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違法カジノのディラーと占い師という二足の草鞋をはく主人公によるギャンブル純文学小説?(著者は中村文則さん)。魔女狩りとかナチスとかオカルトチックな話を挟みつつ展開するストーリーは、複雑ながら面白い(ギャンブルシーンの場面が緊迫感あって面白かった)。中村さんの作品らしく、文章の節々に「死」を感じる。謎の組織とか、明らかに偽名を使っているような怪しいキャラが続々でてくるのもいつもの感じで面白かった(コロナウイルス騒動も出てくる)。
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『僕はあなたの、自由意志の領域に入り込む。自由意志を、自ら捨てる快楽をあげよう』
『僕達が深層心理で望んでいたのは、正しさの強制ではなかった。善悪の基準でも、それに伴う罰でもなかった。ただ、褒めてもらいたかったのだ。何でもいいから』
『だから人間は、本当は、誰も完全に絶望することはできないんだ。だってそうじゃないか?まだこの世界が、どのようなものかわからないんだから。わからない場所にいるのに絶望なんてできないんだよ』
『重要なのは悲劇そのものではなく、その悲劇を受けてもなお、人生を放り出さない人間の姿だと』
中村文則さんの最新作。
手品師になれなかった男が占い師になる。
善と悪、神と悪魔、宗教、権力、そして帝国R。
抗えない運命中、先のわからない世界で生きるということ。
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タロット、ポーカー、量子力学、宗教。この世界は全て確率で決まる。このような当たり前の認識と自由意志の前提があらゆる悲劇に直面する人間に圧倒的虚無感を与える。時に人はカードを捲る瞬間までそのカードは無限に変化しているとも、そのカードが存在した瞬間からそこで捲られるのを待ち続けていたとも感じることがある。なぜ自分だけがハズレのカードを引き続けるのだろうかと思うこともある。しかし、真の意味で世界に絶望することはできない。なぜなら世界は圧倒的に未知で、この先の未来は観測されるまでどのようなカードであるかは決定されないからである。
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手品師とカード師と占い師。使い方によって誰かの人生まで大きく変えてしまう、その残酷な魅力。
今、この時の選択によって、自分は堕ちていく。そうわかっていても一歩踏み出してしまう、その悪魔のような魅力。
何かを得るためには何かを失わなければならない。数字を、めくる、というその一瞬で決まる運命。
ポーカー。私の知っている楽しいカードゲームはここにはカケラもない。あるのは「快」。そう、堕ちていくのも、堕ちていく人を見るのも、すべて「快」なのだ。
それにしても、ナカムラフミノリの容赦なさよ。とことんまで世界を不条理と理不尽で埋め尽くす。
魔女狩り、ユダヤ迫害、震災、コロナ禍。誰も占うことのできなかった未来は、過去になって誰かに「観察」されたから起こったことなのか。いやそんなはずはない。現に、世界はコロナが蔓延しているじゃないか。でも…もしかすると…全身が震える。ここにあるのは物語だ、そして光だ。理不尽が描いた物語と光。と頭は理解する、でも心がついていかない。
数字が、カードが、明日を裂く。でもそれを操るのは人の手だ。
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中村文則の本はいつも自分の人生を考えさせられる。カードをめくる、という行為には、この世界のあらゆる要素が含まれている。知識、経験のその先にある、理屈を超えた勘を働かせる。先のわからない世界の中で、それでもなお生きるということ。改めて人生を先にすすめる動機を与えてもらった。
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約450ページというボリュームのある量でした。占いや賭け事、さらに未知の災いという予想のつかないことに翻弄される人たちを描いた作品です。読み進むたびに、あの時辞めておけば・・・と何回思ったことか。
一歩踏み出したらズブズブと沈むかのようにどうすることもできない状況に賭け事や占いの恐怖を感じました。
冷静に考えてみると、タロットカードやトランプは、印刷されただけのカードなのに、これと人の話術や手によって運命が大きく変わるかもしれないことに不思議がありました。
それだけの魅力があることに恐怖もちょっと感じました。
なぜ、その人は占いを信じるようになったのか?
