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『百年の家』『ちいさいおうち』のように、一軒の小さな木の家か主人公。
写真も載っているように、本当にドイツのベルリンの街外れにある湖のほとりに今も建っている。
(調べてみたら、カラフルなお家に生まれ変わっていて、レクリエーションなどを行うセンターとして使われているそうだ。alexanderhausで検索した。)
やさしい医者と明るい妻、そして4人の子どもたちが建てたこの家。とても幸せな日々。
時は流れ、家族は兵隊から出ていくように命令され、新しい家族が住むように。戦争が原因で次々にこの家に住む者が入れ替わっていく。
終戦後また幸せな日々が続くと思われたが、湖との間に高い壁が建てられ、すべてを灰色にしてしまう…
ベルリンの壁がこんなに間近に感じられたのは初めてだった。一気に景色が変わっていく様子が静かに確かに伝わってくる。
この家が見つめてきた歴史を一緒に見つめていたからか、最後のページの色彩がまぶしかった!
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ノンフィクション。戦禍を経た一軒の家の物語。
裏表紙に書かれている落合恵子さんの一文も素晴らしい。
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ベルリン・ポツダム近郊の湖のほとりに、ユダヤ人医師(アルフレッド・アレクサンダ-)が、妻と4人の子どもたちのために建てた「あの家(現・アレクサンダ-ハウス)」の物語です。一家はナチスのユダヤ人迫害を逃れ、愛する家と思い出を残してロンドンに移住します。残された家には、ゲシュタポ、音楽好きなドイツ人一家、その友人夫婦、壁を監視する男たちが移り住みましたが、2013年にこの本の著者が修復するまで荒果てたままでした。あの家は、その時代に生きた人々の愛と苦難を見つめながら、湖のほとりで静かに佇んでいました。
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ドイツ、ベルリンのはずれにある湖のほとりに小さな家がありました。自然に囲まれた幸せな暮らし。けれどもある時、兵隊たちがやってきて…。1軒の家をめぐるドイツの現代史。
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ずっとむかしのこと。湖のほとりに、小さな木の家がありました。その家に住むのは医者とその妻、4人の子どもたち。騒々しい街を離れ、家族は幸せな時間を過ごしていました。しかしある日、兵隊がドアをたたき、家族に家を出ていくように命じました。それから一年後、新しい家族が家にやってきましたが、戦争はどんどん身近に迫ってきていて…。
ベルリンに実際に存在する家がたどった数奇な運命。戦争と分断、その歴史を今に伝える絵本です。
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ドイツの、美しい自然に囲まれた、湖のほとりの
小さな家に起こったこと。
しあわせな家族を優しく包み込んでいた家。
家はナチスに奪われ、家族は追われる。
その後も家には新しい家族が身を寄せるのだが、
空には暗雲が立ち込めるばかり。
幸せなく家族の姿が見えたのも束の間、
家と湖の間に、兵隊たちが壁を建てていった。。
気の遠くなるような月日が過ぎ、
壁をぶち壊す日がやってきた。
壁を壊した男も、家もいつしか歳をとり、
ぼろぼろになった家のまわりにやぶや木々が生い茂ってしまった。
それでも家は、ふんばってたっていました。
そしてある日、あの最初の家族の曾孫である若者が、
村の人たちの助けをかり、家を手入れしました。
家は、ふたたび、しあわせを取り戻したのです。
*************
作者は英国人ジャーナリスト。
この家を建てたのは、彼の曾おじいさん。
このおはなしの元になったノンフィクションも書いている。
この家に起きた幸せと、暗い影。
つかの間の幸せ。
そしてまた長くくらい日々。
今がつかの間の幸せにならず、
これから先家が朽ちる日まで、どうか幸せな世界が続きますように。
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クレヨンハウスの良質な絵本にハマっている今日この頃。こちらはドイツの家がナチス、戦争とその後によって住み手を変えていく様を、不動の家の視点から描いた本。
本の中には、住民の素性(ユダヤ人であるとか東ドイツの公務員であるとか)は詳しく書かれていないので、ただただ外部の力で人が追い払われたり入ってきたり、という様子が描かれるのだが、それが逆に人生が歴史や周囲の状況に蹂躙される様を淡々と描いている。
漢字が多い(振り仮名なし)のと背景情報が複雑なので子供が一人で読むには難しいかもと思うが、解説しながら読んであげたい本。
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第二次世界大戦中のドイツで、実際にあった話を描いた絵本。
主人公は、まちはずれの湖のほとりにある「あの家」。
約100年をかけて、「あの家」を、光と闇が交互に包み返す様子が描かれる。
