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ミュージアムというと それまで
ハコモノ、価値あるものを保存して展示するところ
という認識でしかなかったけど、
この本では,ミュージアムには2つの役割があるとして書かれている。
・ミュージアムはひとに寄り添うもの=人生のさまざまな時期にさまざまな目的で利用できる
(図書館で言うと、受験勉強のために通い、子供を連れて絵本を借りにきて、老後はお散歩コースとして本を読みにくる、みたいな)
・ミュージアムは地域のコミュニティの場となり、人とまち、人と人を繋ぐもの
ちょっと専門書っぽいところもあるので
どれだけ人に勧められるかはわからないけれど
自分にはかなりささる話が書いてありまして
地域との関係 の事例で北海道士別市朝日町郷土資料室の「知恵の蔵」というプロジェクトの話が面白かった。
ざっくり言うと、地域のお年寄りたちの記憶を記録する、というもの。
平成の大合併で「朝日町」が「士別市」となり名前がなくなってしまったが,
当時のものや記憶を残そうという元小学校校長先生の提案で、
50代から90代の住民に話を聞いたり、家に残っている古いものを見せてもらうことに。
最初は何気なく協力していた高齢者たちが、
自分たちの親世代や、その前の記憶を記録することに誇りを持ちはじめ
やがて
知らない人同士だった参加者や施設の職員が仲良くなり
孤独だった高齢者たちがイキイキしだした、と言う話。
高齢者が自分らしく生きるにはどんなことが必要か?が
最近のマイテーマなのでこの事例がとても面白かった。
そのほかにも北海道東川町の文化によるまちづくり、公共施設マネジメント
も出ていました。
東川町の名前、最近よく聞くような気がする?
そういえば、映画『ニューヨーク公共図書館』も、
公共施設が人に寄り添い、地域を育むという話だったな
と思い出しながら読んだ。