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第1巻の時点でアルベールとレネの関係性はしっかりと描かれていた。けれど、それは内向きに物語が広がっていたともいえる。
それを踏まえればこの2巻では外向きに物語が広がり始めたと言えるのかな
呪いとある程度付き合えるようになり、王宮へと戻ったアルベール。だけど誰もが呪い子であるアルベールがそこらを彷徨くことに納得できているわけではない
その急先鋒であり体現者として登場するのが宰相ヒューゴとなるわけだね
呪いの連鎖を危惧する彼はロザリーを送り込む形で牽制を始めるのだけど、呪いという絆を持つからこそ自分達は傍に居たいと感じる二人にとってヒューゴやロザリーによる妨害なんて何の意味も持たない
だから、二人は逆に、何故ヒューゴが呪い子をああまで恨むのかという点を突く事ができるわけだね
2つの連鎖する呪いによって多くを失ったヒューゴ。その経験を思えば、呪いやそこから生み出される憎しみを恨むのは当然と思える
けれど、ヒューゴは結局ヒューゴ自身が知っていることしか知らない。話を聞く前にジゼルの時を止めてしまったから彼が知らない苦しみを知らない。
そういった意味では彼が忌み嫌っていた呪いを『願い』に変えて、二人の時間を再び動かしてみせたレネとアルベール、そしてロザリーの行動は素晴らしかったね
このようにして呪いへの偏見を一つずつ変えていくのだろうと想像するには充分なエピソードだったね
次に訪れたのはレネの故郷ですか
レネにとっては大切な養親が居る土地であり、同時に自分のせいで養親が危険な目にあった土地であり……
そんな土地であっても普段の笑顔を絶やさないのは流石。けれど、そういった土地だからこそ、普段よりも命の大切さを意識してしまうようで
それがフーを体を張って助ける行為に繋がり、更にはフーの事情に首を突っ込む事態にも繋がってしまうのか
フーの事情、そして彼の背後に居る人物への制裁は簡単には済まないように思うけれど、この守るべき対象が多すぎる局面において、命を捨て置け無いレネとアルベールはどのように行動するのだろうね
そういや、あまり本筋には関係ないけれど、少しずつレネへの独占欲と依存を強めていくアルベールの様子は微笑ましくもあり面白くも有りますね