去るものは追わず、来るものは拒まず、常に人間を迎え入れ、人間たちがつくる歴史を見守り続けた。
裏表紙にある、この絵本の訳者・落合恵子さんのメッセージも相まって、とても考えさせられる内容だった。
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家は幸せな一家にとって「魂の居場所」でした。
しかし、第二次世界大戦をはじめとした戦争、迫害と差別、分断により、家はその場で愛と憎しみを見つめ続けます。「ナチス」「ベルリンの壁」がキーワードになります。
やがて…教育やレクリエーションの場として生まれ変わっているそうです。
湖の家がこれからもやすらぎの場所であるよう、私たちは歴史から学ばなければならないと思いました。
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ずっと昔に、優しい医者と明るい妻は湖のほとりに小さな木の家を建てた。4人の子どもたちと暮らすために。
野菜を育て、鶏を飼って、湖で泳ぎ、夜は父親に暖炉のそばで読み聞かせをしてもらいました。
家はとても幸せでしたが、ある日家族は兵隊に言われて出ていかなくてはいけなくなりました。
その後、音楽家の家族が住みましたが、その一家も従軍命令を受け取ったときにそこから逃げました。
戦闘機が上空を飛び、夜空がオレンジ色に染まっていきました。
音楽家の友人夫婦がしばらくこの家に避難してきていましたが、煙突に玉が当たって砕けると逃げていきました。
その後、あたたかそうな帽子をかぶった男が家族を連れてそこに住みました。家は修理され、子どもたちの笑い声が響きましたが、ある日、湖との間に塀が建てられたのです。
第2次世界対戦前後の人々の暮らしを、曽祖父が建て祖母が暮らした「家」から見た物語。
******* ここからはネタバレ
1927年に建てられた家が、100年近くも利用されていることに、日本人の私は驚かされます。
だって、この家は木造だからです。日本の木造住宅の寿命は30年と言われていて、普通に建てられた家が100年持つことは非常に稀なんです。もちろん、高温多湿の気候の影響もあると思いますが、建て替えずに修理して使う文化の違いも大きいと感じました。
こんな絵本ができるほど長寿の家があるんですねー。
そして、そこに住んでいる人のことなんて全然考えず、公聴会も説明会も開かれずに「壁」ができたようすがよくわかります。
絵から察するに、これで日当たりが悪くなったということはなさそうですが、湖の恩恵がなくなったというのは大きな負の変化ですよね。
今ならはしごを掛けたりトンネルを掘ったりして出入りしてしまいそうですが、当時はそんな事もできなかったのでしょう。この辺の閉塞感についての描写が、当時を知らない読者のためにも望まれるところです。
正直私は、この家にあまり感情移入できませんでした。事実ばかりが語られて、戦争で壊れたときでも、家の気持ちが綴られていなかったからかも知れません。
察することが読者に求められていたのでしょうが、「ちいさいおうち」のように気持ちを語ってほしかった。どうしてほしいのかわからないのでモヤモヤしましたんです。
さらに、なんか最後に家を直した著者が英雄的にも見えてしまって、何なのー?って気持ちにもなったんです(←私のやっかみ)。
この本自体はむずかしくありませんが、含まれているものを理解するには歴史的な知識も必要です。せめて「壁」のことを知っている子にオススメしたいです。
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湖のほとりに立つ家が、みてきた戦争ゃ差別、分断。ようやく訪れた平和の意味を静かに、伝えてくれる。絵もとても美しい。今も戦争、侵略、差別が続いる中で、噛み締めたい作品。落合恵子さんの訳
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作者のひいおじいさん夫婦が、ベルリンの町外れの湖のほとりに建てた木の家。家族は、湖とともに楽しく幸せに暮らしていたが、ユダヤ人家族はナチスによって、この家から追い出されてしまう。その後、何組もの家族がこの家と湖で暮らすが、ある年家と湖の間に塀が作られてしまう。やがて、塀は壊され自由に湖へ行けるようになるが、古くなった家には住む人が居なくなり、荒れ果てる。その家を作者が再生し、レクリエーションセンターとなった。
ベルリン版「ちいさなおうち」みたいだ。
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100年の間にこの家に何が起きていたのか、現代版「ちいさいおうち」。実話を元に作られた絵本。
そして今も世界のあちこちで戦争や紛争が起きていて、犠牲者は一般人。特に女性とこども。というおなじみの景色。戦争で儲けている企業や団体がいて、煽ったり長引かせようとしているのではないか。誰が得をしているのか。先の大戦の教訓はどこに行ってしまったのかな。
強欲で頭の固い、自己中心的な人が指導者って最低。
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戦争さえなかったら、この家は、美しい湖の風景とともに住む人々の幸せな暮らしを見つめていられたのに。家は何も語りませんが、戦争のもたらす破壊、差別、戦後も続いた分断をすべて知っているのですね。