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独ソ戦争。
スターリングラードの戦いでの死者はドイツの収容所で死亡した人の数を超える、友人から教えてもらったときの驚きは大きいかった。
私たち、日本人は敗戦国の悲劇を語るが、では戦勝国はどうだったのか?
長い間の私の疑問だった。
その疑問を答えてくれた作品が『戦争は女の顔をしていない』だった。
ソ連で従軍した女性たちへ取材した名著。こちらはあくまでもフィクションでであるが、それに負けない小説が日本で発表されたことを心から祝いたいと思う。
戦争が始まっても、まだ平和だった村に住む少女のセラフィマは、いきなり村を襲ってきたドイツ軍の母を、そして村の人々を殺されてしまう。
一人生き残った彼女を狙撃兵訓練兵学校の教官長のイリーナが、幼いころから狩りをしていた彼女を狙撃兵として育てることになる。
村を全滅させたドイツ軍。母を殺したドイツ人、そして村を焼いたイリーナへの憎しみを糧にしてセラフィマは狙撃兵として成長していく。
コサックとしての誇りを持ち戦うもの、子供の救うために兵士になったもの。セラフィマの周囲にはそれぞれの事情を持った女性たちが集まる。
最後のどんでん返しには泣かされました。
こんな凄い作家が出てくるとうれしくなりますね。(そして、何気なく北方十字軍という言葉に反応する私、おお! これが入るとロシアをしっかり理解されているんだなぁと思う私♪)
胸打つ名作です。勝敗は些末なことではないだろうか? 大事なのは戦争をしないことではないのではないか、改めて深く考えさせてくれる一冊です。
新人さんなのが信じられないですね。素晴らしい作品でした。
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戦争の話だしめっちゃ分厚いから初めは怯んだけど、読み始めたらもう止まらない…!なんでこんなにもスッと入ってくるんだろう。すごくわかりやすかったし、自分が独ソ戦について何も知らなかったことにも気がついた。狙撃兵として女性が戦争の第一線で活躍していたことも。
キャラクターもとても魅力的。シスターフッドがたまらない。
思考回路が単純だけど、『戦争は女の顔をしていない』も読みたくなった。読まねば。
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スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏への最大のリスペクトを感じた。
日本人女性の自分からすると、日本は女性が直接的に戦争に参加することはしていないし、戦争がどうしても男の歴史になるのは腑に落ちると思っていたけど、参加してもこう、こうなるのかとつらい気持ちになってしまった。
『戦争は女の顔をしていない』というタイトルが今までより理解できた気がする。
戦争は女の顔をしていない、はコミックスの方で軽く読んだことがあったけど絶対小説の方も読もうと決意。
本作自体もすごく読みやすくて臨場感があって起承転結の整った文章、本当にデビュー作ですか?
戦争は白でもなく黒でもなく、私たちにとって敵とは誰なのか常に考えさせられる展開でした。
ぜひ次作にも期待!
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何度も何度も泣いてしまった。史実に基づいたリアル感がそうさせてくれるのもあるかもしれないけど、とにかくキャラクターがすごい。
みんな好きだけど、シャルロッタ、オリガ、ターニャが特に好き。アイデンティティが明確にあって芯が強いからかな。
戦争が無かったら出会ってなかったかもしれないけど、セラフィマが強くなることもなかったかもしれないけど、そうじゃない世界の彼女たちを見たかった。だからこそ戦争は絶対にしちゃいけない。
ちょっぴり厚い本だけど構成が良すぎるのと描写に引き込まれるのでノンストップで読めるやつだとおもいます。
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今のウクライナ侵略前に読んだらもっと印象が違っていたかもしれませんが、すごく抉るように普遍的なテーマが刺さります。
もちろん戦争、命を奪う、奪われることの悲惨さを主軸にはしていますが、ある程度説教臭くならず、ちゃんと人間ドラマで、エンタメとしても面白く仕上げていて、引き込まれるように読むことができました。
少しボリューミーで内容も重ためですが、沢山の人に読まれれば良いなと感じました。
一点ちょっと付け加えると、軍事もののライトノベル感ががあったので、何度か少し違和感はありましたが、わたしの気にしすぎでしょうか笑
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『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬著)を読了。
一人の女性狙撃手の誕生と復讐の物語。狙撃シーンなどの戦場の極限状況の緊張感、狙撃小隊の仲間や戦友たちとの交流と絆、そして終盤からラストの驚きの展開とアガサ・クリスティー賞大賞も納得の素晴らしい作品、面白い&すごすぎました。
普段戦争小説を読まない人もきっと楽しめるはずです。
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なんて読みやすい本なんだろう!というのが全体の感想。
戦争ものだしロシアの馴染みない作戦や地名、状況がたくさん描かれているけど、このさらさら淡々とした文体だから苦も無く読める。
ただ今の状況だから余計読んでいて苦しいのはあるけど、それはそれとして本は面白い。
ラストの好みの問題で星3にしてます。。
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村を焼かれ家族を失い女性狙撃兵として生きることになったセラフィマ
兵士としての成長、仇である狙撃手を追う冒険小説として楽しめました。
「まともでいることが出来ない、まともを捨てないと闘えない」戦争の異常さをちゃんとソ連側だけではなくドイツ側も描いていた。
戦争を「女性」として生きるとは…についても想像していた展開を超えてきて唸りました。
読み始め違和感がチラホラ
勝手に「兵士」として始まると思い込んでいたため、戦争に巻き込まれて養成学校から始まったこと、
