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三島屋変調百物語の第七弾
◯火焔太鼓
語り手は美丈夫を絵に描いたような武士・中村新之助。
全ての建物が木材であるこの時代、最も恐れられた災厄である火事。
その鎮火の際、途切れる事なく打ち鳴らされる太鼓があった。
それは、鎮火に当たる火消しの心を文字通り鼓舞する為…と言うよりも、太鼓の持つ霊的な力によって正に火を鎮めてしまう神器であった。
その太鼓に宿る神「ぬし様」とは…
藩内でも極々少数の中枢の人間しか知らない秘密。
見目も美しく文武両道で、藩の神童であった兄・柳之助と、不器量この上無い嫂・よしとの縁談の謎…
そして、よしの正体は…
◯一途の念
語り手は串団子屋台の売り子・おみよ。
ある日、不器量だが愛想の塊のようなおみよの慟哭を目にしてしまった富次郎は、吐き出された言葉に震え上がる。
「やっと死んでくれたぁ!
おっかさん」…
母親似の美少年で三つ子の様にそっくりな三人の兄と不器量な末娘・おみよ…。
美しい母親の辿った数奇で残酷な人生とは。
◯魂手形
語り手は、季節外れの浴衣を粋に着こなしで現れた鯔背な爺さん・吉富。
十五歳のころ、家業の木賃宿で起こった出来事…
人に非るものとの遭遇。
そして、迷える魂を成仏に導く水夫と呼ばれる人間の存在。
迷魂、哀魂、怒魂、怨魂…
吉富の育ての母・お竹の深い愛情が泣かせる。
巻末の、
おちかの行く末に関する暗示めいた夢…
やな感じ!
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三島屋シリーズ。ある藩での火消しシステムにまつわる怪異、だんご屋のおみよの暗い過去、成仏出来ない亡魂の三篇。
すごく好みだった。シリーズベストかも知れない。ストーリーが何重にも複雑になってるのも好きだ。
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面白かった。富次郎がおちかから引き継いで2作目、おちかはでてこないが、おちか情報はたっぷり。語られるのは3つで、火焔太鼓、一途の念、魂手形。百物語にふさわしい、異形が出てくるトワイライトゾーン的なホラーではあるが、ベースが人情話で読了感暖かくほっこりさせられる。3話すべて甲乙つけがたいが、やはり読み応えがあるのが魂手形、好みなのが火焔太鼓。一番気持ち悪く、ゾッとしたのが一途の念。
ただし、今作のエンディングはめちゃめちゃ不穏。やだねぇ。
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初読。図書館。語り手の話す物語はどれも悲しい。ひとつひとつが短編小説になっている。おちかは自身に苦しみを抱えた聞き手であったが、富次郎は今のところのんきな小旦那。ラストでおちかに縁の「商人」が登場し、不吉な予言めいた言葉を残したことで、富次郎自身が物語に巻き込まれていく予感にわくわくした。
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どちらかというと心情話が多かった。
本当は怖い話なのだがのほんわかした感じで終わる...
