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ホームズが指紋や筆跡といった証拠から推理したということは初めて知った。現実の捜査を先んじていた(むしろ警察がドイルの小説を参考にしていた)というから驚きである。ちなみに、2時間ドラマ等でよく登場する「ルミノール反応」も化学反応である。
考えてみれば、研究と事件の捜査は似ている点が多い。観測や実験から証拠を集め、解き明かしたい現象について論を進める。もっとも、事件の犯人はたいてい自然なので、主な関心は「なぜ」や「いかに」に置かれるが。
カバーを外した表紙にもこだわりを感じる。ぜひその目で確かめてほしい。
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訳者あとがきにある通り、ホームズの物語を科学で解説するものではなく、科学をキーワードにして、ホームズの物語を読み解く、というもの。
著者も訳者もシャーロキアンであり、かつ科学者であることから、他のホームズ解説本とは一線を画すなと思いました。
アシモフもシャーロキアンだったのですねー。知らなかった。そのアシモフは、ホームズの”化学”者としてはこき下ろしいているそうですが、それを反論を試みようとしているものの、残念ながら、ホームズの化学者としての業績はあまり大したことがない、という結論になりそうです。
<マスグレイヴ家の儀式書>で死んでしまったブラントンが、地下室に閉じ込められ、窒息して死んでしまうまで時間を、人間が呼吸に必要な酸素濃度の変化を算出し、ホームズが死体を見ていったセリフ「死後何日もたっている」が妥当かどうかを、わざわざ理想気体の状態方程式から計算しています。これにニヤリと出来る人には、是非お勧めです。
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シャーロック・ホームズの小説の中に、これほどまで科学的な記述が多いとは思わなかった。化学実験をしている場面があることは知っていたが、操作法でも指紋や足跡に注目するなど、当時の警察に先んじて科学捜査方法を取り入れていたことや、数学の用語を使った会話など、多くの方法で科学者としてのホームズを見ることができる。これらの記述は、コナン・ドイルの博識に裏付けられていることだが、それがホームズを魅力的にしていると分析している。多数の小説の例をひいていて、わかりやすく説明してくれている。そして、あらためてシャーロッキアンはすごいと思う。
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シャーロックホームズをあらゆる面から精査して、人物像もくっきりしてくるが、何より科学、化学に味付けされた犯罪捜査が正しい判断だったかどうかなど全作品から調べていて驚きの詳しさ。写真や数式なども挿入され分かりやすく書かれている。
ホームズファンは勿論、そうでなくても面白い。
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ホームズの魅力は観察力と分析力にあるけど、それを支えているのは科学的な視点。現代からすると当たり前の科学捜査だけど、ホームズは捜査に科学を取り入れた最初の人物ってことになる。
指紋が個人の識別に有効であることが証明されたのも19世紀だし、いろいろな毒物が分離生成できるようになったのもこの頃からだ。近代化は産業だけでなく犯罪や捜査の世界にも影響を与えたってことだね。ま、当たり前だよね。