紙の本
カヤック柳澤さんもおすすめ。
2023/01/06 22:25
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投稿者:おもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
イノベーションを体系化するという著者の試みです。
デザイナーの方が書いた本で面白い本はたくさんありますが、この本はもう一つ深いところまで潜ることができる本だと思います。
終章だけでも読む価値があります、おすすめです。
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進化の本質を捉えようと、生命の神秘に真摯に向き合ってまとめた本。多様な情報の大海原の中で、書籍の役割はこのような統合化にあるなぁと改めて感じました。息子と図版を見ながら進化についてあれこれ語るのもよし、仕事に活かそうと事典的に使うもよし、いろいろと楽しめそうです。
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デザインの参考にと手に取った本だったけれど、ほれだけでなく、生きる上、仕事をする上での勇気を貰った。太刀川さんの広く深い洞察に驚かされ、創造するということには、同じように広く深い洞察が必要なのだと気付かされた。太刀川さんの魂が込められている様な本だった。
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「この世の全てがここにある」と思うくらい今までの人生がこの本で腑に落ちることがたくさんあった。
1回読んだくらいじゃ身につかないのであと10回は読み返そう。
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進化とのアナロジーでまとめられ、体系立って美しく整理される創造的思考。
おそらく全ての場合に必要な思考ではなく、取捨選択する能力、組み合わせる判断こそが重要であり、これを使いこなすための習熟が必要。要再読。
・世の中に完璧な発明やデザインは存在しない
・変化はエラーから生じる
・創造にとっての言語≒進化にとってのDNA
・創造的な成功は通常、案出した試案の数に正比例する ーA. オズボーン
<「変異」の9パターン>
◯変量:極端な量を想像してみよう
「超〜なX」大きさ・長さ・重さ・形状・量…
モノに秘められた量のパラメーターが変化するだけで、役割や機能も変化する
◯擬態:欲しい状況を真似てみよう
「〜型X」「似せる対象yの周囲、内部にはどのようなつながりが広がってるか、適応の観点で観察
思考においても「見立て」や「メタファー」など、発想の手法として用いる
◯欠失:標準装備を減らしてみよう
「〜のないX」あるのが当たり前だと思い込んでいるモノ、プロセスを、なくす
あるものがないことを想像する中でできる真空状態→実験環境、自動化
「何かがなくてもいい」という状態の探求は、究極的にはデザインの思想や生き方の哲学につながる
◯増殖:常識よりも増やしてみよう
「〜を増やしたX」「大量のXと巣」
増殖したモノに行動ルールが共通化される
交換と増殖は減少として密接に関わることが多い
群れや巣は、その集まり以外とを分ける、分離的変異とも密接に関わる
◯転移:新しい場所を探してみよう
「〜にあるX、〜のためのX」
技術の移転:その技術は、別の領域に応用できないだろうか
ヒトの移転:関係者を変えたり配置を変えられないだろうか
場所の移転:そこではない場所に、モノを移せないだろうか
◯交換:違う物に入れ替えてみよう
「〜を〜に替えたX」「Xの代わりに」
物理的な交換(WHAT):交換する物同士の物性が揃っていること。同じようなサイズのものの入れ替えを訓練
意味的な交換(WHY):同じ目的を持つものに交換
概念的な交換(THAT):交換を成立するためだけに作られた創造。交換の代替を担う仕組み(お金、言語)
◯分離:別々の要素に分けてみよう
「Xを〜に分ける」
膜の分離:物理的、概念的に内と外を分ける
開口の分離:内部と外部の往来を可能にする
◯逆転:真逆の状況を考えてみよう
「〜ではないX」「逆X」
物理的な逆転:上下・左右・前後・裏表・凹凸・捕色・動きの方向
意味的な逆転:対義語、すでに世の中に広がっている概念の逆転
関係的な逆転:立場、時間軸、失敗からの逆転
◯融合:意外な物と組み合わせてみよう
「〜+X」
全ての創造に融合型の思考が関わっている
素材や仕組みなどの基本的なコンポーネントが発明されると、融合的発明がドミノのように連鎖的に発生
新結合=イノベーション
<「適応」:時空観学習の4つの観点>
(内部)解剖:中身を分けて理由を観察する
(過去)系統:物事をの古くからの文脈を知る
(外部)生態:モノや人の繋がりを理解する
(未来)予測:未来の課題を知り希望を描く
◯解剖
1形態の解剖:内部にあるモノを分類して形態を観察する(WHAT)
2生理の解剖:各部位がなんのためにあるのかを理解する(WHY)
3発生の解剖:要素をどのように生産するのかを理解する(HOW)
以下、要再読
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・そもそも失敗=変異的エラーがなければ、成功=創造的進化もないのだ。我々は失敗を悪しき経験としてとらえてしまい、挑戦を躊躇する
・失敗したわけではない。それを誤りだといってはいけない。勉強したのだといいたまえ(トーマス・エジソン)