と思ったら、最後の最後が怖かった。
続きが怖いけど気になります。
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百物語シリーズ7巻目
主人公が男性の「子旦那」になって2冊目。
中編が3編。それぞれ趣向が違うけどタイトルになってる3話目「魂手形」がガチホラー。ちょっと半村良的な深い世界がありそうなので、この設定はまたでてくるのかも。
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今回も怖かったです。
火焔太鼓 一途の念 魂手形
小旦那になってから 話が怖くなっている
なかでも 火焔太鼓はすごーく怖い 自分の大事な人がそんな事になったら正気では、いられませんよね。小さな村のなかのしきたりって…怖すぎます。
一途の念はよみすすめながら「孤宿の人」の「ほう」を思い出しちゃいました。小さい女のコは幸せでいてほしいです。
魂手形は あの世とこの世の話 怨魂と怒魂…怖いですがありそうですね
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手に取ったとき、いつもに比べて薄いな?と思ってしまった。けれどいつものように読み応えは抜群。
「火焔太鼓」で爽やかな雰囲気で読み始めたら最後ですうっと背筋が寒くなり、「一途の念」で小旦那さんの小さな恋心にほっこりして、「魂手形」で三島屋のこれからのことに思いを馳せる、そんな一冊でした。
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さすが宮部みゆき。哀しさや怖さや切なさが描かれていてもそこにちゃんと優しさや真っ当さも書いてくれているから読んだ後の後味が悪過ぎない。でもこのシリーズは宮部みゆきの時代物の中でもつらい話が多いなあ。
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タイトルの『魂手形』が良かったです。聞き手が「おちか」のころは「黒白の間」が不気味だったのですが、「富次郎」になって「どこの部屋で聞いても同じ」と思う。聞き手が「富次郎」である必要も?と思ってしまいます。
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三島屋シリーズ第七弾。
三つの話があるが、やはり最後の表題作が一番いいかな。あの世に行けずにさ迷ってるお化けが出てくるが、ただのお化けの話にならないところは流石。
最後、富次郎に何かが起こりそうな予感を残して終わる。
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宮部みゆきさんの待望の作品。
おちかさんが主人公の時から読んでいましたが、とても、興味をそそるお話です。
もちろん、話の中の話の中ですので、サスペンスドラマを見てるようなスピード感あふれるような感じではありませんが、で?それで?次は?っと問いたくなるような話しの流れです。
宮部さんの作品は、あたかも自分が今そこで見聞きをしているような気持ちになり、現代の私がその時代の服装をして佇んでいる。そんな作品です。
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火焔太鼓
一途の念
魂手形
聞き手は富次郎。
火焔太鼓では、お侍さんが語り手。
火を消し去る太鼓を持つ小藩のお話。
殿様も家来たちも仲がよく、その分だけ太鼓に纏わる悲しい秘密が理不尽に思われました。
一途の念。
団子を屋台で売るおみよのお母さんが亡くなり、その母の秘密を語ることになる。
奉公先の主人次第で、人生が左右されることを思うと、三島屋は、主人、家族、奉公人ともに仲が良くて良かったです。
魂手形の語り手は、かって木賃宿を営んでいた吉富。
そこに現れた病弱だけど、浮かばれない霊を伴った男のお話。
宮部さんの描くおばけは、ここではろくろっ首ですが、人間らしさがよく現れていると思いました。生きている人間の方が余程、悪霊に見えます。
おちかに子供ができた事が出来たおめでたい話から始まるけど、最後は不吉な夢?で終わる。
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今回は七冊目。百物語の聞き手としてようやく富次郎も板についてきた感じ。
一つ目、火焔太鼓。
山奥の村に伝わる火焔太鼓。火事を治める不思議な力を秘め、代々領主が受け継ぎ、それを支える者がいる。
これは現在進行形の話、と語り手は語り、富次郎はその心意気に涙する。
富次郎の行く末を案じる導入話でした。
二つ目、一途の念。
生活していくために働いて育ててくれたおっかさんの一途な念は、人を欺くほどの想い。
それを目の当たりにした子どもたちの生きざまは、逞しくも悲しい。
富次郎もちょっとだけそれに触れ、未来の幸を願い、聞捨てる。
三つ目は、タイトルの魂手形。
迷い哀しんで、怒りと怨みに溢れた、あの世に行けなかった魂を導く者の話。
現代でも知らないだけでそんな生業の人がいるのじゃないかと思う。
でもこの話の最初におちかさんが子を宿し、三島屋の面々は喜びにあふれる。それなのに、話の最後ではおちかさんの婚礼の日にも現れた不穏な者がやってきて、富次郎に忠告する。
それが何者であろうとも、おちかさんを守ると宣言するものの、おちかよりも大事な人ができたらどうする?と問いかけて消える。
富次郎の未来はまだわからない。
まだこの話、ゆるゆると続けてくれそうで楽しみ。
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一夜一人が語り手で一人だけの聞き手でその話しは誰にも漏らさない決まりということで、なかなか面白かったよ