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「天才による」と銘打っておきながら”はじめに”の冒頭で「僕は天才ではない」で始まる本書。
「僕にとっては僕の短歌がこの世でもっともつまらない」、「僕が披露できるのは手品であり、魔法ではない」、「タネも仕掛けもある僕の短歌は僕の胸をどうしても打ち抜くことができない」と自身の短歌への想いが続く。
一読者として読む身としては、わかりやすく、その中にはっとさせられる解釈を与えてくれる木下さん”天才”かもと思っていたが(だからこの一見傲慢なタイトルもことば遊びの一種かなと思っていたが)、その思いに反していきなり思ってもみなかった切実な心情を吐露される。
そして、この本は「僕には消すことのできない鳩を、どうか本当に消して欲しい」という思いでそのコツを未来の天才に伝えるための本とのこと。
そこから続く短歌づくりのコツ達は、今のところ詠まない読者である自分にとっても大変興味深いものであった。
特に「歌人になる」、「歌人として生きていく」の章はさながらビジネス署、自己啓発書かのような確固たる生き様・姿勢を示してくれており、短歌を離れても日常との向き合い方にも応用できそう。
巻末に掲載されている「あなたのための短歌展」の歌を読んで、ああやっぱり自分は読みが浅いなと実感。
お題があるのとないのとで歌の面白味が全然変わる。
逆に言うと、歌だけだとそこに潜む真意に辿り着けていない。
奥が深い。
ことばって面白い。
〇気を抜けば平凡になる人生へ西荻窪という劇薬を
〇どこへでも行けるあなたの舟なのに動かないから棺に見える
〇あきらめの吐息でもいい銀色の冷めた身体に熱をください
〇花束をほどけば薔薇のそれぞれにかけがえのない傾きがある
〇とびきりな容姿のせいでたましいを見てもらえない美女も野獣も
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短歌って季語がいるのかと思ってたけど、いらなかったのか。そういえば、そうだったか。
促音と拗音の字数の違い等、独特のルールが目から鱗でした。短歌がつくってみたくなる本。
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天才木下龍也が書いた短歌を詠むための本。刺さる部分はたくさんあったが、特に「目を閉じて、よく見ろ。」というパートが印象に残った。現実そのものを切り取っているわけではないところに短歌、もっと言えば言葉の面白さがあるなと思った。
以下引用
いまこの瞬間を書く必要はない。あなたが書くべきはあなたが見ているその月ではなく、あなたがいつか見たあの月だ。いまこの瞬間、あなたが見ている月について言葉はいらない。どんな言葉よりもその月の方がうつくしいからだ。(中略)それが思い出になったとき、目を閉じてもう一度その記憶のなかの月をよく見てほしい。おそらくに何かが欠けていて、何かが不鮮明になっているはずだ。そこにこそ詩の入り込む余地がある。
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短歌初心者に向けて
様々な方法を具体的に説明してくれている
短歌の作り方だけでなく
歌人になるためのアドバイスもあり
特に推敲編が面白かった
投稿された短歌に対して
どういう切り口にするとより素材を際立たせるのか
具体例を見ると納得しやすい
また、著者本人の作品の推敲もあり
半分の虹は地面の下にありその七色を死者は見ている
という歌が
虹 土葬された金魚は見ているか地中に埋まるもう半輪を
となるまでの変遷なども面白かった
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10年近く前のエキチカか何かのイベントに出演されていて、この人が1番面白かったような記憶がある。内容覚えてないけれど。違ったっけ。
それで詩集買ったのですが、わかったようなわからなかったような。で放置していたのですが、池袋の丸善で新作に出会う。
今回の本はすごくわかりやすくて、紹介されている歌も綺麗で、短歌が好きになりました。なんなら詠みたいくらい。
ゆるふわart塾の話が、共感、納得、驚異の話に近いなと思ったら小林がこの本を紹介し始めたというすごい偶然。恋愛モチーフの話に持っていったけど、多分ここのこと言いたかったんじゃないかな。
しかも新刊でもないのに最近読んだというタイミングがぴったりなのがすごい。
あと、阿修羅ガール、私も大好き。
言いようもなくさみしいから好きばかりかけ算したような本が味方でいてくれるのが救い。
なぜ胃が痛いのかというと食べ過ぎだと思うけど。
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歌人の木下龍也さんが、これまでに培ったいくつかのコツをまだ短歌を始めていない未知の天才に伝え、なるべくはやく天才になってほしいとする天才による凡人のための短歌教室。
短歌をつくり始めて一カ月の私はとても面白く読みました。
「僕にとって最高の一首をつくるのは僕ではない。この本を開いたあなただ」
