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科学技術は決して人類に良い結果をもたらしたものばかりではなく、負の側面も持っている。しかし、技術をどう扱うかは人類次第であり、技術自体が悪ではないため、技術を活用する側のモラルが重要になる。また、消費者も科学リテラシーを身につけ、正しい判断をしていくべきだと思う。そんな啓発を本書はしてくれる。
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当時「正義」と思われた科学発明が、想像もしないような悪い結末へ導かれた7つの事象を取り上げ、どうすべきだったのか検証し教訓としている。特に印象に残ったのは、化学肥料の発明で人々の飢餓を救ったのに、マスタードガスで大量殺戮するまでに至ったフリッツ・ハーバー。そして双子の人体実験を行なったメンゲレ。時には読み進めることを躊躇うくらいに、凄惨な内容だった。この本が告げたいことは「どんなに優秀な社会的地位がある者でも、データの裏付けなしで演説していることを受け手が簡単に信じるな」ということだろう。現代社会においても影響力を与える立場にある人物の話を鵜呑みにしないことだ。そして安易な解決策に飛びつかない。情報化社会だからこそ、一般群衆が情報を自ら収集し「検証」ができるのだから。科学者は優秀だからこそ自らを盲目的に信じると修正が効かなくなる。俯瞰して見るとこの忌まわしき事象7つも、誰がが冷静に「ノー」を突きつけられたらきっと何処かで止められたのにと思ってしまう。今だからこそ読むべき本だと感じた。
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結果的に人類に仇なすことになった7つの科学的な発明や出来事(アヘン、トランス脂肪酸、窒素肥料、優生学、ロボトミー手術、DDT禁止、メガビタミン療法)を紹介する本。これらのエピソードを読むと、危険なのは科学そのものではなく、データを重視せず思い込みに囚われたり、権威主義や偏見であったり、安易なわかり易さに飛びつくことであったりという人間の非科学的な態度であることが良く判る。
そして昨今のCOVID-19下での騒動を見るに、人間はあいも変わらず科学的領域における非科学的愚行を繰り返していて、人間というものはなかなか変わるものではないことを実感する。
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知らない事があまりにも多い。また迷信の如く適当に人が言ってることを信用することの怖さ、また何かに縋りつきたいからこそ信じてしまう危うさも教えてくれる。
ネットで試しに調べてみたら、メガビタミン療法なるものを普通にやってる医院の多いこと。恐ろしい、、、。
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読み終わったあとの感想は「知らないことは恐ろしい。」だった。
恥ずかしながらこの本に出てきた事件のほとんどを知らなかった。いや大まかには知ってたのもあるけれどもここまで細部までは全然しらなかった。
また、驚きなのも2000年代に入っても常にあとから振り返ってみたら失敗だったという事件がポンポン出てきてるということ。
コロナでも未だにゼロリスクにこだわってる人もいるが、土台無理な話ですよね・・・
当たり前のことなんだけど、今この時点でこの手法が正しいと思っていて実行していてもそれが本当に正しいかは、あとになって振り返ってみないとわからない。難しいね。
この手の本、日本にターゲットを絞った本があればいいなとも思う。
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安全どころか有益とまで喧伝されるマリファナが有るのに、未だオピオイドやらが社会問題なのは何故だろう
優生学・ロボトミー手術の章は読むのが辛い
DDTを失った教訓を積極的推奨を再開する子宮頸がんに活かせるか
安全性と効果を明確にして説得できるだろうか
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PANDORA'S LAB: Seven Stories of Science Gone Wrong
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/20/G14070/
