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著者のミッケル・ボルグ・ビャーウスは、デンマークに拠点を置くファントム・ブルワー(自ら醸造設備を持たず、委託醸造でビールを販売する)でありながら、同じくデンマーク、コペンハーゲンに拠点を置く世界的レストランnomaのシグネチャーボトルを醸造するなど、世界40カ国に輸出される、今世界でもっとも有名な醸造家のひとりといえる存在。
通読するというよりか、ホームブリュワーが都度参照するためのTips集といった趣の一冊。同版元、ガイアブックスの近著「クラフトビール・フォーザ・ピープル」はスコットランドの世界的醸造所・ブリュードッグを扱っていたが、こちらはそのミッケラー版という感じ。内容は重複もあり、掲載されているレシピはもちろん異なる。
ホームブリューからはじめ、数学・物理の教員として実力を磨き、世界的な醸造家となったミッケルさんの半生はとても刺激的。フレッシュホップについては好意的な記述はなく、農産物としてのビールという側面は薄く、ビールの実験的な部分を押し広げていっている印象。
ファントム・ブルワーという生き方は、今まで頭になかったけれどもホップ生産者と掛け合わせた職業としては結構おもしろいのかもしれない、と思った。そのためにも、ホップのペレット化、冷凍破砕などの後加工の技術と設備について研究しなければならない。
ミッケラー社のラベルアートワークは総じて好きです。