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p61 子どものかけられるお金 1994年と2018年では後者が3-5万減っている
p67 1975年の国公立授業料 3.6万 1986年 25万
2020年 文系 53万 理系 80万
p78 小4くらいの時点で毎月5万の受講料がかかる中学受験専門塾に通えるかどうかで、その後の人生ルートがある程度きまってしまう。 親の所得が子ども世代に影響し、格差が再生産されている状況
p85 学校で学んだことを一切忘れてしまったときに、なお残っているもの、それこそ教育だ アインシュタイン
p123 生まれ故郷の土地に、ライフステージに応じた場がない 生活の糧を得るための仕事の場、自分のこどもを通わせたい教育の場、地域のコミュニティを感じられる場、日用品を不便なく購入できる場、いざというときかかれる医療の場
p125 代替が難しいのが教育と医療
p137 大きな2つの変化 移動の自由、通信手段の自由
p140 一生この土地にいるつもりはないという人々が多数派になったとき、地域コミュニティの維持は難しくなる
地域のトラブルは近所付き合いの中で解決してきたものが、いまや一足飛びに区役所や町役場にクレームが押し寄せる
p143 住宅すごろくゲームが成り立たなくなった地域コミュニティでは、従来型の地元意識と新しい移住者のコミュニティ意識の希薄さの間に大きな溝が発生している
p149 教育と年収、地価は密接に結びついている
p150 ボランティアや地域活動というのは、助ける余裕がある人と助けを必要とする人の両者がいて成り立つ
p151 イギリスのかつてのコミュニティ開発の失敗
ロンドン郊外 コミュニティ活性化地域 貧困から抜け出し、就職して経済的余裕ができた人、つまり自ら助ける余裕がある人になれた瞬間、その人々はその地域から次々と脱出していった
p152 自己責任論がつくる階級社会 貧富の格差が長期化、固定化、鮮烈化している
p156 マイホームあってのパラサイトシングル
p159 2000年頃に成人し、非正規雇用で人生をスタートし、そのまま不安定な生活を続けていた世代が、2021年現在、子を持つ親の年齢になっている
p163 本書では、その格差が長期化、固定化され、かつ世代を超えて受け継がれ、階級社会化することを問題視したいのです
家族消費から個人消費へ
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成功したベンチャー経営者や著名な経営コンサルタントなどは「コロナで死ぬのは高齢者だけなのだから、若者は今までの生活を変えず経済をどんどん回すべきだ」と発言する。一方で医療従事者や介護、小売、運送業など人々の生活維持に欠かせないエッセンシャル・ワーカーは、多数の感染者や死者を出しながら命懸けで働き続けること余儀なくされているー
この矛盾…
コロナ禍で、人々の「価値観」や「生き方」に、未だかつてないような分断が起きているのを感じることは多い。
この本は「パラサイト・シングル」や「婚活」という言葉を作り出し社会に流通させた社会学者・山田昌弘さんの新書本。
コロナによって炙り出された新しい社会の「格差」について取り上げている。(コロナが新たな社会的課題を生み出した、と捉えるのではなく、コロナがもともとあった社会的課題を顕在化、あるいは加速化させた、と捉えるべき〕
家族、教育、仕事、地域、消費の「格差」が広がっているという。この国のかたちは不可逆的に変化していて、以前の社会には戻れない。
著者は、平成を「格差は広がっているけど、それを認めることができなかった時代」だったとし、令和は「格差の存在を認め、それを踏まえた上で新しい形の社会をみんなで作っていく時代」にすべきという。
そのために家族の多様性を認め、愛情で結びつくカップルを促進すること、デジタル能力、コミュ力、英語力に力点を置いた公教育、働き方改革のさらなる推進、多様な人が住みつながりを作れる地域社会の形成。多様な承認欲求の多様な満たし方の推進、などの課題を解決する必要がある。
希望に満ちた時代にしていきたい。
そして、
ー いつの世も、時代は私たちの手で作られていく。それは決して変わることはありません。
と最後しめている。
そう思い、行動したい。
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著者の著作(研究)はこれまでいくつか読んできた。この令和初めのコロナ禍で社会の格差が先鋭化したという。素人ながらにも格差の有り様は別次元のステージに入ったのではないかと感じている。
