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安楽死と終末ケアについて、どんなことが議論されているのかとてもわかりやすかった。立場が違ったり、自分や家族だったらとか、いくら考えても答えが出ない問題だなと。
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悪い内容ではないが、私は内容を勘違いしていた。
写真家で多発性骨髄腫をかかえる 幡野広志氏、
世界中の安楽死の事例を取材して紹介した 宮下洋一氏との対談だと思っていたが、実際は筆者の抱える患者とのエピソードを紹介され、ご自分の活動内容を看護師の話を交え紹介、がほとんど。
宮下洋一氏の文章が読みたかった、それを期待していた、そういう意味で★ひとつ。
安楽死と緩和ケアの違いが分からない人の入門書にはいいと思う。
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また死について考えていた。死を考えることは生を考えること。
ここで出てきてる人は別にガンではなくとも同じような選択をするんだと思う。もしかしたらガンでよかったのかもしれない。
安楽死、持続的な深い鎮静、自殺幇助…
方法はともかく迫る死への選択と希望。
完璧な処方箋はない。
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安楽死とは。緩和ケアとは。
耐えがたい苦痛とは。
死に向かう際の過ごし方について、話し合い、対応してこられた医師による、現場からの声。
そこに人がいること、そしてそこにいる人の存在を感じることのできる本でした。
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がんの苦痛と比べるとものすごく軽いものだと思うが、私は首がとても痛い。
痛みは麻痺して吐き気と頭痛が常にあり、息が苦しくて眠れない。
心療内科での治療が、無駄だったとは思わない。
でも、心療内科の先生は、生理痛に対しても痛み止めをくれなかった。
歯医者の痛み止めを飲んでいると言うと、癖になるから止めなさい、というだけだった。
歯医者の痛み止めを飲むと、生理痛がなくなるだけではなく、気持ちも明るくなった。それを言うとますます痛み止めを厳しく止められた。
ぎっくり腰で形成外科にかかったとき、注射をされて、思わず「苦くなくなりました!息ができます!先生すごい!」と言ってしまった(笑)
ここでストレートネックであることが分かり、処方された痛み止めを使っていたら、心療内科の薬がとても少なくなった。
痛みが続くと、体は麻痺する。代わりに悲しくなる。生きていたくなくなる。
そんなことがあった。
理想的な死、と言うものを考えると、複数の人が「あれは見事だった」という死に方がある。
お風呂に入り、好物のお酒を少し飲み、こたつで時代劇を見ながら「あれ、おじいちゃん息をしていない」と亡くなったり。
前日美容院に行き、翌日起きてこないまま亡くなったり。
山が好きで好きでたまらない人が山で亡くなったり。
ああはなりたくない、という死に方もある。
延命措置を受けて体中管だらけになり、意識朦朧として亡くなったり。
長い入院の果てに誰からも忘れ去られて亡くなったり。
腐り果てた遺骸で見つかったり。
あれは嫌だという死に方を、医療関係者が進めるのは何故だろう。
そもそも病気になった弱った状態で、たらい回しをされる現状。
ここではダメです、と言われ続けるのは、受験や就職活動で複数落ちた経験があるなら想像はできる。
その「ダメです」が、衣食住すべてにおいて言われ続け、たらい回しをされ続ける、現在の状況。
痛みは患者が感じるもので、医者が感じる物ではない。
「耐えがたい苦痛」が、本人の自己申告でしかない以上、医者がそれを信じてくれなければ薬ももらえない現状。
その人間が「自分の尊厳」であると信じているものが奪われ、永遠に戻ってこなく、代替えも見いだせない状況が「好転しますよ」としか言えない医者や看護師を信用する気にはならない。
さらにその医者や看護師が、患者であり障害を抱える事になった自分よりも社会人である身内の意見を優先するとなったら。
だったら、まだ自分に体力があるうちに、最後の自分を守る手段として医者による自殺幇助を受けたいと思うのは、ごく当たり前のように感じる。
まず、苦痛なく生きること。
次に、病気になってしまったら苦痛を受けることなく治療できること。
