紙の本
なぜか斉藤壮馬氏のカバーが二重掛けになった1冊が手元に届いたのだが…
2022/01/26 03:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コピーマスター - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生時代に読んだ「君はこの国を好きか」が私の初鷺沢作品である。とはいえ「帰れぬ人びと」を読んで思わず唸ってしまったのは比較的最近のことだ。一世を風靡した筈の鷺沢作品だが今や紙書籍では現役版が僅かしか流通していない。「帰れぬ人びと」をものしただけの筆力は裏切らないだろうという期待があり、このたび本書が新装版で出ることを知り矢も楯もたまらず気になってしまって購入した。(それにしても河出文庫のラインナップはどうしてこうも鋭いところを刺してくるのだろうか。商売がうますぎはしないだろうか・・・)本書は4篇の短編が収録されている。ぶっちゃけて言えばバブル期の未成年の薄っぺらな青春モノである。おそらく「純文学」の過剰な思わせぶりに親しんでいる読者諸氏は、1作目の表題作をお読みになったところで、拍子抜けするような薄っぺらさと、許容しがたいアンモラルに絶句なさることだろう。Amazonのレビューが毀誉褒貶で乱高下しているのも首肯できる。いわば青春無罪のノリで押し切るには令和はあまりにもポリコレだからだ。ただし、残りの3篇を読み進めると話は変わる。急落相場が反発して全モしてやがてプラ転で本日の取引を終えてしまう。どうしてなかなか読ませる小説ではないかと思えてくる。そう思わせるのは、きちんと何者かを「物語っている」ことに成功しているからであろう。
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陽子の持つ感覚が、自分自身が高校生の頃感じていた感覚とひどく似ていて、こんなに嫌で複雑で鬱な感覚を文章として全部理解させようというわけでもなく、感覚的に共感させられたのははじめての体験だった。この作品がこの世に生まれて、残っていてくれることが、眩しくて嬉しい。
綺麗じゃないのに、きらきらしていて、青くて、脆くて、難しい。それなのに、文章としては読みやすい。不思議。
大学4年の2月に、この作品と出会えてよかった。
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これ32年前に書かれたものなのか、、
80年代に生まれてみたかった
10代の青春って本当にに宝ものだと思う
何歳になっても思い出す
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なんか大学ん時に知り合ったそれこそ"W"の一個上の男の子たちを思い出した…
あいつらもなんかフラフラ遊んでたりしてたのにちゃんと帳尻は合わせる…みたいなそういう姿にすっごい憧れてたな
世田谷出身のシティーボーイはやっぱり独特な雰囲気を纏ってるよね。心のよゆーがある。
それが田舎もんからしたらカッコよく見えちゃうんだよなぁ。
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80年代?の10代の話だからなんだかタイムスリップ感。それでもいつの時代の10代もモラトリアムを迎える。自分の存在の不確かさに怯えながら生きる。
わたしも18歳になることをめちゃくちゃ拒んでいたことを思い出した。
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まさか新刊コーナーにメメちゃんの本が並ぶとは思いもしなかった。厳密には新刊じゃないし何回も読んでいて、ストーリーも覚えているし、好きな一冊の一つだし。目新しいものではないのに。それでも、泣きそうなぐらい嬉しかった。今読んでもやっぱ好きだ。すごく面白いストーリーじゃないけど、10代後半の、苛立ちとか焦りとか抱え込みながら、背伸びして遊んだあの瞬間は思い出される。今がずっと続かないことわかっていて、わからないふりしたり、バカやるのがカッコいいと思ってたり、恥ずかしい気持ちもあるけど。この瞬間が終わらないで欲しいと願った気持ちは覚えている。
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鷺沢萌、学生のころにたくさん読んで好きで、この作品未読だったので久しぶりに読んだけどあまり乗り切れなかったな。「川べりの道」とか良かったんだけど。年をとって合わなくなったんだろうか。
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復刊だったため、この作品が今この時に読めることに感謝しております。
80年代末とは書いてあるが、高校生~20歳前のこの感じは結構みんな経験しているのではないかと思う。
わたしは中でも、誰かアイダを探してが好きでした。