述べる。
・表紙、タイトル
表紙が素晴らしいというレビュワーもいらっしゃいますが、これだけの本格的な内容で装丁が安っぽいかと。また平積みされていたのですが他書に埋もれてました。また書名も表紙色に埋もれています。これは著者ではなく出版社様だと思います。医学書院様の他書を見ても正直装丁が良くないです。本書は専門書の範疇かと思いますが狭い固定読者でなく関連する広い読者対象としたものと思われ、装丁をもう少し研究していただきたかったです。
タイトルについても「世界一わかりやすい」は安直ではないかと。確かに医療政策について世界一わかりやすい本ではあるのですが。キャッチーにするなら「ハーバード式」やら、いっそ「医療政策の教科書」でもよいのではと。
・参考文献ではなく次に読む本を充実して欲しい
専門書という観点であれば参考文献の明示でよろしいですが「世界一わかりやすい」「教科書」と読者層を広げたのであれば、論文の引用リストではなく、次に読む本を充実してほしいです。あまりにも広範な内容ですので私のような通常の人ではフォローしきれないかと。
ハーバードには至らないまでも本書の内容を補強するための書籍のリストが欲しいです。
同好の士がいらっしゃると思うので自分の分かる範囲を僭越ながら書きます。医療、政治系の方も補強してくださると嬉しい。
選書基準:本書と同じ、レベル感、正規の大学授業の質を担保、具体例豊富で分かりやすい内容
-医療経済学
医療経済学ではないですがミクロ経済学の知識はベースになるかと。東大の授業が人気がありすぎて教科書になったという『ミクロ経済学の力』神取、日本評論社がよろしいかと。
-統計学
著者の『「原因と結果」の経済学』は必読ですが、
『実証分析のための計量経済学』山本、中央経済社
『実証分析入門』、森田、日本評論社
は具体例が豊富で内容も確かであり、実証分析、因果推論関連で常に推薦図書に上がる本です。
-政策系
『入門 公共政策学』秋吉、中公新書
医療を含む公共政策の入門書。本書にもある費用便益分析を始め、本書では米国の事例が中心ですが、日本の事例を中心に、族議員との折衝など泥臭い話にも触れています。
ふぅ
文章がめちゃめちゃになってしまったが、勢いで生まれてはじめてAmazonレビューをしてしまったようん
というAmazonレビューに書いたものを転載
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医療政策について考えるための、医療経済学、統計学、倫理学、決断科学など幅広い分野の内容を出来るだけわかりやすく解説してくれている本だと感じた
その分各項目の内容は物足りなさも感じるが、私のような初学者にとってはちょうどよかった
ただ統計はマジで知識ないから難しかった
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医療政策を考える上での論点を網羅的に取り上げて解説している。理論的説明のみでなく最新の研究結果を参照し、解明されている点と議論が分かれている点を明確にしており、学習に役立った。網羅性が重視されているゆえ、初学者にとってはやや面白みに欠けるかもしれない。知識がつき始めた時期に全体像を見渡す目的として読むことを推奨したい。
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医療経済学、統計学、政治学、決断科学、医療経営学、医療倫理学、医療社会学、オバマケアがざっと書かれた本。
医療経済学と統計学の比重が高い。医療政策の教科書としてはわかりやすいものの、経済学、統計学の教科書としてわかりやすいわけではない。しかしながら、最低限知っておいて欲しいと思われる内容が詰まっていて、少しでも医療政策とかを考える人には強くおすすめな本。基本、アメリカの事例なので、日本にそのまま当てはめられないことも多いけど補助線にはなるし、本当にいろんなコンセプトがあってとても面白かった。
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あとがきにも記載がありますが、本書を読むことで、ハーバード大学 医療政策学の進級するのに必要な知識、UCLA大学院で学んでいることを知ることができる!
なかなか興味深い内容がたくさん書かれていましたが、多くの頁が割かれている「統計学」は、私には難しい。。。統計を学んでいる人なら、理解できるのかな?
個人的には、医療経営学の「医療の質の3つの側面」がとても興味深かった。どのように病院ごとの質の評価を行うか参考になりました。現在、厚労省が進めている地域医療構想に質的な要素を比較したような論文を見てみたい。質を高めるための病院の統廃合だという方向性がみられるのかな?
