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私の読後感としては、宮崎徹という優れた研究者の自伝的研究史といった印象の本である。とても面白かった。
本書の内容は「AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)」という分子を著者が発見し、それを実際の医療に活かすための研究の過程をまとめたものである。ネコの腎臓病の治療やAIMの研究状況等が紹介されているが、このAIMを病気の治療に活用できる最初のケースがネコの腎臓病であったことから、このタイトルとなった。テンポ良くストーリーが展開されていく中で、著者の真摯で情熱的な研究姿勢が窺われ、周囲の人たちに応援される人柄であることが伝わってくる。
著者はヒトの病気を治療する医師である。東大医学部を卒業し、テキサス大学等で活躍した後、40過ぎで東大医学部の教授に就任した極めて優秀な先生である。AIMは、ネコの腎臓病だけでなく、ヒトの腎臓病やアルツハイマー型認知症、肝臓癌など多くの病気を直し、ヒトの寿命を大きく変える可能性を秘めた革命的な分子なのである。
この本は2021年8月に初版が出版されている。AIM創薬の開発が、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で中断を余儀なくされながらも、「今後も待ち受けるであろう困難に決して屈せず、AIM研究を続けるつもりだ」と締めくくられている。
この初版までの物語には、後日譚があるようだ。その後の報道等によると、宮崎徹教授の猫の腎臓病治療薬研究への支援のため、2万件、2億8千万円もの寄付が集まったらしい。宮崎先生は、東大を退職し、AIM医学研究所を新たに設立して創薬に専念すると報じられている。
次の物語が楽しみである。
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ヒトもネコも腎臓病は治せない。著者、宮崎徹さんは病気に打ち克つ蛋白質「AIM」の研究を。腎不全末期の15歳のキジトラ、キジちゃん、寝たまま食事もせず余命1週間。飼い主もすがる思いで著者に。AIM10㎎の静脈投与7日、キジちゃんは、起き上がり食事をして元気に動き回った。是非、商品化をお願いします!宮崎徹「猫が30歳まで生きる日」、2021.8発行。著者の見解:ネコの腎臓病は、AIMが先天的に機能しないという一種の遺伝病。子猫の時からAIMを投与すれば今の倍の30歳ぐらいになるのでは と。
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「いつまでも元気でいてくれ」、愛猫を見つめてそう願う。叶わぬことと知りながら。いつかその日がやってくる。その日は遅い方がよい。・・腎臓病はネコ科の遺伝病。特効になるAIMの発見。膨らむ期待。愛猫家が待ち望むが、薬の開発が新型コロナで止まってしまった。原因は開発企業の資金難。根本は緊縮財政だろう。腎臓病、アルツハイマー、新型コロナ、ヒトへの効果の可能性もある。国が乗り出してもいいはずだ。そんな中での朗報。AIM入りのペットフードを出すという。さあ、期待。デフレに病めるこの国へ。”緊縮脳”完治の願いもこめて。
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記録。
宮崎先生とツィメルマンとの対談。
やはり音楽も科学も、自然や生命そして人間の精神の美しさや不思議さを想い、探求し、
「音楽家は音楽の言葉で、科学者は科学の言葉で表現する。つまり同じことをしているのだ」ということで落ち着いた。
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読み友さんのレビューで知った本。
ほぼすべての猫が腎不全で死ぬという衝撃の事実と、その原因となる“ごみ”を除去するたんぱく質・AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)について、とてもわかりやすく書かれていて好感を持った。このAIM、人用には腎臓病とアルツハイマー型認知症の治療が可能だというから期待大だ。
残念ながらコロナ禍で開発がストップしてしまったようだが、3月にはAIMを活性化する猫用フードが発売され、来年には臨床試験も始まるらしい。薬の完成を首を長くして待ちたい。
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この本棚を見て想像できそうですが、私は無類の猫好きです。一番初めに飼った猫も、腎不全や糖尿病で亡くなりました。可愛くてしかたなかった子です。いつか亡くなる命だとしても、慢性的経過を辿り少しずつ悪くなっていく姿を見るのはそれがたとえ人であっても猫であっても辛いものです
こういった新しいものが注目されたり、開発が上手く行ったりするときには本当に不思議な縁が繋がっていくものですよね。だからこそ、出会いを大切にしようと思います
医学的なことも書いてありますが、とてもわかりやすくかみ砕いて書いてあるので読みやすいと思います。実用化が進んでくれることを願っています
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溢れる情熱に圧倒される。AIMの発見から発想の転換、未来への展望まで、医学的な話もわかりやすく解説されており、するすると読めた。ヒト薬としてももちろん期待しているが、飼い主としては、何はともあれ一刻も早く愛猫に投与できるようになってほしい。応援したい。
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とても良かった!!!
全てのねこ飼いさんに読んでもらいたい本。
少し前に「AIM30」というキャットフードのCMを見て「猫が30歳まで生きる?!」と驚いた記憶があり、図書館でたまたま本書を見かけて読んでみた。
科学的医学的なことを素人にもわかりやすく図解入りで解説してくれて、腎臓病の仕組みやAIMの働き・体内での形状などがよく理解できた。
生い立ちや、AIMを見つけるまでの記録もとても興味深かった。
終盤の方でコロナの影響により製薬化がストップしてしまう場面では、こういうところにも甚大な影響があるのだなと思った。しかし全く諦めずに多方面からのアプローチを考え続け、ヒトへもネコへも「治せない病気を治したい」と信念を持ち続ける宮崎先生が素晴らしく、応援したくなった。
高価だけど「AIM30」というキャットフードに是非変えたくなった。
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多くの猫がかかり治らなかった腎臓病に光が見えた1冊。
猫を飼っている方にぜひご一読いただきたいです。
うちの猫が高齢になってから腎盂炎に悩まされ、結局それが原因で亡くなったため、なんとかこの猫の腎臓病を治す方法はないのかと思っていました。
そんな想いに応えくださる希望が持てる本でした。
今はすでにこの本の著者である宮崎徹先生と産学連携で研究・開発を行い、総合栄養食としての開発に至ったAIMの入ったごはんがマルカンから出ています。
難しいことを分かりやすくお話しくださっているので、とても勉強になりました。
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やられたー
我が家には14歳のスコティッシュフォールドがいて、病気がちなので、
タイトルに惹かれ、この本を手に取った。
そう、猫の健康本かと思って。
ところは実態は、、、人間の「治らない病気」腎臓病の治療薬を研究する著者が、
まずは結果が出るのが早い猫から薬の効果を試そうとして、まず猫の薬に
のめりこんだ、、、というところの、著者の医者人生を綴った本だった。
それはそれで崇高な目的に向けた真摯な取り組みで、素晴らしい本ではある。
ただ、表紙といい、タイトルといい、まあ、猫健康本を想起させるわなあ。
ま、いいか