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人生100年時代の生き方をしみじみ思う。
子供を育てあげ夫婦は役目を終えるという考え、それもありだなと同意。そうなんだ、無理して添い遂げる必要なんかないのだ。
主人公が様々な人と会い、考え、最後に至った結論はどこまでも明るい。
「人間というのは、長い人生の中で幾度か“もう一度”のチャンス与えられる」
このフレーズに力を与えられる思い。
自分の産声に立ち返って、人生を何度でも始められるという希望を感じました。
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夫婦、又は男女の形を様々な描き方で白石さんは見せて下さいます。今回も。
このコロナ禍の中で尚かつ癌を発症してしまったという夫の突然の宣言。
妻としての意見さえも言えぬまま途方に暮れる様はリアルにひとりの女性として言いたいことも沢山あるし、過去の付き合っていた男性に対しても『男なんて!』と叫び出したいこともあった。ただ、周りの人達の言い分も間違いはないから、どうする?どうなる?で一気読み。
まだまだ男と女のストーリーは続くのだけれど、綺麗にまとめ過ぎてしまってウズウズしてしまう。
自分なりの決着は、自分で決めてということなのでしょうね。
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名香子、47歳、英会話講師。夫良治、54歳から癌があると分かったと告げられ、そして家を出て他の女と暮らすと言われる。なぜ突然そんな事になったのか。コロナ禍の人の有り様。名香子は昔の事を思い出す。25歳のとき、結婚を前提とした同棲を始めようとした直前、別の女を選ぶことにしたと告げられた・・・
超常現象的だったり、人生における理論を振り回す白石節はあまり炸裂しない。だからか妙に読みやすい。結末の付け方は好みではないけれど、人生とか人生の終わらせ方など(共感は出来ないけれど)考えされられるネタは豊富だった。これをもっと抽象的かつ普遍的に描写してあると、もしかすると村上春樹作品のように再読に耐えるものになり得るのかも知れない。
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幾度となく訪れる人生の分岐点を振り返り、もしもあの時こうしていたら・・と考えても仕方のないことを思ってみたりして、現在の生活をまた憂う。コロナ禍だからこそ余計に溢れる時間が、そうさせるのか。主人公名香子の意固地な性格は私が夫でもご勘弁願い有様だし、自身の病歴を理由に異常なほどに他人のマスクを意識してる割には平気で出歩く無神経さが気持ち悪くて、作者の意図なのかどうかはわからないけれど、彼女から去っていった人たちの心にフォーカスして欲しいくらいだった。エゴに生きる女の話って感じでざんねん。
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コロナ禍の今だから?、究極の選択肢もありかなと。
同年代に近い人達の振る舞いが、ある意味羨ましい限りである。ただ、富裕層という条件があっての話であり、行動ではあるけれど(著者の背景はいつもこのレベルだし)
閉塞感のある今だからこそ、小説の中だけとはいえ、読後感は爽快、気分を変えるにもよい物語かも(笑)
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癌と宣告されて、もう一度、人生をと考える夫、良治。再会と言うきっかけもあったんだろうけど、何かなぁやだなあと、ずっと思いながらの読書。富俗家だから、こんな過程でもいいのかと、ちょっと羨ましくも思いました。名香子さん、何代めかとなるミーコと、まったりと歳を重ねて行くのも良いかと思います。
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・テーマ/世界観 ★★★
・背景描写 ★★★★★
・キャラクター ★★
・インパクト ★★
・オリジナリティ ★★★
・テンポ/構成 ★★★
・文章/語彙 ★★★
・芸術性 ★★★
・感動/共感 ★★★
・余韻 ★★★
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この小説の中の2020年9月からちょうど1年経った今も、まだコロナがおさまってない。
ワクチン接種は始まってるけど、むしろ感染者数は増えていて悪化しているようにも思える。
アフターコロナ小説になるはずが、今でもリアルに感じる描写ばかりで切ない。
いちばん印象深かったのは、「子どもが巣立った今、夫婦が一緒に暮らす必要なんてない」という部分。
1人より2人でいるほうが楽しくて幸せだったはずで、だから結婚したはずなのに…時が流れてどうなっていくかは誰にも分からない。
でも、人生は何度でもやり直せるし、その時自分が幸せだと思うことを常に選んでいたい。
ラストが何を伝えたいのかよくわからなかった。
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好きな作家さんの新作。
なんと、コロナ騒ぎが小説でも取り上げられる時代になったのか。
東日本大震災が小説やテレビドラマに出てきたときも衝撃的だったけど、これもそんな感じ。
しっかし、仲良しだと思ってたダンナから別れを切り出される、ってどんな気分なんだろ。
「高級な終わり方」って私も憧れるなぁ。
家族や親戚から解放されて最期を送る、ってなかなか理想的。
表紙に岩合さんが撮った猫ちゃんがいる理由、最後に明かされます
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コロナ禍での話で、時世の流れも書かれていますが話の内容と直接関係がなく、なくても話が進むレベルで取ってつけた感。最初の本題だった話もいつの間にか薄れて方向性が変わってしまい、本題どうなりました?と消化不良。途中から話の熱量も急冷化。無理に時世を取り入れなくてもよかったんじゃないだろうか…。
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序盤は波乱続きで置いて行かれそうですが、中盤以降は淡々と物語が進みます。それにしてもお父さん、あまりに勝手すぎませんか?