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医療は国家予算において極めて多額の支出がなされているが故に、その政策も当然一意ではなく、様々な考え方が存在する。政策とは言うまでもなく、そうした多様な選択肢の中から、一つの選択肢を選び、他の選択肢を捨てることに他ならない。そのための判断基準として認識しておくべき、様々な考え方を”教科書”として示したのが本書であり、その論点の幅広さと深さは、”教科書”の名にふさわしい完成度。
当然、メインとなるのは医療経済学であるが、それ以外にも政治学や以外なところでは倫理学(まさかこの本の中でジョン・ロールズの正義論が触れられるとは思わなかった)まで非常に幅広く、医療に携わる人であれば手元に置いておいて損はない一冊。
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本書の目次には「医療経済学」「医療経営学」「医療倫理学」といった見出しが並び、「医療政策学」が分野横断的な学問であることが読み取れる。分量でいうと「医療経済学」(1章)と「統計学」(2章)で全体の60%を占めるので、この2つが大きな柱だということなのかもしれない。
医療経済学の理論的な柱はミクロ経済学だが、経済学部の学生が最初に学ぶ価格メカニズムには軸足が置かれていないようだ。「医療経済学は医療における『市場の失敗』を学ぶ学問」(15ページ)であり、価格メカニズムがうまく機能しない状況を分析対象とする。そのうえで「市場の失敗」を未然に防ぐための方策を議論する。つまりメカニズムデザイン(制度設計)の応用分野と言える。ここでのキーワードは「逆選択」「リスク選択」「モラルハザード」。いずれも契約理論を基礎とするメカニズムデザインのモデルではお馴染みの概念である。
ただし本書を読む限り、数学的に緻密な理論モデルを追究するのではなく、医療費や保険加入率、健康アウトカムなどに焦点を当てながら実証研究に力点を置くのが医療経済学の特徴だと思える。エビデンス重視なのだ。
例えば重要な実験・擬似実験として本書は「ランド医療保険実験」と「オレゴン医療保険実験」の2つに言及する。ランド実験によって、医療保険料の自己負担率が上がると医療機関の受診率が下がるものの(事後のモラルハザードを抑制する)、貧困層を除いて健康アウトカムにはほとんど影響がないことが分かった。この実験結果は保険料の自己負担を正当化する根拠のひとつとなっている。興味深いのは、自己負担率が上がっても人びとは健康に気を遣うようにならない(喫煙率や肥満度には影響がない)点である。事前のモラルハザードは解決されない。
本書には、実験や擬似実験、メタ分析から分かったエビデンスがたくさん紹介されており、そうした研究の重要性を感じさせてくれる。個人的に興味深いと思ったエビデンスの例を挙げておこう。
・医療費増加の最大の要因は医療技術の革新であって高齢化ではない。
・医師の人数や病床数といったストラクチャー指標を改善しても、患者の健康状態はさほど改善しない。
もちろん、ひとつのエビデンスが国や地域、時代を超えて他の状況に当てはまるかどうかは分からない。この点には注意が必要だ。
「オバマケアからトランプケアへ」と題された第8章は、米国の医療制度についてのケーススタディとして読める。皆保険制度を持たない唯一の先進国である米国で、オバマ大統領は公的保険と民間保険を組み合わせ皆保険を達成しようと試みた。柱は3本ある。貧困層向けのメディケイドを拡大し(加入要件の緩和)、マーケットプレイスと呼ばれる民間医療保険市場を設立し、さらに民間医療保険への加入を義務化した(未加入者に対して増税する)。
医療経済学の知見に照らしてオバマケアは巧妙に設計されている。①医療保険への加入審査を禁止することで「リスク選択」を解消し、保険料にも制限を加えた。さらに民間医療保険会社の利益率に上限を設けた。②医療保険加入を義務化することで逆選択を緩和し、加入者数の増��が医療保険の売上高を押し上げる。民間医療保険会社にとっては①②によって利益の増減のバランスがとれ、制度が受け入れ可能となる。
③公的保険から医療機関への支払いを減らす。医療機関は反対しそうだが、無保険者が減ることで医療費の支払い不能者も減る。また新しく保険に加入した人は受診するようになる。それによって医療機関は受け入れた。医療機関への支払いを減らすと同時に、高所得者層への増税によって財源を確保した。(制度の導入によって高所得者の負担だけが増したように見えるが、より良い社会の実現によって彼らも間接的に制度の恩恵を受けるのかもしれない。)個人的には、財源に対する両者の寄与率を知りたいところだ。民間医療保険会社の利益率に上限を設けた。
オバマケアは巧みな仕組みに思えるのだが、無保険者の数が減ったことを除くと思ったほどの効果は得られていないようだ。P4Pによって医療の質の改善が見られた範囲は限られているし、医療費に対する制度の影響はあまりよく分からない。
医療制度にまつわる諸々の学問分野について1冊で学べる本書はありがたい存在だ。ただしページがあまり割かれていない領域については、別途、入門書などを読んで議論を補うとよいだろう。例えば医療倫理学だったら『誰の健康が優先されるのか』を薦めたい。
オバマケアの内容と評価について本書の解説は非常に分かりやすかった。同じように、日本の医療制度についての解説と提言を本書に含めて欲しかった。(日本の医療制度について書かれた本はすでにたくさんあるので、著者はあえて省いたのかもしれない。)医療経済学の内容について明らかに書き間違えていたり、誤字脱字(タイポ)が多い点は本書の評価を下げることにはならないと思う。が、文章の読みやすさも含め、次に刷る時に修正してもらえると期待している。
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医療政策学は、単一の分野ではなく、複数の領域とエビデンスを必要とする分野横断的な学問である。本書は、医療政策学を構成する医療経済学、統計学、決断科学(費用効果分析)、医療経営学(医療の質)、医療倫理学、医療社会学、政治学について学ぶことができる入門書となっている。
複数の分野を取り扱っていることもあり、新しい知見が多く得られる一冊であるが、特に感じたことは、医療政策における「データと解析」に基づく政策の立案、評価の重要性である。ロジックだけでは、その効果が必ずしも分からないことがあるからである。
例えば、「自己負担割合を増やしたら国民が病気にならないように努力するようになるのではないか」という議論がある。(本書の47項で扱われている)ここで、ランド医療保険実験では、自己負担ありのプランに割り付けられると、受診回数や医療費は抑制されるものの、喫煙率や肥満度が低下しなかったことから、その効果は限定的だと考えられる。