・時空間学習の観点
(内部)解剖:中身を分けて理由を観察する
(過去)系統:物事の古くからの文脈を知る
(外部)生態:物や人のつながりを理解する
(未来)予測:未来の課題を知り希望を描く
・難しい問題に出会ったときには、その問題を階段だと思って一段一段に分解して、一段ずつ上るべし
・モノに秘められた目的は、入れ子構造の内側から外側へ向かって広がっていく。外に広がる本質的な意図を探れば探るほど、人類史上の普遍的な観点とつながり、内部は外との生態的な関係や、過去からの系統的関係へとつながっていく
・モノに秘められた目的を読み解き、それぞれの部位が持つ本来の意味や目的、機能を読み解こう。そうすると、モノ本来の存在理由も明確に浮かび上がってくる
・道具の系統樹を見ると、時代とともに方法‘HOW’は変異し続けるが、本質的な創造の目的’WHY’はほとんど安定的に変わらない
・モノを取り巻く状況(WHEN/WHERE)を空想してみよう、その場所に足を運んだりして空気を肌で感じてみよう。そして新しいものを想像したいなら、理想的な状況を想像しよう。適応のシナリオをイメージ通りに描くためには、場所的・時間的な状況を想像する解像度が求められる。すでに解決された状況をイメージする力を養えば、次の方向がおのずと浮かび上がるものだ
・iPhoneはAndroidの出現により競争的な共進化が引き起こされた。その競争を予見し、進化の競争に勝てる体制をイメージしておくことが大切だ。そして逆説的には、進化を早めたいのなら、領域内に適切なライバルを作ることもまた、共進化の近道となるだろう
・重要なのは、組織全体で機能を果たすためには、目的やルールをきちんと保持することである
・真に強固な共生関係は、お互いを深く理解した特殊な個と個の間に起こるということではないか。きわめて個人的な痛みや経験に寄り添う声が、強い共感を生むこともある
・社会には、それぞれの立場の人ごとに違う観点があり、だれに寄り添うのかによって、創造のフィールドが無限に広がっている
・イノベーション:まだつながっていない距離の遠い領域同士を結合させること
・自分の欲求を素直に認めることは構わない。けれど、その欲を大きくとらえると、我は我々のこととなり、広いつながりを自分の一部としてとらえることができる
・バックキャストのすばらしさは、その景色を想像するだけで、そこへ至る階段を私たちが意識せざるを得なくなることだ。
・関係は、内部の構造から外部の生態系まで空間的に広がり、また過去から現在、そして未来に至るまで時間的に広がっている。時空間学習で探求した見えないつながるのすべてがそのものの適応を決定し、それが形態や機能に昇華する
・解剖的に、内側を丁寧に読み解き、可能性に目を配る愛情は「理解」であろうか
系統的に、過去からの流れを引き受け、願いを受け取る愛情は「敬意」だといえる
生態的に、相手の視点に立ち、つながりと思いに共鳴する愛情は「共感」と呼ばれる
予測的に、子孫の将来を願い未来の地球や人々に託す愛情は「希望」なのである
・創造性の五原則
変異:明確で非常識な挑戦を繰り返したか
解剖:シンプルで無駄がなくゆるぎないか
系統:過去からの願いを引き受けているか
生態:人や自然の間に美しい関係を築くか
予測:現在を触発し未来に希望を与えるか
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「創造」とはいったいなんなのか。「創造性」はセンスであり、生まれ持ったものなのか。なぜ自然の創造物は人間が作ったものより美しかったり長持ちしたり優れているのか。こういった根源的な問いに対し、「進化」という全生物が本来的に持っている「創造性」に照らし、比較・分析・解説するもの。キーワードは「適応」と「変異」。まさに進化学で取り扱うような題目だが、創造性の分野でもばっちり当てはまる。「変異」においては、常識に囚われない変わったこと、これまでと異なることを意図的・積極的にかつ数多く生み出すこと。「適応」みおいては、周囲との関係性(理解や敬意、共感など)から評価し、収斂させていく。この本ではこのほかにも「創造性の五原則」「自然選択のチェックリスト」「9つの変異パターン」など原理原則を端的に表現したもののほか、仕事でも使える50個の「進化ワーク」が掲載されているので、日常的にも役立つ情報が満載。進化と創造についての哲学的な思考もできるし、こりゃすごいよ太刀川さん。
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発散と収束に生物進化のエッセンスを取り入れているということかな。目的とかどうあるべきかを考え抜くのが大事だと思っている。だから先にここでいう適応が必要じゃなかろうか。自然選択というか適合じゃないのか。というあたりがしっくりきてない。読み物として面白い。
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新しい考えを創造するためには変異と適応が必要で生物学の進化論に類似していると説いた素晴らしい本。アイディアを生み出す考え方のようなものも記されていてこれからの時代には役に立つ。創造とは言語によって発現した疑似進化の能力、変異と適応の思考、自然選択、複雑系、変異・解剖・系統・生態・予測が五原則、これからの時代にはとても役に立つ考え方になると思う。
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良書!