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レオナルド・ディカプリオの映画シャッターアイランドでロボトミーを知り発明したのは偉大な外科医を祖父に持ち派手好きな屈折した神経科医フリーマン。たった5分の麻酔なしの手術で精神の病が治ると、たった半日の遺体だけの実験で治療を始めたのが恐ろしかった。また打開策がなかった当時の精神科治療にメディアが食い付き一躍有名になるも、患者の多くは重度の障害または死者まで出たにも関わらず1950年代の向精神薬が出るまで続けられた事にぞっとしました。他の章でも良い物だと言われたものをいろんな科学者、薬剤師、下手をしたら免許すらない人が発明し世に送り出した事に驚きました。
データを見る、手っ取り早いものは気をつける。
疫病が流行る現代で考えさせられる本です。
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ナショナルジオグラフィック刊、7つの大罪を意識しているのか、7つの科学の功罪が語られる。
優生学を提唱したマディソン・グラント。
ドナルド・トランプの話からこの優生学、という「学問」が一体なんだったのかを知る。
今でも使われる知能検査、国内では田中・ビネー検査に名前の残るフランスの心理学者アルフレッド・ビネ。
彼の検査から、知能指数70という数字が一人歩きを始める。
また、メンデルの法則も完全に歪められて使われた。
ありとあらゆるものが歪められ、人体実験が行われた。
この章では、教訓として「時代の空気に流されるな」(147頁)とかたられる。
「科学的な証拠を文化的・政治的偏見に合わせてねじ曲げようとする」(148頁)ことのなんと恐ろしいことか。
レイチェル・カーソンの章は衝撃だった。
高校時代にレイチェルの話を書いた文章を英語の時間に読んだ。
もちろん彼女の成したことは、素晴らしかった。
人間の活動が環境を破壊する、これは自然保護の観点からは非常に重要なメッセージだ。
しかし、ゼロ・トレランス(ゼロ容認、つまり.認めない、ということ)の考え方はやはり極端であったというべきだろう。
ロボトミー、アヘン、窒素肥料、マスタードガス、サプリメント。
本書に出てくる科学の中には、人を殺したり廃人にしてしまったものもある。
しかし初めから皆が人を不幸にしようとして研究開発したのではない。
なぜ科学者たちは不幸へ進んでしまったのか、そのことは私たちもよく考えなければならない。
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有名な方達が正しいと言葉に発してしまうと、データでは正しくないとわかったとしても"正しい"に変わってしまうことにびっくりした。
正しいことに変わってしまったことにより、多くの犠牲が出てしまったことが本当に恐ろしいと思う。
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6-8章は面白かった。あとは普通。
2章のマーガリンにおけるトランス脂肪酸の含有量は既にバター以下になっているものもあるので補足があった方がいいと思う。なぜならこの本では最新の研究成果が喧伝されなかったせいで誤解が続き人々に害をなしたという主張が繰り返されているから。
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【感想】
ダイナマイトや原子力など、世界を大きく変えた発明のうちのいくつかは、利用する者に悪意があれば人類を脅かすほどの禍いをもたらす。
本書は、世界を変えたたくさんの発明のうち、かえって人類に禍いをもたらすことになった発明を7つピックアップしている。アヘン、マーガリン、アンモニアを始めとした化学肥料、優生学、ロボトミー手術、『沈黙の春』によるDDTの全面使用禁止、ビタミン療法だ。それぞれが生まれた過程を歴史的に掘り下げていき、益がいかにして害に逸れていったかを詳細に説明、最後にこれらの事例から学ぶべき教訓をまとめている。
例えばアヘン。アヘンは古代ギリシャの時代から万能の鎮痛剤として使われてきたが、その中毒性と強烈な快楽作用によって、社会が崩壊するほどの依存症患者を生み出してきた。主成分であるモルヒネの鎮痛効果を中毒性と分離する試みは、幾度となく行われそのたび失敗している。だれもが「中毒性を生まない神の薬」を求め続けていたのだ。
