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本当のディストピアは、その世界に住む人間に居心地のよさという幻想だけを与えて彼らの心身を蝕み続ける。救いのない日常だけが脈々と続いている時に、その世界に囚われている人は、側からみれば邪悪であるにも関わらず、自分の信じるもの(今作であればホメオパシーやスピリチュアル)により縋ることが目的化している。その構造から抜け出せないことが、ディストピアのおそろしさなのだと思った。
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色々よくわからない世界観。狂ってるのに、それが普通という感じで進む。
ただただ、本当よくわからないけどそれが面白い。
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科学が否定され、はるか昔のアニミズム的な思想に大きく(変な方向に)揺り戻されたような、仮想未来の世界。
社会で是とされる価値観に、自身の考えも依拠してるんだよなあと思ったり。
なんだか居心地悪いけど、面白いぞ!とずんずん読みました。
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自分のまわりにもややスピってる人がちらほらいるのでオビに惹かれて予備知識0で読み始めた。
気になったのは「スピリチュアルと科学が逆転」しているのに誰も幸せそうじゃないこと(現状が誰も幸せじゃないということかもしれないが)。この世界には妙な新興宗教が行き渡っているらしいのにミカエルおいしいから食べてるという人は出てこない。やたらと自分より「高次」の人が出てきてなんとなく受け入れがたいことをさもありがたいことのように押しつけられている。スピリチュアルにも、隠れてこっそり手を出す科学にも救いがない(ラストにちょっとだけあるような?)。結局スピってようが何してようが他人にマウントすることだけが楽しみということなのだろうか?この世界できちんと幸せを享受している人もいてほしかった。
そして、本を見かけた時から読み終わる瞬間までとにかく「気持ち悪さ」に溢れていた。ナイツのネタのボケくらいの頻度でおとずれる気持ち悪さ。自分は特にカギかっこが無理。何度もやめようかと思ったが根性で読み進めるうちに、慣れたのか麻痺したのか読み流せる(?)ようになった。これも戦略なんだろう。作者すごい。
以上の点から、「スピリチュアル(笑)をネタにした冷笑系ディストピア小説」と雑にまとめつつ、新興宗教の妙さをネタとして消費しているうちに起こった凄惨な事件をを思い出したり、結局リアルなスピ系友人とは疎遠になる一方なんだろうなと思ったりしている。
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相変わらず世界観全開の話。
「三十八度通り」「千羽びらき」「猫の舌と宇宙耳」
藤子F不二雄の「気楽に殺ろうよ」みたいな価値観の逆になった世界、科学とオカルトが逆になったディストピアな世界。青年、お婆ちゃん、子供の視点から見た、その世界。
まさか「るん(笑)」があんな高次ギャグだったとは。癌→蟠り→るん(笑)どういう事?っていう。
言い間違い(誤り?)を指摘したら「そう言ったがね!」と切れるタクシー運転手とか、価値観逆でも人間性は割とそのままなんだなっていう感じがまたリアル。
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SNSで話題になっていて興味のひかれる感想を見かけたので読んだ。
面白かった。世界の基本がスピとオカルト。科学はバカにされる世界。血液型で性格が判断されるのが当たり前で、水星逆行や月の光の力を信じてる人ばかりの世界!私もオカルトかぶれだが、この本を読んで「心底信じてるわけではないな……」と実感。そして心底信じてる人ばかりだとやばいなぁと。
あとネットでよくある「人間は猫の奴隷」という半ば冗談半ば本気の鉄板ネタまで「真実」となっている世界だった……!猫のフンにいる寄生虫で人間を操ってるとかなんとか……猫を可愛いと思うのは寄生虫のせいだって。
思考盗聴とか地縛霊とか龍が当たり前の世界。
アセンションが当然にあるものとして扱われている世界。すごいなー。すごい。面白かった。
真弓の良かれと思っての行動の怖さよ。
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世界観はなかなかぶっ飛んでいて覚悟がいる、けれど筆致追いついてないような印象を受けた。日常の常識をひっくり返す小説は好みなので、ほかの作品も読んでみたい。
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終始退廃的で、本当に気味が悪いけれど、我々人間が辿ったかもしれないルート…
この中の世界線での当たり前が、身近にある我々の生活に掠っている部分もある…
なんとなく縁起が悪い気がするとか、穢れている感じがするとか、(食べてる間声を出したらいけないルールの恵方巻きを例えに出している人がいてわかりやすかった)そういうの書き出したらキリがないくらい自分の思考とか行動にぴったりくっついている 今まで生きていて染み付いてしまっている よくよく考えたら超怖い