著者は、「1家族格差 2教育格差 3仕事格差 4地域格差 5消費格差」の5つのカテゴリーにおける格差やその有り様の変化を解説している。もはや「自助努力」「自己責任」といった新自由主義の考え方では、格差の是正は難しいと説く。
いま世界的に気候温暖化に対する取組を初めとして、SDGs(Sustainable Development Goals)の機運が高まるなか、大航海時代から現在に至るまで地球上の列強諸国が歩んできた反省すべき点を糧とし、さらなるパラダイムシフトが必要なんだと思う。新しい世代にその萌芽があるのではないだろうか。
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国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11495405
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日本の格差は、経済面だけに生じているのではない。コロナ禍で浮き彫りになった様々な格差の実態を、家族社会学の第一人者が解説する書籍。
日本の格差は、経済以外にも家族、仕事、教育などの面で拡大している。こうした格差がコロナ禍によって可視化された。
コロナ禍がもたらした社会変化の1つに、結婚数と出産数の減少がある。収入が減り、将来の生活に見通しが立たなくなったことが、その一因と考えられる。
日本では戦後、30歳までに結婚し、子どもを育てて独立させ、老後を迎えるという「戦後型家族」の形態が広がった。だが近年、若者の収入低下や未婚者の増加といった状況が生じ、戦後型家族をつくり維持することは困難になっている。
今後、働く人にはITスキルや語学能力が求められる。
これらの修得には家庭環境の影響が大きく、親がパソコンなどを使いこなす家庭で育った子どもは有利だが、そうでない子どもは不利だ。すなわち、格差は生まれた家庭で決まってしまう。
小学生で塾に通い、中高一貫の私立校に進学した子どもは、将来、優良企業に就職し、社会の「上層」の一員となる。つまり、親の経済力が子ども世代に影響し、格差を再生産する。この教育格差は、社会階層の固定化をもたらしかねない。
コロナ禍によるリモートワークの普及は、「リモートワークが可能な仕事」と「不可能な仕事」の格差を生んだ。
「生産性向上の可能性」で見ると、前者は高いが、後者は低い。
パンデミックは、「資産を持っている者」には富を増やす機会となり、「持たざる者」との格差を増大させた。その結果、「持つ者」と「持たざる者」の分断が深まっている。
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面白かった。新しい時代に必要になった能力『デジタル能力・コミュ力・英語力』、
一つもないんですが、、(笑)
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まあ予想通りの内容
コロナ禍でますます格差が増大している、確かにその通りだと思う。統計資料をベースに簡易にまとめてあって読みやすい。
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個人的には一般に見聞きしている内容がまとめられていました。
所得格差、教育格差など発生メカニズムが書かれていているが、想像通り。
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https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=22849
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成田悠輔がYouTube界隈でよく顔を出すものだから必然社会学に関心が湧いてきて、且つ転職活動を一通り終えてみて税制とか社会保障がうっすらと分かってきたところで、ドンピシャの内容だった本を見つけたから一気に読んだ。「一億総貧困社会」と平原依文とのディスカッションの中で成田が言っていたような内容が書いてあった。この本では格差がないとまでは言ってないけども。EdTechの発達で教育格差が埋まるといいな。
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コロナ禍での新型格差の話
これまで表にはっきりと現れていなかった格差がコロナによって浮き彫りになったと主張されている。
家族格差、地域格差などトピックに分けて論じられていたけど、確かに、と思いながら読める内容だった。