そうして生み出されたのがヘロインやオキシコンチンであるが、これらはアヘンより少ない量で強力に作用するため、中毒患者がより生まれる結果となった。1995年の終わりにパーデュー・ファーマ社のオキシコンチンがFDAに承認されると、オキシコンチンの取引は盛況を見せ、薬の違法売買や処方箋の乱発が起こる。2012年には、12歳以上の1200万人の米国人が快楽を求めて処方鎮痛薬を使用していることが報告され、過剰摂取による死者は1万6000人にのぼっている。
以上のような化学物質の紹介が7章にわたって続くのだが、これらの多くに共通しているのは、発見者は本当に「世界をより良くできる」と確信していたが、時代の流れが彼らを間違った方向に後押ししてしまった、という点である。化学肥料の章では、第一次世界大戦を勝利に導くための新型兵器として有毒ガスが開発された。優生学の章では、メンデルの研究が不法移民の増加と白人至上主義の隆盛に絡み合い、「使えない人間を間引く」という概念が堂々と支持される結果を生んでしまった。また、沈黙の春の功罪の章については、レイチェル・カーソンの著書がファクトチェックを得ないままアメリカでベスト・セラーとなり、世論が殺虫剤全面否定に振り切ってしまった、ということがある。(といっても、本書の逆の意見として、カーソンの批判によるDDT使用禁止と、マラリアの流行は直接的には無関係だ、という説もあるので注意)
月並みな言葉だが、科学は利用する者の意思によって善にも悪にも変わる、とあらためて思い知らされた。優生学思想の体現者であるマディソン・グラントは、自然保護活動家として、レッドウッド国立公園の設立や数々の野生動物保護団体を立ち上げていた。レイチェル・カーソンも魚類野生生物局に在籍していた当時、『われらをめぐる海』において生物多様性の重要性を解き、米国の大手新聞社の編集者による投票で決定される『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』を受賞している。彼らは断じて根っからの悪人ではなかったが、その意思が時代精神と融合した結果、禍いをもたらす方向になだれてしまった。その間違った方向を修正できるのは、普段から潮流の中心にいる消費者であり、我々が正しい見識を身に着けなければ、悲劇は幾度となく繰り返されるのは間違いないだろう。
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私が本書の中で一番印象に残ったのは、甲状腺がんや前立腺がん、乳がんを見つけるための早期検診の罪である。なんとこれら3つのがんは「検診による早期発見に意味はない」ばかりか、「見つかってしまえば生検や摘出手術、放射線治療のせいで身体に悪影響が起こる」という驚きの要素を持っている。
これはがんの種類が3つに分類されるという新事実によって明らかにされた。がんは進行の早さによって「見つかった時点で手遅れなもの」「見つかってからすぐに治療すれば治るもの=早期発見に意味があるもの」「見つかっても発症より先に寿命が来てしまうもの」に分けられる。乳がんはこのうちの「一番早いもの」と「一番遅いもの」が殆どである。にもかかわらず早期検診によって発見されたものをむりやり治そうとすると、かえって体に害が出てしまう。マンモグラフィーによって自分の命が救われる確率は約0.16%という研究結果もあるぐらいだ。
今常識とされている科学が、統計を取ってみると実は正しくないのかもしれない。とても恐ろしいケースだと感じた。
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【まとめ】
1 ケース1:アヘン
古代ギリシャの時代から、医師たちは痛みを和らげたり、数々の病気を治療するためにアヘンを用いたりしてきた。それと同時に、中国や南アメリカを始めとした数々の社会を破滅に導いた。
アヘンとその主成分であるモルヒネの鎮痛効果を、中毒性と分離する試みは幾度となく行われた。その道中、モルヒネのアセチル化によって生み出された薬物がヘロインである。1900年代のはじめに市販されるようになったヘロインだが危険性は取り除かれず、1918年にはニューヨーク市だけでも20万人以上がヘロイン中毒に陥った。1995年には、60万人以上の米国人がヘロイン中毒にかかっている。
アヘン→モルヒネ→ヘロインと失敗に終わってもなお、人々は次なる神の薬を求め続けた。そうして生み出されたのが、アヘンに含まれる別の成分であるテバインを使った「オキシコンチン」だった。