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20年以上も連れ添った夫婦が迎えた危機を妻の目線から描いた作品。夫の不可解な言動は謎で、彼の本心は想像するしかない。なんとなくわかるような、さっぱりわからないような……。そしてこの奥さんもなかなか理解しがたい人物だった。そんな夫婦の話よりも、表紙にあるように猫が登場することが嬉しかった。ピノが死んで間もないこともあるが、ラストシーンは涙が溢れた。
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やっぱり白石一文さんの描く女性が好きだな。凝った仕掛けや謎解き、文学的実験がなくてもいい。この世に生を受け、死を迎えるその日まで、一人の女性として命を生ききる。生きている以上は、「もしかしたら別の人生があったかもしれない」と考えようとも、別の人生がどんな人生だったか覗いてみることはできない。特に女性の場合、産み育てたわが子がいる以上、他の人生を歩んだ場合はその子どもに出会えなかったことになってしまうので、もうそれは、「なかった人生」でしかない。そちらを選びなおせない。
本作では、「この人生は、娘が仕組んだものとしか思えない」という考え方が斬新で、でもうなづけるものでもあり、あぁ本当に、我々は、生き物は「生かされている」、「生まれさせられたもの」のだなぁと思った。
本作は、20年以上連れ添った夫に、「別の人生があった、そっちを選ぶ」と言って去られてしまった女性の物語。もう、あんまり酷すぎる。
しかし、夫がそう考えた事情を考えると・・・私が彼の立場だったとしても、「そっちを選んでおけばよかった、俺はもう後悔はしたくない、妻には悪いが、やり直す」と考えても仕方がない気がする。いや、実際にはそうしなくても、彼がとった行動は理解できなくもない。
白石一文さんの作品の登場人物は、たいてい癌に侵されてる(笑)。今回はその夫が癌で、だからこそ、自分の気持ちに正直に生きる、と潔く妻と決別するわけだ。現実の社会では、多くの人が人間関係に悩み、家族の問題、夫婦関係でああでもないこうでもないと病んだりしてるわけだけど、この作品の主人公の女性はコロナに感染したら重症化が避けられないことから、「コロナに罹らずに生きる」ことに比べたら夫婦関係なんて小さいことだ、と考えたりするのも面白い。旧友にも、年をとったら家族とか夫婦とか面倒くさいしがらみは捨て去って、友達同士で老後を過ごし、”高級な終わり方” で人生を締めくくるのもいいんじゃない? みたいなことを言われる。
これは、実は私もよく思うことで、老後は本当に気の合う友達と共に過ごしたいなぁ、家族よりよほど、支えあえるかも、と真剣に考えている。
いのち。
少し、「どうせ夫婦なんて」「どうせ他人だし」という感じも出しながら、終盤、娘が産まれた時の産声が録音されたテープを発見し、その声を聞くあたり・・・そして、いなくなっていた愛猫のミーコの声に気づき、庭に出て行くあたり・・・
「産声」は、娘の声なのに、小説のタイトルは「我が産声を聞きに」。そして実際に聞いているのは猫の声。主人公の女性が、新たに生まれ変わるっていう暗示なのかな。いや、私もこうやって産まれてきたのだ、っていうことかな。
「私」も、夫も娘も猫も、全ての人達が、こうやって生まれてきてこの世に生を受け、産声をあげた。そしてそれぞれに、同じ人生なんて一つもない、それぞれの人生を生きる。それぞれが、まったく別別の人生を生きる。しかし皆、向かうところは一つだ。
この頃の白石一文作品で描かれる「生と死」では「死」の方に比重がかかっていた感じがするけど、本作は「生」の方に比重がかかっていて、とても感動しました。
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結末に物足りなさを感じたものの、物語には引き込ままれて一気読み。
人は結局はひとり、自分自身の生き方、夫婦関係のあり方について考えさせられた。
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初めての白石一文さんの本。
難しい漢字や言葉が多く(私の語彙力や理解力が足りない為)、調べながら読み進めてました。巧みに普段使わないような言葉の使い方が素敵だな、と思いました。
読みすすめるにつれ、本のタイトルとのギャップを感じますが、終わった時に、ホッとできる素敵なお話しだと感じました。
表紙・裏表紙が素敵。