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中国、一帯一路の情報通信分野における構想、デジタルシルクろーどは、中国による技術の社会実装に関する価値を世界に拡大する戦略であり、経済発展、安全保障、国内治安の安定を優先課題とする権威主義的体制の国々を中心に支持を受けてきている。
本書では、デジタルシルクロードの形成過程をたどりつつ、主としてスーザン・ストレンジの「構造的権力」(枠組みを形作る力)の概念を活用して、その全体像を明らかにするとともに、日本の取るべき方策を考える。
中国の国家戦略、研究開発の推進、プラットフォーム企業の海外展開、技術標準の獲得、投資の回収といった事例が豊富に紹介されていて、大変参考になる。
日本の提唱する"自由で開かれたインド太平洋戦略"は、多くの国々の支持を得ることができるのだろうか?
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中国のデジタル権威主義
情報通信技術の社会実装による社会管理の価値促進
周辺権威主義国のインフラのロックイン ⇒人権侵害
中国デジタルシルクロード
一路一帯の情報通信分野の国際化 陸によるボトルネック解消
マラッカ海峡で欧州、インド・パキスタンでアラビア海へのアクセス制限
→海底ケーブルではなく道路鉄道インフラ沿いに光ファイバー網を整備へ
インフラ、次世代技術、電子商取引、金融、外交、インターネットガバナンス
過剰生産応力を活用した海外進出
不透明な補助金、高い参入規制 受益国の中国依存度強化
(安全保障・生産・金融)*知識
関係パワー
中老鉄路
昆明~ラオス~シンガポール 線路上の通信インフラ ファーウェイカバー70%
中国パキスタン経済回廊
両国が敵対するインドを回避
海外データセンター
分散配置と通信インフラ 欧米インフラからの脱却
WeChat 他国と国境をまたぐ場合も中国国内法で検閲
PEACE
パキスタン陸上のケーブルで中国からアフリカへ従来の半分の長さ 軍民共同
海底ケーブルの信号揺らぎで海底の状況をセンシングする技術で船舶も看視?
構造的パワー
スマートシティ:監視カメラ、顔認証
アリババ、平安保険、テンセント、ファーウェイ 参加
軍民共同:人工知能による戦争の智能化 民間インフラの軍事利用
生産依存:制裁=中国の価値観にそぐわない行動への行為 法を利用した支配
人民元フィンテック CIPS拡大 ←脱SWIFT
中国提案のNew IP 通信監査機能の提案 →IETFが却下
大学やシンクタンクの政策を国際機関や他国へ提案
→権威主義+市場影響力、技術・産業力 がないと成立せず、支持を得ない
FOIP 自由で開かれたインド太平洋
一路一帯に代わる選択肢 2016年
①基本的価値の促進と確立(法の支配、航行の自由)
②経済繁栄の追求(接続性向上)
③平和と安定(能力開発)
日本の役割
多国間の意見のとりまとめ 価値観共有✖各国独自のアプローチ
中国と強硬に対立せず多国間連携で中国の行動変更を迫る
〇中国、インド、ASEANとの地理的な近さ
✖技術能力と社会実装力
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国際政治学の典型理論の視点から中国の国家戦略を整理している点が特徴。また最終章で自由で開かれたインド太平洋 (FOIP) の外交路線を踏まえて日本のとるべき立場について考察している点が面白かった。