1995年の終わりにパーデュー・ファーマ社のオキシコンチンがFDAに承認されると、オキシコンチンの取引は盛況を見せ、薬の違法売買や処方箋の乱発が起こる。2012年には、12歳以上の1200万人の米国人が快楽を求めて処方鎮痛薬を使用していることが報告され、過剰摂取による死者は1万6000人にのぼった。
今や、鎮痛剤は年間90億ドルを売り上げる一大産業となっており、世界のオピオイド系鎮痛薬の処方箋の80%が、世界人口の5%しか居住していない米国で書かれている。
2 ケース2:アンモニア
フリッツ・ハーバーが空気中の窒素からアンモニアを精製することに成功し、世界の食糧危機は当面の間消え去った。アンモニア肥料の流通と同時に、当時のドイツ帝国はアンモニアから1段階の反応工程で得られる物質を強く求めた。それは硝酸アンモニウム、爆薬の原料である。
1915年、ドイツのライプツィヒ近郊のロイナに硝酸アンモニウム製造施設が建設され、年間24万���ンの硝酸アンモニウムが生産されるようになった。戦争が消耗戦に突入すると、ハーバーは戦争に勝利するため、全く別の形で連合国の兵士を殺せる兵器を見つけようとした。こうして生み出されたのが塩素ガスである。
当時化学兵器は国際法に抵触していたが、ハーバーは勝つことを目的にルールを破る。のちにハーバーはこのときの行為によって、戦争犯罪人というレッテルを貼られることとなる。
1915年4月22日と8月6日の間に、連合軍を攻撃するために5回に分けてドイツ軍がまいた塩素ガスは1200トンにのぼった。かつて化学肥料を製造していたBASFのオッパウ工場は、爆薬と毒ガスの専用工場になっていた。1915年の1年間で、BASFは1万6000トンの塩素ガスを生産した。
さらにハーバーは1917年、戦争で使われた化学兵器のなかでも最も危険なマスタードガスを使った最初の人間になる。最終的には風に吹かれて消える塩素ガスやホスゲンガスとは違い、マスタードガスは周辺にとどまり、地面や衣服、建物や道具類にも染みつく。すべてを洗い落とすことは現実的に不可能だった。マスタードガスは重度の結膜炎を引き起こすため、兵隊たちはほとんど目がみえなくなった。加えて皮膚や口、のど、気管にも激しい炎症を引き起こし、やがて死に至る。
戦争が終結するまでに、フリッツ・ハーバーの化学兵器によって100万人以上が被害にあい、2万6000人が死亡した。
3 ケース3:DDTの使用禁止
1962年、レイチェル・カーソンが殺虫剤の危険性を世に知らしめる『沈黙の春』を出版すると、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーリストで一位を獲得し、20世紀の最も重要な本100冊のうちの1冊に選ばれた。
レイチェル・カーソンの死去から6年がたった1970年1月1日、リチャード・ニクソン米大統領は国家環境政策法に署名し、「環境のための10年間が始まろうとしている」と宣言した。さらに国会は環境諸問委員会の設置、環境保護庁と労働安全衛生局の設立、大気浄化法、水質浄化法、殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法、安全飲料水法、環境農薬管理法、有害物質規制法、絶滅危倶種保護法の制定と立て続けに動いた。1970年4月2日、数百万人の米国人と、数千万人の世界中の人々が最初の国連アースデイ(地球の日)を祝った。自然保護活動は環境保護活動に変わっていったのだ。
沈黙の春の中で糾弾されたのはDDT系殺虫剤である。しかしDDTは、発疹チフスやマラリアの予防のために絶大な効果を上げていた。DDTほど安価で、持続性に優れ、効果の高い殺虫剤はほかになかったからだ。DDTは5億人の命を救ったとされる奇跡の薬品だったが、環境保護活動家たちはそのようには考えず、DDTの全面禁止を訴え、1972年に米国を始めとした国々で使用が禁止された。
その結果、1972年以降、5000万人がマラリアで命を落とした。その殆どは5歳未満の子どもたちだった。
最終的に99の国でマラリアは根絶されたが、ほとんどの国で根絶のためにDDTが再使用された。
のちに、沈黙の春の中で挙げられていた、人間や動物に対するDDTの影響が誇張だったことが発覚する。彼女が述べた「人間が環境に与える影響を注視する必要がある」という言葉はたしかに事実だが、彼女は少しやりすぎた。自分の偏った意見に合うように真実を捻じ曲げた���だ。
4 過ちを繰り返さないための教訓
①データがすべて。
データは大切だが、現代科学にはデータが多すぎる。雑誌に載った論文すら誤った研究成果が使われているケースがあるため、査読と再現性をクリアした論文だけを信じること。
