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実の父親から性的虐待を受ける娘のせれな。ある時、4人組ロックバンドのThe Cupsのボーカルであるリアンに恋をした。リアンは例えるならビートルズのジョン・レノンのような存在。せれながリアンを知った時はすでに故人だった。リアンの人生は彼の伝記で知る。せれなは妄想の中でリアンの恋人となり、20年間を過ごす。せれなにいやなことがあれば、リアンが助けてくれる。妄想の中で、せれなは幸せだった。しかし、伝記には嫌な側面も書かれている。徐々にリアンのいやな面が現実世界の自分と重なってくる。20年間も苦しみに耐えたセレナ。冒頭を読み直したところ「だから今夜リアンの元へ行く」という文章が重く心に響く。
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テーマは興味深く、志の高い小説。
憧れの存在への失望って、あるあるすぎて・・・
正直海外のロックスターとか現代の倫理に照らし合わせたらみんなクズやんとは思うけど。
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日本文学にも、アメリカの現代文学のような作品があるんだなとの感を強く持った。
描かれる世界が、病んだものであり、内面を描いているからだろうか?
読まされてしまうが、好きではない。
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ただただベラさんが気の毒、(鬼畜父のブラジル人の再婚相手)。死んじゃったけどあの父親も殺してくれたからまぁよしとしよう。
なんでこんな不快(父親が娘に性的虐待をする)な小説読んだのかというと、川上未映子が絶賛してたから、特にラストを。
リアム(ロックバンドのボーカル)に恋い焦がれるあまり妄想か現実か虚実がわからなくなってきている主人公。
幼い頃に性的虐待を近親者から受け続けると逃げ道として多重人格になりやすいと聞いてけどこの症状もそうなのかも。
さくっと短時間で読めたけど、内容が内容だけに気分は萎えたよね。
ラストで晴れるかとも思ったけど、そうでもなかった。
ただ、淡々と日常が続いていくであろうことを示唆して終わり。
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性的虐待〈性被害〉という深刻で根深い問題を、安定した筆致で読みやすく、ユーモアを見失わずに書き切った著者はすごいと思います。
主人公は夢の中のような妄想世界で憧れの人やその兄と対話することで、自分自身を見つめ直し、確かな一歩を踏み出したのだと思いました。
随所にスターの伝記本の内容が記載されていて、全部で30ページ程ありますが、この短さでザ・カップスのリアンの生涯と3人のメンバーのバックボーン、バンドの結成から崩壊に至るまで記すのは凄技だと思います。インタビュー映像の描写も写実的で伝わりやすい。
あとAVの設定やテレビのグラビアタレントの発言への違和感などもそれとなく書かれていて、ちょっとだけ胸がスカッとしました。
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重たいテーマ。
倒錯していく心の内と拠り所になるリアンの存在のバランスが逆にリアルにも感じた。
このテーマをこんな読みごごちで書けるのは、確かにすごい才能だと思う。
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性的虐待から心を守るためにつくられた妄想が意思を持ち、現実との切れ目がなくなる。
自分がつくり出した妄想が、やがて意思を持ちケンカもする。
現実と妄想が混然一体となって、渦になり加速して、世界一美しいラストへ。
心地よい風を感じて目を覚ますと、視界の端にうちわを持ったリアンがいた。「大丈夫かい?」うれしくて彼の手に触れようとすると、水玉のブラウスのボタンが全開で、白いスカートのファスナーも下げられていることに気づいて飛び起きた。震える指先でボタンを留めるせれなに向かって、リアンは「勝手に心地よい風を感じて目を覚ますと、視界の端にうちわを持ったリアンがいた。「大丈夫かい?」うれしくて彼の手に触れようとすると、水玉のブラウスのボタンが全開で、白いスカートのファスナーも下げられていることに気づいて飛び起きた。震える指先でボタンを留めるせれなに向かって、・・
せれなを見ると瞳をうるませながら「かわいそうになぁ」「最低な親やなあ」「怖かったやろ」と言うようになった。全てが役に立たない言葉だった。伯母は無神経だった。
もうこんな危険な仕事は絶対にさせない」いつになく真剣な顔だった。「ねぇリアン」せれなはどうしても聞きたいことがあった。「なんだい?」「私を運んでくれたとき、その、重くなかった?」「むちゃくちゃ軽かったよ。何言ってるの?」リアンは眉間にシワを寄せ、語気を強めて言った。「だって、あなたってすごくスリムなんだもん。私ただでさえ背が低いし、自分が太って見えてくるの」「いいや、君はむしろ瘦せすぎなくらいだよ。顔がシャープすぎるし、手足なんて棒きれみたいだ。無理なダイエットは絶対に控えた方がいい」さらに強い調子で言われたので、せれなは毛布を握りしめておとなしく「はい」と認めるしかなかった。リアンはほほえみながら頷いた。
せれなの触り心地はざらざらでボコボコだったはずだ。どこがプリプリだったのだろう。きっと父は若いおなごだと認識すれば、実の娘でも年老いた男でもペットボトルでも何でもよかったのだ。悲しいが腑に落ちた。
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くそ野郎が出てくる小説読むと小説に入り込んでぶち殺したくなってきますが、この本に出てくる父親も乗り込んで行って殺害してやりたくなります。
この本の凄い所は読んでいるこちらがTHE CUPSという70年代のロックバンドを居たと脳が判断してしまいそうな位の書き込みです。僕がたまたま70年代ロックマニアであった事もありますが、このバンドの曲聞いてみたいなと思いました。
こういう言う場合って有名バンドのエピソードに寄せるので、ビートルズだったりストーンズだったりモデルいそうなんですが、モデルが思いつかない上になんかこういうバンド居そうなエピソードなんですよね。それが非常に良い。
バンドのイメージとしては、音的にはビートルズ、フロントマンのリアンの風貌はジャパンのデヴィットシルビアンかクーラシェイカーのクリスピアンミルズって感じです。年代がビートルズというよりかはクイーンなのかなって思ったけど、さすがに風貌がちがうしもうちょっとガレージっぽいバンドな気がした。
父親の性的虐待で心に傷を負った主人公が、自分を保つ為に作り上げたイマジナリーフレンドが、既に亡くなっているバンドのフロントマンという痛ましい話です。
非常に胸糞悪いですが、自分の心に作り上げた桃源郷で生きる姿の悲しい美しさに胸打たれます。
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わたしはとてもすきだ。推しは救いと心の平和をくれることを何よりも知っている。せれなが生き続けてくれて日常を歩いていてくれてることにものすごい救いを感じた。ひとりでも、なんとかここまで辿り着ける。そう思わせてくれたのがとても良かった
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感動した。あまりにも辛い現実を、そのまま表現するのではなく、少ない表現のなかから、伝説のロックスター・リアンを随所で登場させた事。細かい事情を述べることなく、せれなの内面が理解できる。読む側としても、暗い気持ちの悪さで終わる物語ではなく、ラスト2行が救いとなった。
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共感しながら読めました。内容が内容なので途中しんどい部分もありましたが、そこまで長くないので読めました。ラストも良かったです。