治療ができるできないに関わらず、生きていてよいのだと肯定されること。
自分にとって生きる、死ぬとはどういうことか静かに考える時間が十分に取れること。
周囲の人とそれを共有する時間と余裕があること。
その上で、満足した死に方をすること。
この順番には納得がいく。
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P99辺りからの「自分の事は決められないけれど、他人のことは決められる日本人」というのにとてもしっくりきた。
安楽死反対派の死への同調圧力とともに、今の日本では生への同調圧力が強い。
P16
>日本には安心して死ねる場所がない
これは本当にそうだと思う。
妊活をして産まれて、幼稚園から大学まで受験して、会社に入って、婚活をして、妊活をして、終活をして。
スナック菓子のベルトコンベアみたいに流されていって、不良品は跳ね出して。
賞味期限内の正規品だけが正しい国民みたいだ。
P46
安楽死と尊厳死の違いについて。
・積極的安楽死…医師が注射など手を下す。
・医師による自殺幇助による安楽死…医師は薬などを患者に手渡す。
・消極的安楽死、もしくは尊厳死…本人の意志に従って、苦痛を止める以外の医療行為を止める。
P177
「言葉をふるまう」
これ、すごい。この言葉がすごい。
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"高級寿司職人" に例えられるような、「高度専門を持ち瀕死の患者さんを神の手で治療する医療者が絶対善で、医師みなが杓子定規にそこを目指して走る」価値観はとっくに終わっている。
生きる時間の幸福度を上げるアシストのための医療、とはなんなのだろうか。「緩和ケアの方法は医療職個々人の裁量も大きい。患者の生きたい人生に合ったケアを提供できる医療者に出会えるかどうかは現状として運だよね、」と幡野さんは言う。
「価値観は人それぞれだよね。」は、議論を始める重要な前提であるが、それ自体にはなんの意味もない。
患者本人の心よりも、家族と医療者の考えが強い影響を与える現在の構造から、いかにして幸せな死を実現していくかという闘い。
"日本人は、自分の人生は決められないくせに、他人の人生は決めてしまう力が強い人がとても多い" という一節が心にざらつきを残した。
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奇しくも安楽死制度を求めて苦しんでいる方のニュースが流れてきた。難病で生きていることが辛いのに、死ぬことすら許されないと。
わたしにはその正解はわからない。死にたいと願うことと、生きるのを終えたいと思うのは似て非なる気もするし。
緩和ケア。安楽死。苦しみながらも生き抜くこと。死に方を求めてさまよっている人々に選択できる権利はないのかな?
死に方について深く考えさせられる一冊。
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過去に点滴で生かされて空を見つめるご老人たちの病室をみて、自分もこうなるのかと怖くなり安楽死が日本でも可能にならないかなとずっと思っていた。
この本を読み、以前とは別の意味を安楽死に対して思う。
緩和ケアの詳細。患者さんととりまく家族や親戚、医者との必ずしも患者本人とは一致しない決断。
対話せずに、結論を急いでは絶対いけない問題だと。
見解が違う者同士が、どちらが是が非かを競うのではなく、対話することにより、導き出される新しいこたえ。それは普遍ではなく、個人、時代や環境によって一つではないということ。
選択肢の一つとしての安楽死だと。
筆者あとがきの、人の死は3つある。
肉体の死、精神の死、社会的な死。
今の時代、3つめの社会的死に向き合っていくことが
安楽死制度の導入を進めるより急務だと感じた。
読んで、出会えて良かった一冊。
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緩和ケアを行っている医師が自分自身が受け持つ患者とのやりとりの中で安楽死について考えていく。
癌患者である幡野広志さんや安楽死についての著作があるジャーナリストの宮下洋一とのそれぞれの立場から見た安楽死の考えはとても考えさせられます。
対立するような意見もそれぞれに説得力があり、それだけにこれらの問題をまとめていく、ましてや法制化していくことの困難さを感じます。
読み終わった後に何か答えを見つけられたというよりは答えのない迷路に入っってしまったような感覚がある。
