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やはり世界の動きや流れを掴む上で参考になり、あまり知られていない公安調査庁というCIAやMI6のようなインテリジェンス機関の役割、それが日本に必要な機関であることが論じられている。
公安調査庁は戦後共産革命の阻止を目的に活動を行うも、そのノウハウと世界の変化から海外に重点を置き活動を行う。
北大生のISIL入国阻止は当時耳にしたことはあったが裏側を知れた。
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インテリジェンスに造詣の深い二人による対談集。
インテリジェンスの手法に、「コリント」(諜報協力)、「ヒューミント」(人的情報収集)、「シギント」(通信傍受)、「オシント」(公開情報分析)、「ウェビント」(ネット分析)、「ヴィジント」(画像分析)などがあるという。
ビジネスにも使えそうだ。
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お二人の対談本は、刺激に満ちていて面白いのだけど、下手すると単なる頭の良い陰謀論になってしまう、受け止められてしまうという側面があるなあ。
この本は、法務省のもとにある公安調査庁というインテリジェンス組織について、国際事件を下敷きにしながら解説していくというものだが、なんというか、公安調査庁がなにかというところは結果わかりにくい。
例えるならば、インターポールが、銭形警部のように現場に赴いてルパンを逮捕するような業務はやっていないというそういうことか。
SNS全盛の時代において、すぐそこにスパイがいる、本人もそんなことを全く意図していないけれどもという時代になってしまったように感じる。ツイッターに投稿された写真一枚から、その人の居場所が割り出せてしまう世の中なのだ。
本当に大切なことはインターネットの海になんか落ちていないということとあわせて、情報の使い方次第ではそれは大きな脅威にもなってしまう(類推できてしまう。)ということなのだと思う。
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「想像を絶するような事態を覚悟して備えておけ」
911同時テロや、福島原発事故を予測して対応する組織、それが、公安調査庁である。
公安調査庁は、国際的にも認知された第一級のインテリジェンス機関であること、公安調査庁でつよいのは、ヒューミント(人によるインテリジェンス)、とオシント(公開情報諜報)である。が結論です。
・インテリジェンスとは、国家が生き残るための選り抜かれた情報である。国家の舵取りを委ねられた政治リーダーは、彫琢し抜かれ、分析し抜かれたインテリジェンスを拠り所に、国家の針路を決める。
・米ソ両陣営は国際条約で生物化学兵器の製造使用が禁止されても、細菌・ウィルス兵器で襲われる事態に備えて、感染症の専門家を養成し、防護策を研究することをやめなかった。
・公安調査庁は、かつてオウム真理教が起こしたサリン事件を手掛けた経験を持ち、生物化学兵器に対する豊富な情報を蓄積している。世界の感染症とウィルスの専門家から貴重なヒューミント(人的情報収集)を集めて収集分析し政治の意思決定に貢献できる潜在力を秘めている。
・金正男身柄拘束事件は外交カードとして横田めぐみさん拉致被害者を取り戻せる可能性があった。
・サード・パーティー・ルール:情報機関というのは、基本的に自前でとってきた情報しか、横には流せない。
・相手国が嫌がる、出したがらない情報を入手するのが、インテリジェンス・オフィサーの仕事である。
・公安調査庁の職員すべてが、基本的に調査官。このためかなりフラットな組織である。
・公安調査庁には逮捕権がない。それは、警備公安警察とバッティングしてしまうから。第二警察となってしまう恐れがあったから。
・公安調査庁は、法務省の下部組織であり、そのトップは検事で、幹部クラスには、警察官もいる。
・国家のインテリジェンス活動におけるクライアントはただ一人。日本では、内閣総理大臣であり、アメリカでは大統領である。
・外国情勢も公安調査庁の対象となっている。もはや、外務省の選管事項という時代ではない。
・日本で問題を起こすかもしれない危険人物を、監視対象とみるだけでなく、逆に情報提供者として協力してもらえる存在と認識することが大切
・やがて母国に帰った時には、地道に情報の収集活動をしてもらえ、何らかの形で連絡してもらえれば、貴重な情報が入手できる。
・調査官は記憶力と再現力の訓練を徹底的にやっている。聞いた話を正確に記憶する訓練を徹底してやる。
・インテリジェンス・オフィサーに必要な言語力は、日本語である。語学力は、新聞を正確に読むことができニュース番組を聞いて理解できる。
・高度な言語力をもつ専門官をつくるためには、3000万から5000万が必要となる。
・AI全盛時代になっても、ひとの心の襞に分けて入っていく質の高いヒューミントは欠かせない。
・公安調査庁発足当初は、右翼が対象だったが、共産党、左翼が対象になって���く。
・日本の暗号技術が各段に進歩したのは、ポーランドの協力のおかげ。ソ連を仇敵にしてきたポーランドは親日。
・日本共産党と朝鮮労働党は、実は一体。日本国内をかく乱して、朝鮮半島を丸ごと共産化する意図。
・警察権をもっていないからこそ、人間関係を大切にして情報活動をやらざる得ない。こうした諜報技術、経験を軍から公安調査庁が引き継いだことは大きな意味があった。
目次は次の通りです。
まえがき
第1章 金正男暗殺事件の伏線を演じた「最弱の情報機関」
第2章 コロナ禍で「知られざる官庁」が担ったもの
第3章 あらためて、インテリジェンスとは何か?
第4章 「イスラム国」日本人戦闘員の誕生を阻止
第5章 そのDNAには、特高も陸軍中野学校もGHQも刻まれる
第6章 日本に必要な「情報機関」とは
あとがき
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公安調査庁が2001年5月の密入国事件で秘密裏に手柄を挙げていたというストーリーを皮切りに、公安調査庁の歴史や役割について手嶋さんと佐藤さんの議論形式で論を進めていく。
珠玉は、公安調査庁の歴史を紐解いた5章と方向性を論じた6章かなと。特に、6章において、情報機関への国会の監視、情報機関員の身分保証、情報機関のメディア戦略の必要性というところはとても説得力があった。前半は少しダラダラ長すぎる感あり。