同志のシャルロッタ他のわかりやすくアニメ的なキャラに最初戸惑いましたが、一般人が兵士に変わっていくことの惨さへつながり…
後半にはキャラクターへの違和感などは消え、むしろシャルロッタのような明るい人が暗い戦況のなかでも居てくれるのって大事なんだよな…と、色々と過去の自分自身の仕事(実体験)のことを思い出してしまいました。
途中から関連書籍にて戦争全体の流れを追って戦況、上層部の動きを理解しながら読み進め(作中でも説明してくれます)兵士の現場視点ではどうかという見方で読むのは楽しかったです。
その分、上の馬鹿げた判断の下で悲惨な状況がそこら中で起きているのがやりきれない…
セラフィマの"敵"に対する「怒り」、戦争の中での「迷い」が葛藤し少しずつ膨らんで、いつ爆発するのかヒリヒリしたまま怒涛の展開へ流れ込むのは圧巻でした。
誰もがまともなままではいられない状況なのはわかるけど…何度も「男って…」と、呟きたくなりました。
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独ソ戦における女性狙撃手の物語。家族や住む場所を失い、狙撃手として戦争に参加することになった1人の少女。その少女の成長物語であり、第二次世界大戦における独ソ戦を描いた歴史小説でもあり、狙撃手の緊迫した戦闘シーンを描いたアクション小説でもある。いずれにしても最高の出来で、アガサ・クリスティー賞大賞になるのもわかる。女性小隊という戦争における特殊な集団もあって、小隊内外での人の関わりについての描写も興味深い。そして、終盤にわかる『同志少女よ、敵を撃て』というタイトルの意味。敵とは誰を指すのか。単純に国同士の争いだけを書いているにとどまらない。復讐を誓った少女が最後に敵として撃つのは誰なのか。これは実際に読んで確かめてほしい。女性スナイパーや独ソ戦のことをもっと知りたいと思わせる著書の筆力が凄くて、参考資料をいくつか読んでみたくなる。そういう意味では、この本は自分自身の世界を広げる本なのだろう。2021年の読んで良かった本のベスト3に間違いなく入る、面白い小説だった。
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最初のうちは、主人公の心理描写や訓練学校での会話が少し軽いような気がして入り込めなかったが、実戦が始まると一気に引き込まれた。
敵に対してだけではなく、女性兵士であるが故に味方であるはずの男性兵士に感じる葛藤や怒りなど、よく描かれていた。
戦いの中に身を置く兵士の状況や、戦場となった街で生活を続ける人達が印象に残った。特に「戦場にいながら、殺し合いとは別の日常を生きている」、遊ぶことをやめない子供達の姿は衝撃的だった。
これがデビュー作とのことなので、次回作も期待したい。
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戦時中の大きな時代の波に呑まれて、移りゆく価値観と悲惨な現実。決して歴史には刻まれてこなかった女性達の物語。国家や、民族といった大きな歴史ではなく、一人一人の人間の物語を語っており人生に対する深い尊敬の念を感じた。
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これはすごい。全人類必読。
冒険物語としての臨場感もさることながら、戦争というバックグラウンドが衝撃的な展開を生み出している。
これがデビューというのは衝撃。
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479ページ。その分厚さにも関わらずも1日で撃ち抜いてしまった、魅力ある1冊です。
普段小説は買いません。主に古典や、実用書を中心に買っています。ストーリーを楽しむのはコミックや映画を中心にしているからです。
そんな私が最近手に取ったのがこの本、
「同士少女よ、敵を撃て」でした。
理由?表紙のセラフィマが可愛かったからです。
それは半分冗談として、スナイパーと聞くと、食指が動いてしまいます。
軍の武勇伝ではない。ただ1人、まんじりもせず敵を待ち、絶好の機会が来るまで暗がりで息をひそめる。
その忍耐力と、引き金に指をかける1秒のために孤独に膨大な訓練をする彼ら(今回は彼女たち)の姿に目が引かれてしまうのです。
仇を討つため狙撃手になった赤軍少女兵士の物語が、表のストーリーだとすると、根底で読み取れるのは、殺し合いの中で入り交じる一人一人の物語、両面思考です。
ロシア目線で語られる第二次世界大戦のようでいて、要所要所で、ナチスドイツ側の視座も混ざってくる。誰が敵で、誰が味方なのかが、わからなくなってきます。
連邦国という名前を表すように、多民族国家ソビエトにおける、民族差別も要所で読み取れる。ウクライナ人、コサックなど、ソビエトの同士諸君は一枚岩ではありません。
そして、一番印象的なのは性差の部分です。
作中でも語られるように、女性兵士という特異性は味方からも受け入れられ難く、セラフィマが苦悩する場面が幾度も語られます。
ソビエトの同士、セラフィマが撃つべき「本当の敵」は誰なのか?
最終章の1ページに思わず嘆息しました。
語りの流暢さ、緊迫感、共感で、集中力が最後まで続きます。読了が即ち終戦と思うくらい体力を使いますが、その価値がある1冊でした。
※過去に女性兵士の証言をまとめた本が出版され、ノーベル文学賞を受賞していました。その本と符号するところが多いので、お時間があればご一読をおすすめします(最近はコミカライズもされていたはず)
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ウクライナ侵攻が起きている今だからこそなのかひきつけられる本でした。
戦争だからこそ起こる悲哀、憎悪、対立、敵味方・・・。
負も善もないまぜになりすぎて千切れる心。
そのどれもが強制的に引き起こされる。
男だけではなく女にも。
でも女にはその被害が表に出る事はない悲しさが辛い。
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第二次世界大戦中のソ連で女性狙撃手として活躍した女性たちの戦いを描いた作品。
本当の敵はなんなのか、上官の思惑はなんなのか、何のために戦うのか、問いを抱えながら読み進めるスピードは加速する。
面白かった!!この著者の次の作品も気になる。