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「人生ミスっても自殺すればいい」ではなくて「人生ミスったら旅に出ればいい」の方がいいよね。間違いなくそう。
ヴィトゲンシュタイン縁の地を巡る哲学的紀行エッセイは、自殺する前に全財産使って旅に出よう、そんな場面から始まる。巡ったのは、イギリス、アイルランド、ルーマニア、ブルガリア、旧ユーゴ、ウィーン、ドイツの7カ国。ヴィトゲンシュタインの論理哲学論考が7章で構成されているのに合わせ、本書も7章で構成されている。
はじめは順調だった旅は、後半になるにつれ痛々しくなっていく。なんせ後半のほとんどは野宿だし、まともな食事も(財布の事情があり)取れていない。お風呂にも入れず不潔な様相をした日本人が人間扱いされない描写に、酷く胸が痛む。
でもこの旅を見届けずにはいられなかった。それは著者が自殺を考えていたからとか、旅の結末にハッピーがあるだろうからとか、そんな単純な理由ではない。なんとなく見届けなければならない使命感にかられた。多分この本のどこかに、どんなに絶望しても自殺しない人の理由が描かれている。というより、この本そのものが自殺しない理由になっている。
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タイトルからしてヤバい。表紙の写真も謎。ツッコミ所満載のクセ強めの勢いのまま、旅行記とエッセイと哲学愛がミックスした文章が延々と続く。途中、若干辟易としかけるものの、時すでに遅し。旅の最後がどうなるか見届けたくて中毒気味に突き進む。正直、ヤバいオッサン。でも、愛すべきかなりヤバいおっさん。
言いたい事は色々あるけど、読むか悩んでる人にはとりあえず薦めておく(笑)
最後についてる写真も、編集者の方でもうちょっと何とか良い感じにしてあげなかったのか、と言いたくなるけど、なんかこの本なので許せるのが悔しい(笑)
こんな本が世の中に1冊あっても良いかと思わせてしまう境地に行き着く。
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ルートヴィク・ヴィトゲンシュタインに師事している著者が、23歳から30歳までの7年間引きこもり、その後ヨーロッパを旅する記録文。独特の世界観。
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一人旅の時の頭ん中、そのまんま文章になりました、という感じで、その語り口が大変大変好ましい。
一人旅してた時を思い出して、こんな意味わからんひとり語りをするめんどくさい自分になりたくなり、旅にまた出たくなる。
ヴィトゲンシュタインをめぐる(一部巡らない)旅。
とても不思議な旅行記であり、ヴィトゲンシュタイン考。
タイトルから想像する印象とは異なる、かなりインテリな拗らせた男の欧州旅。
#人生ミスっても自殺しないで旅 #諸隈元 #読書記録
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著者自身も言っていることだが、この童貞感があって読み応えのある文章には感嘆した。
初めは、何だかクセが強いなぁと思っていながら、段々と味わい深いように思えてくる。
ウ(ヴ)ィトゲンシュタインへの造詣が深く、語ることを、考えることを止めず、旅の風景を眺めていた著者の体験は面白い。
この世界の限界は、私の世界の限界であり、一つの世界の限界が、ウィトゲンシュタインオタクの一人から見た世界でもありうるという、これがなんとも、良い。
絶望しているようで、絶望的でないのは、希望があるように見えるとまではいかないものの、何処か芯があるように感じられるのは不思議だ。
後書きに、端的に著者のメッセージがある。
『「自殺は、それ自体としては、善くも悪くもない」
だから一概に自殺を否定する気はないものの、僕個人としては「自殺はできるし」と思うよりも「旅に出れるし」と思う方が、より愉快であるし、あらゆる人間にとって、幸福であると言いたいのです。』
この一文で、ますます好きになった。
やられた!
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タイトルが変わってて、ヨーロッパ各国を回っている内容が面白ろそうなので読んでみたが、これはなかなか読んでて辛かった。苦手やわ、こういう人もこの文章も。行ってるところは行ってみたいようなところが多いが、この人のようには回りたくないもんだ
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捻くれている、童貞のこの文章、最高
童貞だからこの時代に合わないけど女性を評価しちゃいますみたいな注意書き、唐突過ぎて笑っちゃった
ヴィトゲンシュタイン本当に好きなんだね、これくらいの教養と好意、興味があれば旅行も楽しいんだろうな
すごく羨ましい
この人プロレスといい基本根アカだね、ニートとは言えやりたいことに全力注いでる点含めて
絶望の末に自殺、と言ってもほぼほぼヴィトゲンシュタイン周りの影響ありき、そしてそれの深掘りで旅行に行くのは乙なもの
やってみたいけどそこまで見たいという熱量はないなー
文章はとっちらかっていて小説もこんな感じなら正直読みたいとは思わないが、妻の出会いとかは気になる
頑張ってほしい、この人に幸あれ
あと章の数字のフォントがラグランパンチなのが謎すぎて好き
日常に見つけるラグランパンチ好きです
あとタイトルがなーーー
直接的過ぎるな
さすがに編集判断??
こんな偏屈な内容とは思えない直接的なタイトルだけが腑に落ちないが、さすがにかけ離れ過ぎると売れないのかしら
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ヴィトゲンシュタインのことを良く知らなくても楽しめるくらいヴィトゲンシュタインに侵されている1人の人間の物語(?)
内容はさることながら装丁、サイズ感がとてもいいのでこればかりはやはり本として買うのがオススメ(電子書籍があるのかすら知らないけど)。
人生ミスったっぽい一人間の旅と思考の物語。
人生自らとの対話が深すぎるし、著者のものの見方や自虐っぷりも面白く、「自殺」という言葉が入るタイトルをいい意味で裏切ってくれる。
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・死んじゃダメって死ななかった人しか言えないんだよ。
・巻末の魚の衣食べてくれた猫の写真いい写すぎて笑った。
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「「人生ミスったら自殺できるし」よりも「旅に出れるし」のが良いと思う」という著者の旧Twitterでのつぶやきの反響から、自殺を考えていた著者のヨーロッパ旅行やヴィトゲンシュタインゆかりの地を回って考えたことが時系列を言ったり来たりしつつ、記される。不思議と気が楽になる1冊。
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電車の中で読むには刺激的過ぎるタイトル(笑)
この本は思うようにいかない人生の果てに突如ヨーロッパ旅行に旅立った小説家志望の自虐的放浪記といった感じなのだが、読み終わった後に思ったのは自殺したいとか仕事を辞めたいとか自分の気持ちを言語化できてる時点である程度自分の気持ちを客観視できてるから踏みとどまることができるということ。本当に実行してしまう人は言語化できない負の気持ちに飲まれてしまうんじゃないだろうか。
最後の旅先で出会った人からのメールにあった、「結局帰るところに戻るための旅」というのが心に残った。当たり前過ぎて忘れてしまうけど、どんな綺麗なホテルよりも狭い我が家のベッドにホッとする気持ちがよく表れているなと思った。