それでもこの本は読んで良かったと言えます。おすすめです。
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緩和ケア医の西智弘さんの書く、安楽死と緩和ケアの話。
西先生が実際に看取った患者さんの話に、安楽死や緩和ケアを深く考えている方たちとのやり取りを通じて、私達に安楽死と緩和ケアについて考えさせてくれる良書。
西先生が担当した3人の末期がんの患者さんとの対応にあたったときの葛藤が見えたことで、医療者も悩んでいること、いろいろな考え方があるということ、それがよくわかった。そして、自分が安楽死を求める患者側になったとき、何を考えるべきなのか(というのか、どう考えてしまうんだろう)ということにちょっと触れることができて有意義だった。
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一度読むだけでは腹に落ちなかった。
まずは、所々に出てくる著者の所感について、理解できない。例えば「あぁまた失敗したなと思った」と書いてあっても、どう失敗だったのか飲み込めない。もちろん後に解説もない。
主要登場人物2名の死についても、海を見ながら余韻を残す描写で終わる感じが、小説かよ!とツッコミを入れたくなる。そういうちょっとしたズレが蓄積していくのが、読みにくい。
そして、主題の一つとも言える安楽死と緩和ケアの違いが、本を読んでますますわからなくなった。本では鎮静の適応があるかどうか、医療者で議論している。これは複数の医療者の納得が得られれば、際どい鎮静も行われるということだ。白か黒かの明確な線引きができない。関わる医療者の死生観に委ねられるってこと。緩和ケア、リスクありすぎ。
また、緩和ケア歴10年と称する著者が、あまりに自然体である。分からない言葉を後から調べようと思い、先輩看護師にも積極的に怒られる。(私はこの怒られる場面でも、理由が理解できなかった)確かに日々の現場で提供される医療は、診療報酬がつかないレベルの対応も含めれば、後から後悔するようなことはしょっちゅうだ。だが、ライブ感あり過ぎるというか、ちょっと頼りなさ過ぎやしないか。
著者が対談する相手については、達観しているというのか、問題提起もその解釈も百戦錬磨の言葉が並ぶ。そういった部分で学びが多いことも事実。
ないかもしれない答えを求めて奔走する、道半ばの著者を応援したい。そんな気持ちになった。
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安楽死も緩和ケアも、この本の内容は私の経験でも思考でもないから語れないけど、安楽死を巡る問題の「私の中での居場所」を見つけたい。
という自分の問題意識とは別に、もっと文体の密度が欲しかったかな。巻頭に登場する安楽死希望の女性の苦しみなど、当事者が安楽死を望むに至った経緯心情がが案外とさらさらと書かれているので物足りなかった(これは好みの問題かもしれないが)
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新聞の書評から手に取った一冊。本の中に出てくる人物の、「患者の民主的な選択肢として安楽死制度はあるべきだが、SNSなどで盛り上がる単純な安楽死賛成派はタチが悪い、日本にはまだその制度を導入する文化的、社会的基盤が整っていない」という意見に同意したい。実際に自分自身や家族が当事者とならないと、本当の意味ではこの問題には向き合えないとも思う。緩和ケアの専門医として当たり前のように終末を迎える人々と日々向き合い、上から目線でなく真摯にこのテーマへの考察を与えてくれる著者には感服する。
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小説でありながら、筆者が緩和ケア医であることから、実写ではないかというリアル感もあった。
2人の患者と起こる出来事、感情に、真摯に向き合う医師の存在が羨ましくもあり、自分がどう向き合うかも考えさせられた。
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身内がふたり強い鎮静からの死を迎えたので、安楽死との違いは何かをずっと考えていたので、理解する材料になった。ただ、強調?したいところを太字にするのはやめて欲しかった。それが気になってしかたなくて嫌な気分になった。ここをしっかり受け止めて欲しいというところなんだろうが、それは読み手側でそれぞれ考えるとこだと思うので。