読んだ後ふと自分の行動を振り返ると根拠も理屈もない、この世界線となんら変わらない理由で疑問にも思わず続けている身近な習慣もあるよな…と思い変な感じになった
あと母親や祖母がいう、「白湯をとにかく飲むといいんだよ!」「毎日太陽浴びた方がいいっていうから30分散歩してるの」「コロナはマスク二重がいいらしいよ」本人たちは本当に良かれと思って言っているけれどこれらも同じだよなあ…
孫をタコ殴りにするお爺ちゃんとか、ボコボコの息子に気づかないお母さんとか、戦争で亡くなった人を子供に祀らせるとか、結局自分のために奥さんをいいように使う旦那とか、とにかく生理的に嫌!!!!というシーンがたくさんあったけど、本としてはとてもよかった…
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https://www.lib.kyutech.ac.jp/opac/search?q=9784087717303
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変な話、酉島伝法とは知らずに読み始めて、すぐに「なんだか読んだことのある感じがする」と気付いて、『皆勤の徒』のその人とわかりました。
現代を描いて見せてもこの説得力、圧倒的な筆致。
この本に出てくる人たちはどうにもイヤな感じですが、決してイヤな話ではないんですよね。読み物として単純に面白すぎます。イヤな場面を描いて、読者の心に爪痕を残すとか、そういう類の作家ではないです。「考えさせられる」といった読後感でもないです。エンターテイナーの最高峰だと思っています。
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すごい(笑)
けどあながちなさそうではない世界という恐怖もある…。
物事を形容する言葉がおもしろい。ナースコールのボタンのことを縄跳びの持つところみたいなって表現したり(笑)
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読んでいるとこちらまで微熱が出るような、変な熱に浮かされるそんな作品。三編からなる短編集だが、全てスピリチュアルと科学が逆転した世界を描いている。
体温は高い方が良い、薬に頼るのは良くない、乳児は母乳で育てた方が良い、AB型は二重人格云々、信憑性の高さに濃淡はあれど、どれも何となく聞いたことのある内容であるが、それらが完全なる「正義」であり「善」である世界に放り込まれた時に、正常を保っていられるだろうか。よく分からないがその世界では当たり前となっているらしい単語(「丙」(「病」の意。「やまいだれ」は不謹慎なので使わない)など)が何の説明もなく連発されどんどんと進行していくので、読んで違和感を覚えている自分が異端であるかのような錯覚に陥る。
しかしこのような世界観も、実はすぐそばに存在しているのかもしれない。それはスピリチュアルだけでなくて、例えば実しやかに陰謀論が囁かれたりコロナには花崗岩が効くという噂が流れたりするように、社会情勢の不安定さと人心とが噛み合わさってしまった時に眉唾物の話がいとも簡単にたくさんの人に信じられるという現象は実際にある。人は実は簡単に「るん(笑)」の世界観に生きることができるのだろうなと思う。
「三十八度通り」★★
「千羽びらき」
「猫の舌と宇宙耳」
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面白かった。
この作者の本は初めて読んだが、独特の世界観。
私達のいる現実とは違う常識で動いている人達の話なので、そのズレが初めは読みにくい。
でも実は、私達の世界を少し大袈裟にしただけで、そんなに違わないのかもしれない。
ドキッとする嫌なSF,
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ジャパニーズ・ディストピア。
海外にも迷信の類はあるだろうけど、漢字や言葉に対して抱く宗教的な部分は日本の方が圧倒的に多いだろうなあと。
言葉遊びは自分も嫌いじゃないけれど、がんばるを顔晴ると書いたり、祭りを間を釣り上げると言ったり、そういったものを聞いたときのヒャッとなる感覚が濃縮されていた作品だった。
設定については、風呂敷は広がっていたものの、ほぼ説明がないまま終わった点はちょっと微妙かも。
例えが古くてアレだけど、みのもんたと細木数子が日本を征服したらこうなりそう。知らんけど。
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「エセ科学が勝利した社会」の日常を描いた小説です。
日常だから、ご飯を食べる、風呂に入る、会社に行く、などなどが淡々と展開するのですが、
あっちもこっちも私達の 当たり前 とずれていて、
段々気味悪くなってきます。
段々気持ち悪くなります。
よく描いたなあ、と感心します。小説ならでは(読み手の想像に情景の解釈をゆだねながら、実はその読み手の常識を揺さぶる) の効果的な描写のおかげで鳥肌がたちそうでした。
ホントに気持ち悪い読書体験でした(笑)