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既刊もそうだが、本作も読み終わった後に無性に映画を撮りたくなる自分に気づき、作品にヤラレタことを感じるのである。他方、勝ちパターンが見えつつもあるところ、次作がどうでるかも楽しみである。読んで損はない。
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ポンポさんシリーズ第3巻。
常に高みを目指す主人公たち。
昨日より今日、今日より明日の自分の成長を信じて。
あとがきには、これが最後のポンポさんとあり、残念。
映画の楽しさ、素晴らしさを製作者の立場から描いた作品。
帯には映画が2021年6月4日から公開されると記載がある。
東京都の緊急事態宣言が延長されたが、映画館で映画を見ることができるのだろうか?
ポンポさんの映画は、映画館で鑑賞したいから。
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良い子は絶対に真似してはいけない。
凄く、凄く楽しいのですが、冷静に見るとこれは非常に危険な面白さ。
この作品は、人としての何もかもをかなぐり捨てて、たった一つの事だけを追い求める事を、余りにも甘美に描いています。
単にやりたい放題というわけではなく、ジーン(達)の行動に対し適宜ツッコミは入るのですが、何故か気が付いたら「んなバカな」って展開になっちゃってる。
…基本的に誰も止めないんですよねぇ…どうかしてるよ(とニヤニヤする)。
「そんな無茶な」と思わせる事を嬉々としてやり遂げ、読者があっけにとられている間に次の無茶、次の暴走、次の台無し…がポンポンと繋がっていって疑問を差し込む余地なく、「あぁ、楽しい」とだけ思ってしまう。
いわば、読者に対して「ダメ人間になる事はこんなにも気持ちいい」と教える悪魔の囁き。
いや、そんな優しいものじゃなく、力任せかつ立て続けに殴りつけてくる感じではありますけども。
何か、「普通」という価値観を見失いそうなめまいを覚えます。
更に恐ろしいのは、ジーン達の行動が決して「成功するから」魅力的なのではない、という点でしょうか。
失敗する事すら楽しそうに見えてしまう(というか実際楽しんでいる)というのは…素晴らしい事ではありますが、「普通」なら忌避される事のはず。なのに。
この作品がどれだけとんでもないものを描いているのか、空恐ろしいものがあります。
読後、貴方は誰に共感するでしょうか。
ポンポさん?
ジーン?
ナタリー?
あるいはペーターゼンさん?
…誰だったとしてもこの作品の登場人物に共感出来てしまった時点で、貴方は「ヤバい」素養をお持ちだと思います。
とはいえ。
映画、あるいは創作、ひいては「ものを作る」という事、「まだ誰も知らない何かを作り出そう」とする事がもつ魅力は確かにあって(少なくとも私はその一端を感じた事はあります)。
それが抗えない魔力を持つことは否定できません。そして、「もし、何もかもをかなぐり捨てる事ができるのなら…」と考える事もあるのではないか、と。
作中、ジーンは「自分にはセンスがなくてよかった」と呟きますが、その結果として彼は天才・ロッシオですら「行けなかったところ」に到達してしまった。
ニャカデミー賞の数や評価ではなく、映画の為に命すら捨てられる、という境地。
困った事に確かに彼の人生に映画がない風景は考えられないんですよねぇ。
自宅のホームシアターで過去の名作を満足そうに眺める、そう、例えばペーターゼンさんのようなジーンの晩年なんて想像できない。
彼は目が見えなくなってもカメラを覗こうとするでしょうし、指が動かなくなってもペンを握るでしょう。
辛うじて彼が人足りえているのは、ポンポさんをはじめとして周りのスタッフを評価、意識している点でしょうか。一人で全てが出来ると思った瞬間、彼は本当に「映画の何か」になってしまうかも。
ラストシーンのジーンには正直、熱さよりも恐怖を感じました。
…と書いてはいます���、ジーンの「楽しそうな」行動、発言は見ていてホントにワクワクします。
新しい執筆方法を得てバーサーク、演技を評価して即バッサリ、主演女優に命を削らせる…いやぁ、友達にはなりたくない(笑
でも、全力全霊妥協なく目的にひた走る姿はもうそれだけで人を惹きつけるものなのだなぁ、と。
ナタリーは少し冷静になった方がいいけれど(笑
どうしてもジーンが目立ってしまうのですが、登場人物が皆バシッと見せ場を作ってるのがいいですよね。
今回のキーパーソンであるところのマズルカの異才表現(それに対するポンポさんとジーンのリアクション)、フランの目立つ執念、コルベット監督の人を見る目…。
ホントにワンカットワンカットに見どころがあって退屈しない。
何気にブラドックさんの一番の見せ場は「ならぬ」かと思ってます。
あと、それぞれの映画自体もホントに面白そうでたまらない。
映画好きが面白いと思う要素が悉く盛り込まれている感じがひしひしとします。
実写化しませんかねぇ、この2本。
…ただ、演出・脚本はどうにかなったとしても、役者力を過剰に必要とする作品なので、ミスティアさんとブラドックさんに匹敵する俳優さんが必要なのよねぇ…。
決してスペクタクルがあるわけではない、悲劇もない、アクションもない、映画を作る人達の話…ですが、こんなにも楽しい。ワクワクする。
ひたむきになれる事はとても(麻薬的に)素晴らしいのだと改めて気づかされました。
…しかし…この人達幸せになれるのかな(苦笑
常に最高に飢えて呪われてるよ…。
でも、確かにこの本、ポンポさんを読めて幸せでした。
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シリーズの他の本に負けず劣らずぶっ飛ぶぐらい面白い。オムニバスから引き継いだキャラをストーリーに上手く絡んでいて、題材が同じでも全く飽きない展開になっているし、しっかりページ数をかけて表現されているから結末にも納得できる。
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「映画大好きポンポさん」の続編。
若き映画監督・ジーンはポンポさんの祖父である映画プロデューサー・ペーターゼンの復帰に伴い、名だたるベテラン俳優を起用した大作の監督を担うこととなる。
それにより、ポンポさんは映画プロデューサーの役割を一旦退き、年相応の学生生活を送るのだが、そこで出会ったのは類まれなカメラのセンスを持つクラスメイトだった。
紆余曲折を経て、ジーンはペーターゼンと共作する映画とポンポさんの手掛ける映画を同時に監督するのだが……。
大団円を経た後、ジーンとポンポさんが見出す答えは最高である。
一つの作品が完成したら、それはもう過去の遺物に過ぎないからだ。
ジーンとポンポさん、両人の最新作は過去作を上回る傑作になるに違いない。
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じいちゃんの復帰!パワーとクズ度を増して帰ってきたジーン!一度戻った学校からあっという間に映画界にカムバックするポンポさん!それぞれの現場で花開く新しい世界と新しい才能!今回もめくるめく映画への情熱と鬼気…すばらしかったです。作者さん曰く「おそらくポンポさんを描くのは今回が最後」なのかー! もっとこの世界に浸っていたいけど、おっしゃる通り人は未来を見て進んでいかなくてはね! いい作品をありがとうございました!