やっぱり短い短歌が生業なだけあって、キャッチコピーが天才的に上手いと思いました。
以下、メモです。ご興味のない方はスルーしてください。
・歌集を読むこと。
・歌人の中からふたりを目標とし、徹底的に真似してインストールする。
・作歌を日課に。
・テレビを観ろ。新聞を読め。
・みんなの頭のなかにあること=共通項。自分の頭のなかにしかないこと=独創性。このバランスを調整すれば、共感(そうそうそうだよね)の歌、納得(そう言われてみればそうだね)の歌。驚嘆(感嘆符、ときどき疑問符)の歌をつくることができる。
・定型を守れ。
・助詞を抜くな。
・文字列をデザインせよ。
・一首で遊び倒せ。(「推敲」する)
・商品をつくれ。(選者の選ぶ歌の好み、傾向を把握する)
・投稿で負けまくれ。
・(困ったら)雨を降らせろ。月を出せ。花を咲かせろ。鳥を飛ばせろ。風を吹かせろ。ひかれ。だれか、何かを待て。時間、空の様子、季節を述べる。
・きらきらひかるな。
・固定されたものごとを分解し、流動させろ。
・すでにある物語やニュースを活用し裏切れ。
・死をいじくりたおせ。
・神をいじくりたおせ。
・メッセージではなくパッケージを盗め。
・群れるな。
・自作と自分を切り離せ。
・歌人以外の顔を持て。
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短歌の作り方や読み方を教えてくれる本。
しかし、その考えは日々の生活に通ずることが多く、参考にできることが多かった。
普段クリエイティブな作業をすることが多いので、とても参考になった。
また、短歌についても興味を持つきっかけになった。
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雨を降らせろ。月を出せ。花を咲かせろ。鳥を飛ばせろ。風を吹かせろ。ひかれ。だれか、何かを待て。時間、空の様子、季節を述べろ。
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短歌だけじゃなくて、地の文も魅力的。
『僕が人生を続ける意味が本屋の棚のどれかの本の何ページ目かに太字で書いてあることを願っていた。』
『どの恋も平凡で特殊だからだ。』
あと推敲の際の思考過程がロジカルで非常にわかりやすかった。
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短歌を身近に感じさせてくれた一冊。あのリズムと31音に何かを感じずにはいられない。自分でも作って遊んでみたい。
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短歌に興味があって読んだが短歌だけでなく、
他のことにも応用できるようなことが書いてあり、とても良かった。巻末作品も素敵。
本棚に大切に置いておきたいし、行き詰まった時に何度でも読み返したい。
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短歌に興味を持ち始めて間もないが、本作では著者が歌をつくる際の言葉の取捨や組み立て方を具体的に示してくれていて大変勉強になった。言葉や文の善し悪しの見極めにはめっぽう自信がないが、様々な文献を読んで感度を上げていきたい。
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歌人・木下龍也による短歌をつくるためのコツや歌人としての生き方が書かれた一冊
タイトルがかなりイカついなと思ったけれど、内容は短くまとめられていて分かりやすいです。
なによりも、木下氏の詠む短歌が凡人から見ても天才…寧ろ天才だと思わせるほど言葉と向き合ってきたんだろうと感じます。
この本を読めばたぶん短歌に対しての見方や詠み方が変わると思います。特に助詞を抜くなと言うのは、やりがちだったですね。自分の気持ちを伝えるために1番近い表現は口語調だったり現代の言い回しであって、古文みたいな雰囲気じゃないよなって気付かされました。
短歌は「今この瞬間」の表現よりも、過ぎ去った愛・言えなかった想い・見逃した風景を書くのに適している、記憶の中にある思い出を結晶化させるのに最適なツールであるとの一節は、短歌をつくる上でも生きていく上でも自分の心を自分で覗き込むことの大切さを学びました。
短歌、つくりたくなりますよ
天才が
ぼくの心の
風景を
さらけ出させる
31字のレクイエム
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読みやすくてするすると最後まで読み終えられた。『天才による凡才のための短歌教室』ってそういう意味か。
短歌を作るときのノウハウが詰まっており、初心者でも取り組みやすいこともたくさんあった。短歌を詠む習慣を作り、短歌の世界にもっと浸かりたくなった。
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歌人・木下龍也さんによる短歌の作り方の本。
木下さんがどういう観点で短歌を作っているのか書いてあって、エッセイのようにも楽しむことができた。