紙の本
直木賞作品
2022/04/10 06:46
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
六つ短編集だが、最後の話で全体をまとめています。どうせならば同じ長屋のお妾さんを主人公に、それぞれのエピソードを書いて欲しかったかな……皆さん、ワケアリのようだし。
紙の本
淀んだ日常
2021/08/30 22:48
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投稿者:ぱんや - この投稿者のレビュー一覧を見る
心淋し川の流れる土地での江戸の人間模様を書いた作品。どこか淀んだ日常や心情と、心淋し川を重ね合わせている。いくつかある中で私は最後の灰色の男がすき。恨みや復讐心が人との触れ合いや時間の流れで変わっていく。心が穏やかになり近くの川でぼうっとしたくなりました。
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貧乏長屋の心町には訳ありの人たちばかりが集い、過去や現在に苦しみもがきながらも懸命に生きている
差配の茂十も心町に流れ着いた人だったのね
貧しくとも支えあい生きる姿、屈託なく明るい気分にはなれないけれどそれぞれが幸せならいいのかなと思う
息子に執着する母の身勝手さだけは理解出来ないけれど
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直木賞受賞作。
何かが解決したり破滅に向かうわけではない短編集です。
でもなぜか居心地はよくイヤミスのような気持ちにはなりません。
そして「人の人生」のリアルさを感じました。
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うらぶれた長屋に住まう人々の物語。
こういう連作好きなんですよね・・・。
染み渡る。
※追記:直木賞おめでとうございます!!!
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江戸、千駄木町の一角にある心町(うらまち)を舞台にした、連作短編六話。
各話がリレーのようにリンクして、最終話「灰の男」に繋がる構成となっています。
それぞれ決して明るい話ではなく、特に「冬虫夏草」はなかなかダークです。
うまくいかない人生を、もがきながら生きていく心町の人々の心の機微が繊細に綴られていて、そのほろ苦さが読む側の心に染み入ってきますね。
この町にある“心淋し川(うらさびしがわ)”と呼ばれる淀んだ川は、そんな人々の心中を象徴しているようです。
因みに、個人的には「はじめましょ」が好きな話でした。
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直木賞受賞作。
長屋で暮らす市井の人間模様が描かれるが、裏には差配とその仇との逸話があり、さらにその裏にどんでん返しがある。
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好きな作家の直木賞受賞作なのに、読むのが遅れた。
心淋し川の辺りにある長屋を中心にした連作。
様々な事情や思いを抱えて生きる人々の切なかったり、怖かったり、ほっとしたりの物語。最後に狂言回しとも言える長屋の差配茂十のエピソードで各話の後日談も描かれて、すっきりとした読後感。
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江戸の片隅、小さなどぶ川沿いに立ち並ぶ古い
長屋。住人たちは人生という川のどん詰まりで
もがいていた…。懸命に生を紡ぐ人々の切なる
願いが胸にしみる連作時代小説。
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連作短編6編
心町(うらまち)の長屋に住む人々の人情話.どうしようもないような中で運命を切り開いていくような強さのある「閨仏」が良かった.
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西條さんの物語を待ち遠しく思っています。この本も心を揺さぶられました。毎日を生きる幸せを気付かせてもらえます。ありがとうございました。
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不美人な妾ばかりを囲う六兵衛。その一人、先行きに不安を覚えていたりきは、六兵衛が持ち込んだ張形に、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして…(「閨仏」)。飯屋を営む与吾蔵は、根津権現で小さな女の子の唄を耳にする。それは、かつて手酷く捨てた女が口にしていた珍しい唄だった。もしや己の子ではと声をかけるが―(「はじめましょ」)他、全六編。生きる喜びと哀しみが織りなす、渾身の時代小説。
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表題作のほか、「閨仏」 「はじめましょ」 「冬虫夏草」 「明けぬ里」 「灰の男」
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心川(うらかわ)沿いに詰め込まれるようにできた集落・心町(うらまち)の長屋の住人たちの物語である。長年にわたってたまりにたまった滓のような屈託が、少しずつ吐き出され、それが互いに作用して、さらにまた生み出されるものもある。誰もが何かしら重たいものを抱え、なだめながら日々を暮らしているが、ある日、ふと投げ込まれた小石がさざ波を立てる。理不尽を呑み込み、それでも抗いながら暮らす人々がいとおしい一冊である。
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初出 2018〜19年「小説すばる」連作短編6話
台地のはざまで心(うら)さびし川が流れる心(うら)町にある貧乏長屋に住む6人のそれぞれの物語。
(心さびし川)お針子の母の手伝いをしているちほは、姉と同じように嫁になって長屋を出ていきたいと願うが、好き合った紋を書く上絵師は京都に修行に行ってしまい、くどくど叱られていた納先の手代から求婚される。
(閨仏)六兵衛長屋には六兵衛の妾4人が同居しているが、年上のりきは六兵衛が持ってきた張形にいたずらで目鼻を彫ったことろ仏の顔にみえると評判になる。仏師から一緒に仕事をしようと誘われるが、六兵衛が死んで、閨仏を彫ってみんなの面倒を見ることにする。
(はじめましょ)料亭で修業したものの人とぶつかり板場を渡り歩く与吾蔵は、兄弟子が長屋で開いた飯屋を譲り受ける。仕入れの途中で会う童女が歌う歌は昔妊娠を告げられて捨てた恋人が歌っていたもので、再会した女からは自分の子供ではないといわれるが、二人を迎える。
(冬虫夏草)薬問屋の内儀だったお吉は好き合って迎えた嫁に息子を取られ、夫に先立たれて生きがいを失っていたが、息子が大けがで寝たきりになったために嫁を離縁し、火事で店を失って長屋ぐらしに落ちぶれても息子にののしられながらも喜んで世話している。
(明けぬ里)根津の岡場所に売られた”よう”は悪態をつき続け逆に気に入ってくれる客もいて身請金を出して自由にしてくれ、長屋住まいの男と所帯を持った。遊女の時は絶大な人気で誰にでも優しい明里に対して反感を持つとともに自分を偽る苦しい内面にも気づいていた。その二人が偶然出会いお互いに妊娠していることを知って励まされるが、明里が身請主の使用人を心中したと知らされる。
(灰の男)すべての話に登場した面倒見のいい差配の茂十が最後の主役。言ってみればここまでの話はこの話への序章といっていいくらいの重い話。
町奉行所の市価調査役だった久米茂左衛門は、見習いで出仕した息子が強盗団をとらえようとして目の前で殺されたため親類に役を譲って隠居したが、ある日痴呆の老人となった強盗団の頭に再開する。奉行所が取り合わなかったため、茂左衛門は名を変えて差配となって長屋に住んで男を見張る。18年たって一瞬昔の記憶を取戻した男は死んでしまう。茂十は自分もここで生き直したのだと思いを巡らす。
追記
直木賞受賞おめでとうございます㊗️
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江戸千駄木の淀んだ川の末に、心(うら)町と呼ばれる長屋の一帯がある。そこに暮らす男女、親子の揺れる情を描いた短編集。西條さんらしい人の胸内に巣食う嫌らしさや切なさが身につまされる。
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コロナ禍で人の繋がりが薄れ社会が殺伐とする中、西條さんのホンワカ江戸人情モノは心に沁みる。ホントにうまい。読み手の喜怒哀楽の感情を気持ち良く転がしてくれる!心に溜まるばかりの澱み、流さなければ。