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普段は自身がそれ程幸せな状況だとは感じなかったが、本書を読み様々な格差の説明を聞いて、私自身が非常に恵まれている事を再確認。気分が良くなった。
格差の下側の人いる方は、僕らが優越感を感じる為に存在して下さっている部分もあり、改めて感謝したい。
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日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?は面白かったが、この本は格差拡大に関する昨今言われてきたことをまとめなおしているだけ?なので、私的には学びは少なかった。日本社会の格差拡大について幅広く知りたい人にはおすすめ。
ただ、やや言い過ぎている感じもありやなしや。
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新しい発見があったというよりは、新型コロナウイルスが大流行していた頃を思い出すような内容。
教育格差と地域格差は確かに感じる。
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2021年4月発行。コロナ禍による影響を分かりやすく説明した。ポイントは2つ。
1つ目、コロナ禍によって格差がはっきり見えるようになったこと。2つ目、過去の社会に戻ることはできないという予感が全ての国民に広く行き渡ったこと。
格差というのは、家族格差、教育格差、仕事格差、地域格差、消費格差。いずれも戦後型家族のライフスタイルや価値観に当てはまらない、もしくはこぼれてしまったことによって差が広がるというもの。例えば戦後型家族の限界については、平成に入って共働きが増え、夫も家事をする必要がでると、愛情確認はコミュニケーション(会話?)に求めることになった。そのため、これまで言わなくても分かっていたな夫婦のあり方、家族のあり方に限界が来ている。
また教育格差では、子供に十分な教育を受けさせたいと考える親ほど子供をたくさん産まなくなってきたということ。
衝撃だったのは「パラサイト・シングル」限界。作者は「パラサイト・シングル」という言葉を作った人。しかしこのパラサイトシングルが可能だったのは、作者が言う「住居すごろく」ゲームが機能していた時代、つまり親世代が必ずマイホームを手に入れられていた時代だったからこそ可能。2000年代頃に成人し、非正規雇用で人生をスタートした人が今頃親になってる場合、持ち家を持っている可能性は低い。
消費の変化・・・家族消費が減る一方、ブランド消費を代表とする個人消費が(も?)限界に達している。ここに「アイデンティティ(個性)消費」という新しい概念が登場する。直接「承認や評価」を得ようという試み。
幸福とは自分の人生を他人から肯定されるところに生まれる、新しい幸福は自分の人生を肯定するものに直接お金を使うというあり方。他者から必要とされ、大切にされ、評価される自分を個人で作り出す、いわば人とのつながりを求める、美的感覚を磨く、他人を幸福にするといった行為、これらが幸福の実現。これからは消費の多様化を積極的に捉えることが可能になる。
《メモ》家族消費が減る・ブランド消費にも限界が来ているのは納得。新しい幸福の試みが多岐にわたっていて、実感できるものもあれば、まだ自分がわからないものもある。ただSNSなどで、幸せであることをアピールするなどは、この作者が言う「新しい幸福」に当てはまるのかもしれない。
《感想》
コロナ以降の問題点を分かりやすくまとめてくれている。例えば、リモートワークが可能な人たちは新しい環境を求めて引っ越しができること、医療関係者は重労働になりながらも不安を抱えていることなど、ニュースやテレビで知っていたことも整理して書いてくれている。本書ではさらに、掘り下げて詳しいデータを示し、なぜコロナ以降の生活がこんなに変わってしまったのかという説明を加えてくれている。コロナで色々生活や価値観が変わったのはただのきっかけであって、それまで日本社会の中でブスブスとくすぶり続けていたものが少しだけ明らかになった結果なのかもしれない。そして、もし今の生活が苦しいとか、息が詰まるように感じるようなことがあれば、いきなり生活を変えることは無理でも、価値観の多様性を認めたり、社会の変化を受け入れたり、お互いに寛容な態度になることで少しは楽になるのかもしれない。
作者は社会学者として第一人者らしい。これまで「パラサイト・シングル」や「婚活」などの言葉を生み出してきたそう。でも本書はすごく読みやすくて丁寧な言葉を使っている。取り扱ってるテーマは厳しいし重たいけれども、それを柔らかい言葉で、できるだけ読者が事実は事実として受け取れるように書いている感じがした。