創造のプロセスを進化に照らし合わせて追求していくことご面白かった。
適応の時空観学習を実践していこうと思った。
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アイデア・創造性。
なんとなく意味がわかるけど、曖昧だった表現に意味付けされていく感覚が心地よかった。
生物学的観点から思考法に落とし込んでいく流れは見事。しっかりと腰を据えてワークなど取り組みたいが、全体量がすごいことになるのでいくつか保留。
ワークの難しさや、xの決めづらさなどがあったので、感覚としては4.5の評価。
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生物の多様性を創り上げた進化を知れば、人間が歩むべき創造(=デザイン)の手法が見えてくる
ただし、それは生物と人間がこれからも共生出来て初めて実現するもの
そのためには全ての創造は進化の先生である生物に敬意を払い、自然が歩んだ変異と適応を同じく繰り返すことで、初めて前例を超えるイノベーションが生まれる
とまぁ、ここ最近量産されるなんちゃってSDGs特集を読むよりよっぽどためになる素晴らしい本でした
コロナも災害も行き過ぎた人間の自然へのいじめが招いた復習であり、これからは生物の進化に争うような商品やサービスは地球パイセンが黙ってないでしょうね
よくよく考えれば当たり前のことなのに、調子こくと忘れがちなので、常にそばに置いておきたい一冊
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そこそこ切実に創造したい!デザインしたい!とかの欲求がないとかったるくなってくる。やや冗長で淡々とした進行なので。あくまで抽象的な方法論を提示してるだけなので。目的意識を要するような。
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創造性の仕組みをダーウィンの「進化論」で説明しようとする意欲作。
建築家が一般向けに語る言葉は、構造的なデザインの美しさや哲学的な深さを感じるので好きだ。
にしても、本当に「進化論」で説明される分野っていっぱいある。
調べてみると「進化的アルゴリズム」って呼ばれるそうな。
「遺伝的アルゴリズム」「遺伝的プログラミング」「進化戦略」「進化的プログラミング」などに分岐するみたい。
自分に起業のキッカケを与えてくれた梅田さんの「ウェブ進化論」では「インターネット」を進化論で説明していたと思う。本書では「ネットワーク理論」も進化論で語られている。
安田洋祐さんオススメの「ダーウィン・エコノミー」という本は、経済学の父はアダム・スミスではなく、ダーウィンの進化論にこそ求める。
ビジネスの文脈においても「38億年の生命史に学ぶ生存戦略」という本でその類似性が説かれている。ビジネスの競争原理の源泉と言えるイノベーションやテクノロジーもブライアン・アーサーさんの「テクノロジーとイノベーション」や、ケビン・ケリーさんの「TECHNIUM」で進化論で説明されている。
まだこの「進化アルゴリズム」に条件値を入れると時系列に進化後のシミュレーション結果がアウトプットされる、という完成形には程遠いんだろうけど、シミュレーションのパワーが向上することで進化論は「公理」となりうるのだろうか?
少なくとも未来を思考する時の「直観」や「違和感」を説明する時の引用元としては働きそうだ。
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買ったまま1年近く積読だったのが一気に読んだ。結論。もっと早く読むべきだった。
創造という活動を体系的に科学的に解説し、再現性を高めようとしている。変異の9つと適応の4つ。たしかにわかりやすいし、具体例と背景となる論拠も示していて具体と抽象を行き来しながら読むことができた。筆者の天才性に触れる面白さが伝わってくるのも心地よい。
この本を血肉にするには、実際に自分の仕事(や趣味でもよさそう)に応用することだろう。新年度の仕事が始まるのを機会に実践してみたい。