②すべてのものには代償がある。ただ一つの問題はその代償の大きさだけ。
代償はどうやっても避けられない。特定の技術がその代償に値するかを見極めること。
③時代の空気に流されるな。
遺伝子組み換え食品のように、世間から不当に怖がられている物の真偽を見極めること。
④手っ取り早い解決策には気をつけろ。
⑤量次第で薬は毒にもなる。
カーソンのように、微量のリスクのある薬物を「全面禁止」することで、それによって防げた病気が蔓延するかもしれない。
⑥用心することにも用心が必要。
予防原則の名のもとに、益少なくして不都合なことが多い行動を取らないよう気をつけること。
⑦カーテンの後ろにいる小男に注意しろ。
怪しい健康法を掲げて医学的・科学的なアドバイスをしてくる輩に気をつけること。
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ケシの実からとれるアヘンは、古代から鎮静剤として使われていた。アヘンの最も強い成分がモルヒネ。モルヒネをアセチル化したものがヘロイン。どちらもアヘンの鎮静効果だけを残すために作られたが、失敗に終わった。
二重結合した2個の炭素原子の同じ側に水素原子が並ぶと、脂肪酸は曲がった形になり、結晶化しにくくなるため、液体の油になる(シス不飽和脂肪酸)。二重結合した2個の炭素原子の反対側に水素原子が結合すると、脂肪酸は真っすぐになり、結晶化しやすくなるため、固体になりやすい(トランス不飽和脂肪酸)。アメリカで、1956年に州間高速道路建設法が成立したことにより、ファストフード店が全米に広がり、常温での保存期間が長いトランス脂肪酸を用いた食品が流通するようになった。
LDLコレステロールには2種類ある。飽和脂肪酸は悪玉のsdLDLコレステロールを増やすことはないが、トランス脂肪酸は悪玉のLDLコレステロールを大幅に増やし、善玉のHDLコレステロールを大幅に減らす。
DDTが登場する前の1941年から1960年にかけて、26種類の鳥の数は増えていた。1970年時点で、DDTは5億人以上の命を救ったと推測されている。DDTが禁止されたときに禁止されなかった化学物質は、DDTよりもはるかに人体に有害なものばかりだった。アメリカでDDTが禁止された1972年以降、5000万人がマラリアで命を落とした。その他の国でも、DDTの禁止後にマラリアの感染が増加した。これまでに99の国でマラリアは根絶されたが、ほとんどの国で根絶のためにDDTが使われた。
がんには、どれほど手を尽くしても命が奪われるもの、進行が遅く悪性度も低く命にかかわるものがないもの、早期発見によって命を救うことができるものの3つがある。子宮頸がんのためのパップテスト、大腸がんのための内視鏡検査は、命を救うことにつながるが、甲状腺がん、前立腺がん、乳がんについては、早期に検診を受ける重要性がはっきりしていない。大規模な検診プログラムが実施されていない国において、当該のがんによる死亡率は減らず、治療による副作用に苦しむ人を増やしただけだった。
取り上げられた事例は、十分なデータを基にした客観的な判断が行われなかったことによるものが多い。科学そのものの功罪ではなく、科学的方法に適用を怠っていたり、間違ったことが原因と言えるだろう。そこに政治的な動きが加わることによって、被害が拡大したものもある。
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ハーバー法が印象的。何も知らずにただ覚えたハーバーボッシュ法。背景や、活用先、その後もたらされた歴史について、この知識を語ってくれる先生なら、化学をもっと興味深く勉強できたろうに。
優勢論や、ロボトミーは少し気分が悪くなるが、知らない世界や、前述の知識の補完には適してる。ただ、データに関しては他の方も書かれてるが、鵜呑みにしないほうがいいと思うので、人に話す時は裏付け取るのをお勧めしたい。
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読みやすく面白かった。優生学やロボトミーについては、イメージだけで知らなかったことが多いと感じた。
データがすべて。すべてのものには代償があり、ただ一つの問題はその代償の大きさだけだ。時代の空気に流されるな。手っ取り早い解決策には気をつけろ。量次第で薬は毒にもなる。用心することにも用心が必要。カーテンの後ろにいる小男に注意しろ。