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北丸雄二さんの著書。
北丸さんは、前からラジオの「ディ・キャッチ」に出演されたり、マル激やダースレイダーさんのYoutubeに出たりと、アメリカの話に詳しいジャーナリストと認識はしていた。
今回深掘TVに出演されてるの観てこの本購入したんだけど、なんでこの本を出したんだろう?とちょっと思った。けど、読んでみてわかった。なるほどね、と。ゲイだったのか。日本だとあまりカミング・アウトする機会も必要性もないのかな?
で、この本は素晴らしい。
1993年に渡米した北丸さんの実体験を交えながらの話で、1900年代の特にアメリカのゲイ(マイノリティ)・ムーブメントがどう推移したかがこの本を読むとすごくよくわかる。60年代の黒人、70年代の女性、80年代のゲイ、そして、エイズ禍を経て90年代になって経済的な要因も重なってゲイが市民権を得たわけか。さらに00年代、10年代と進み現在に至る。アメリカでは既にゲイの閣僚(大臣)が誕生している。
最近「Z世代(1995年~2005年生まれ)」がもてはやされている。
日本でも同じ文脈でZ世代が語られるけど、この本読むと、日本のZ世代はこういったマイノリティ・ムーブメントを全く経験していない親や祖父母が溢れる国で育っているので、他国のZ世代とは全く異なることがわかる。
「ヘテロ/ホモ/バイ セクシャル」などの区別が重要ではなく、同じ人でも状況によりベクトルが様々変わる、という話は本質的だ。自分もホモやバイであり得る。よくよく考えると、自分も愛と友情の違いがよくわからないといつも思ってるし。ゲイ・レズビアンはアイデンティティを表す言葉、というのも結構衝撃だった。その上での「ダイバーシティ」。日本でこの言葉が空々しく聞こえていたけど、こういった歴史がなく結果の良いとこ取りしてるだけだったからか。。なるほどね。
いやー、結構目から鱗がボロボロと落ちました。
今後LGBTQ+の情報を見たりする際に、羅針盤として活用させてもらおうと思います。
いつかまた再読しよう。
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ラジオやYou Tube番組で、とても分かりやすく理性的にアメリカや世界、そして世界から見た日本の話をしてくださっている北丸さんの集大成とも言える著書。
知らないことばかりで目からウロコ。LGBTQ+を語ろうとする人はこの本を読むべき。特に自民党サポーターとか。
ゲイを異常者であり「性のバケモノ」とみなしていた社会の空気がハリウッドスターのエイズ死亡によって変わり、さらにレズビアンを含めた女性側から救いの手が差し伸べられたというの話が印象的だった。北丸さんも書いておられるようにこれはジェンダーロールを超えたものであったように思う。
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昨今のLGBTに関して急激に啓蒙された日本社会を理解するために本書を選んだ。
まず、これから読もうと思っている方は内容を一読してから購入する事を推奨する。本書は400ページを超える著作であるが、そのフォーマットはエッセイである。こんなに長い散文でLGBTを理解するのは非常に難しい。正直私には合わなかった。通常の書籍の形式が最も理解しやすいと再認識するだけだった。
流し読みに終始してしまったが、それでもLGBTを取り巻く環境、歴史は少しだけ理解出来たかもしれない。
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読前の自分の無知を恥じ、過去の言動を猛省し、未来への自分の行為を決定していく
そのためには、この差別と戦いの歴史を血肉化し、自分の体内に宿らせることが必須である
この本以上に、その目的にかなう本は今のところないのではないか
主語の入れ替え可能性、と言う概念、性的マイノリティの問題に限らず極めて重要。
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重厚でいてユーモアの溢れる文章に引き込まれた。
性的指向を友情と引き合わせた文章を読んだのは初めてだった。その視点を知って自分の世界もまた広がった感覚が嬉しい。学びに満ちた一冊。
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テーマ的に必要に迫られて手に取った一冊だったのだが、予想外のクリティカルヒット。ジャーナリスト的なのか文芸系の素地なのか論理的なカチッと感には欠けるのだが、叙情的で読ませる文章。性的マイノリティの話というより日米の比較文化論としてとても楽しめました。
彼の国と比べてこの国には公の言論空間がなく、全ては私的に回収されるしかないという指摘は私小説の伝統にも繋がるような気がする。ポリコレやアイデンティティポリティクスを経ずしてそれらを批判するなかれという視点に共感する。
メインテーマである性的マイノリティについても、これまでの認識を改めるヒントをもらった。
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ジャーナリスト北丸雄二氏によるLGBTQ+に関する歴史を記した本。語り口はエッセイ的でもあり非常に読みやすい。
自身も当事者である北丸雄二が実際にニューヨークで目撃してきたゲイ達の権利拡大運動史については知らなかったことも多く非常に勉強になった。
特に80年代のエイズ禍の悲劇こそがゲイたちがクローゼットの中ではなく表に出ていくきっかけになったという話は失礼ながら面白いと思った。
この本を通して感じるのはいかに日本の市民における平等意識や権利意識というものが希薄か、ということ。
それ故にLGBTQ+や女性の権利拡大について遅々として進まない日本社会には絶望を感じざるを得ない。北丸雄二さんのような誠実な語り部がもう少し必要なのかもしれない。
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目次・要点
版元ドットコム
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910553009
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◆あらゆる差別の根源にあるのは「無知」◆
世界で何が起きているかほとんど知らないことを痛感しました。日本語だけの情報で満ち足りて、そこから出ることもその外に世界が存在することも頭になかったのだと。自分に関係がないと思うことについて人は興味を持ちません。しかし、知らなかったでは済まされない。マイノリティの問題はマジョリティ側の問題だと本文にもありますが、大いに関係があるのです。大切な人を無自覚に傷つけないためにも、知ることからはじめます。