その背景には、ギリシャ神話や戦争、魔女狩りといった海外の話が影響してきます。哲学的に・論理的に書いているので、正直退屈な部分はありました。なので雰囲気で楽しんでいました。
でも、その後の違法カジノでの駆け引きシーンが面白かったです。張り詰めた空気感やディーラー経験があるからこそ視えてくる相手の作戦など、その勢いに思わず真剣になっていました。
面白かった一方で、カジノに溺れる人の末路も書かれています。とにかく残酷で、お金持ちの心理が庶民にはわからないことだらけでした。破滅になるかもしれない心理戦に読んでいる自分も緊張感MAXでした。
後半では、オウム心理教や大地震、コロナなど実際の出来事が登場します。それらを背景に色んな人達が大きく運命が変化していきます。その末路は、割とあっさりした印象でした。
占いに限らず、この先の未来がどうなるのかわかりません。
あくまでも「予言」であり、「確定」ではありません。
読んでいて思ったことは、占いは過度に信じない方が良いかなと思いました。あくまでもアドバイスとして捉え、それをどう自分は解釈していくのか。
一度冷静に考えて、「自分」が保てるようにしたいなと思いました。
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450頁超の新聞連載長編小説。連載からなのか、主題と挿話がぐちゃぐちゃしていて統一感があまりない。何か読んだ手応えがあまりない。クラブ「R」での生死をかけた駆け引きといかさまの死闘は、沢木耕太郎「深夜特急」やスティーブ・マックイーンの「シンシナティ・キッド」のように迫力満点で読み応えはあった。
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読んでて苦痛だった。
自分には合わなかった。
途中の神様の話だの魔女狩りだの錬金術や主人公の幼少期のくだり、悪魔の話もつまらん。必要なんか?
そのあと、地下賭博場でポーカー対決も長いし。
最後まで読めんかった。
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ある章は面白く、ある章は退屈で、全体的にはなんだかよくわからないって感想。以前読んだこの作家の小説と読後感が同じだったので、合わないんだなと思った。
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過去から現在までに世界で怒った出来事(天災が多い)と絡ませながらストーリーを展開している。カジノの対決場面はスリルがあり手に汗握る展開で面白い。
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神とかカジノやタロット、いろんなワードやルールが出てきて触れてきてない自分にはなかなか難しかった。けど、占いで自分の選択を他者に委ねたら楽になるって言葉に妙に納得した。何か失敗してもそのせいにできるし成功してもそれがあったから頑張れたみたいな精神的に安定する気持ちはわかる。結構わかりやすく開けた未来が予想できる最後で読後感は良い。
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途中まで、難解だし暗いし、止めてしまおうかと思いましたが、中頃から面白くなり一気に読めました。
最後は希望を持てる終わりかたでした。
それにしても、このコロナ禍を予測出来ていたような、時代に即した題材です。
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魔女狩りやヒトラー政権、神話などいろんな話が出て来て全部は理解出来なかった。
次の瞬間どうなっているのかは誰も分からない、だから本当の絶望もあり得ない。この言葉には救われる。
R帝国でも書かれていたと思うが、自分で考える、選択する事は苦痛で、思考を止めて流されたほうが断然楽。
それでも生きているんだから思考は止めてはいけないと思う。
全財産をかけたポーカーシーンはハラハラしながら読めた。
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ガツンとした小説が読みたいなと思い、文則さんの本を手に取ったのだが…ここまで強烈なパンチをくらうとは…。
どうすればこんなに壮大で難解な本が書けるんでしょう。頭の中を覗かせていただきたい…!
特に中盤のポーカーは緊張で胸が苦しくなって、呼吸が浅くなってしまった。本当にヒリヒリした。
カードゲームや麻雀をプロとしてプレイしている方々は本当にすごいなぁとしみじみ。場の数字や周囲の手札を瞬時に捉えて瞬間的に判断しなければ勝てないんだもの。どれだけ頭を使い続けなくてはいけないのか…。
魔女狩りを含む手記の翻訳のくだりはただただ痛かったです。読むのが辛くなるほどに。
そして第4・5章で急に現代ならではの固有名詞も出てきて、急にいろんなことが現実味を帯びて私の目の前に迫ってくるという。
様々な要素や過去と現実が行き交う壮大なお話でした。
こんな世の中だけど、私たちは絶望すらできないのだ。明日も。
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タイトルと表紙絵から想像したのはカジノのディーラーが活躍するギャンブル小説だった。半分は当たっていたが、もう1種のカードも扱う“カード師”とは思わず、ここまで掴みどころのない話だとも思わなかった。観念的でだらだら進む話を、苦行のように半分ほど読んだところで断念。しばらくの冷却期間を置いて再挑戦し、なんとか読了した。結局なんだったのかよくわからなかった。