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アニメの第一話で描かれた要素を2巻掛けてじっくり描いた本作。どういうオチになるのか判った上で読む事になっただけに、そのオチに辿り着くまでの物語をどう描くのかという点に焦点が当てられていたように思う
IDOLY PRIDEコンテンツの根底をなす物語となるだけに長瀬麻奈という少女が起こした奇跡がどのようなものになるのか注目して読んでいたのだけど、納得できる作品となっていたかな
星見まつりの伝説から始まるこの巻、あの伝説自体は偶然が重なったものだけど、一方でその偶然は麻奈がステージに立つ決断をしなければ導き出せなかったもの
いわば麻奈のステージへの執念が伝説の土台となった
土砂降りの雨の中だろうとファンを大事にして奇跡を起こした麻奈だから、自分の身体よりもステージを優先してしまう
そして彼女の傍にいる牧野も麻奈によって光の下に連れ出された存在だからアイドルとしての活動を支えることを優先してしまう
そういう背景を持つ二人はその心の内にどのような想いを抱いていようとアイドルとそのマネージャー以外にはなれないんだよね……
どれだけ我儘を言っても手を繋ぐことは出来ず、服の裾を握るしか出来なかった二人の姿からは何か大切な道を間違えてしまったのではないかと思えてしまったよ
そうして他の道を選べずアイドルとマネージャーにしかなれない二人だから、麻奈が過労で倒れたとしても結局は麻奈のアイドルとしてファンに会いに行きたい、一期一会の場を大切にしたいという想いが強くなり過ぎているから、それを阻むなんて出来ない。
長瀬麻奈はひたすらにアイドルの頂点に向かって邁進し続ける
そして遂に……
約束だけ残して今生の別れになってしまった牧野と麻奈
それが麻奈が幽霊として復活する事で再び動き出すのは以外な展開。
そうして再びアイドルの頂点を目指す道も始まるのだけど、麻奈は既に死んでいるからアイドルの頂点を目指す行為は牧野に託される。そして牧野は新たなアイドル達を決勝のステージに導くことになると……
牧野と麻奈の物語、本編へ繋がる物語
バッドエンドに近い形で終わりを迎えた本作だけど、IDOLY PRIDEの根底をなす物語としては充分過ぎるものだったのではないだろうか
本作の発売からそれほど日を置かずしてアプリゲームの配信もスタートする事から、アニメ放送から日をおいて再スタートを切ることになるIDOLY PRIDEコンテンツに火を付ける存在として申し分ない作品だったかな