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> みんな政治が悪いとか社会が悪いって言うけど、そういう政治や社会をつくっているのは、みんなの心に巣食う偏見や偏狭なんじゃないか。
「そういうものだから」をひとつずつ変えていく、ということ。
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政策起業家
駒崎さんの本は読むたびに勇気を与えられる。駒崎さんについては『「社会を変える」と仕事にする』を読んで以来、FBやTwitterでフォローし、応援させて頂いているが、本書は、病児保育のフローレンスの事業を起点に、小規模保育園、医療ケアが必要な子供用の保育園、男性育休の義務化など、社会課題への政策面での支援を求めるムーブメントを起こしていく過程について、駒崎さん自らが記した奮闘記である。駒崎さんはFBなどでも拝見するが、口調は非常に優しいのだが、不条理に対しては断固として戦い続け、物怖じしないブルドーザーのような熱い闘志をうちに秘めており、毎度魅力的だなと思う。本書はその魅力が詰まっているし、本書のお話の良いところは、駒崎さんが毎度、身近な「n=1」の課題から出発しているところである。身近に困っている人がいて、困っている原因には古い法規制や慣習などがあり、実はその古い法規制によって困っている人がもっと多くいることがわかる。その声を集約して、区議会議員や国会議員などに話を持ち掛け、政策に反映していく。もし、政策に反映することがすぐには難しいようであれば、自らその事業を始め、成功事例を作り上げたうえで、官僚を通じて政策立案に反映する。身近に困っている人がいるとき、駒崎さんはどんなことがあっても折れないし、走り出したら止まらない。
さらに、駒崎さんが何か壁に直面した時に、自ら対話の場を作ったり、第三者に話をしていく過程は非常に企業勤めの私にとっても参考になる。法案成立のための与野党の国会審議がスタックしてしまったときには、自らネット番組で対話の場を作り、その場を通じて両党の落としどころを探っていく。さらに、小規模保育園の場所の問題が浮上したときにURに話を持っていくところも絶妙な巻き込み方で、物事を進めるうえでの要所をつかんでいく感覚は本当に素晴らしいと思う。
また、本書の最後にある選挙以外での政治参加の呼びかけは私自身の問題意識に非常に近いところがある。昨今のポピュリスト的政治家により、「嫌だったら選挙に出て戦ってこい」という物言いが世の中の感覚として広まっていることを私自身憂慮しているのだが、まずは声を上げ、ムーブメントを作り、最初は小さい波でも大きな波に変えて世の中を変えていく選挙以外の社会変革を自ら体現している駒崎さんは成熟した民主主義社会における希望の星とさえ思う。
また、ここからは個人的な考えもあるのだが、駒崎さんが対象としている社会課題の領域が非常に日本の社会保障の課題に直結していると感じた。香取照幸氏の『民主主義のための社会保障』では、今後日本が少子化を迎えていく中で、二つの戦略が必要であると論じている。一つは少子化克服戦略で、積極的な子育て支援を通じた出生率の向上を目指す戦略。もう一つは少子化対応戦略で、少子化による社会保障の担い手不足を解消するために、積極的な女性や高齢者の社会進出を後押しするものである。女性活躍推進法や高齢者雇用安定法、厚生年金の適用拡大はその文脈にある。日本が少子化に立ち向かっていく上では、上記二つの戦略を同時に行っていく必要があるが、明らかに女性の負担が大きすぎる。日本が今後、少子化に対処するためには、女性は子供を産み、同時に社会進出が求められるという大きな重責を担っていることになる。そうした中で、現行制度のひずみとして保育園不足や医療的ケアが必要な児童への支援不足、さらには病児ケアの問題が顕在化してくる。こうした諸問題への対応策として、駒崎さんはフローレンスやヘレンで果敢に挑み続けている。同時に、私見ではあるが、こうした社会課題に対しての企業の社会的責任も非常に大きなものであると感じている。昨今では雇用も流動化して行く中で、企業としても従業員が直面する子育てや親介護の問題に真摯に取り組んでいく必要があると思うし、そうした問題に取り組まない企業は労働市場で良い人材を獲得できない時代になってきているとも感じる。健康経営の概念にも通ずるものがあるが、企業がこの部分の支援を適切に施すことで、業務外の心配事が少しでも解消され、生産性の向上がもたらされるのであれば、それは企業価値の向上にもつながる。企業価値が向上すれば、こうした企業の子育て支援等は株主からの投資を呼び込む動きにもつながる。男性育休の義務化などで、国策として企業の少子化対策のメッセージが出されている。次は、健康経営銘柄のように経産省も巻き込んで、「子育て支援」企業銘柄のような株式市場において社会的企業が評価されるような仕組みを構築していく動きも必要ではないかと考える次第である。フローレンスを福利厚生制度として導入している企業も既に存在するが、株式市場での評価体系構築といった流れも、中間的なセイフティネット形成、さらには日本の成長戦略としても動かすべき次の山なのではないかと感じた。いずれにせよ、冒頭にも書いたが、駒崎さんの本を読むと、その熱い思いや課題意識が読者にも伝播してきて、自分も熱い思いで漲ってくる。社会課題に立ち向かう人のみならず、熱い気持ちを忘れてしまった人等、まさに多くの人に読んでもらいたい一冊だ。
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政策を官僚や政治家でなくてもつくれる人が政策起業家であるという考えを初めてこの本を読んで知った。ニュースでなんとなく見ていた待機児童問題に駒崎さんが関わっていたり、他にもたくさんの福祉関連の政策をNPOの活動の現場の経験を活かして変えていくアグレッシブさと実現する能力がすごいと思った。官僚の役割についてもNPOや政治家との関わりの中で学ぶことができてよかった。政策起業家に誰もがなれると書いてあったが、自分にも何かできないか考えて、できれば何かやってみたい。
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第1章 小麦粉ヒーローと官僚が教えてくれた、政策は変えられる、ということ
アン◎◎マンショーに800万。審議会という闘技場
霞が関のゲームのルールを知る
政策を売りこむメカニズム
第2章 「おうち」を保育園にできないか?小規模認可保育所を巡る闘い
襲いかかる待機児童問題
定員20人の壁
「昔からそうだったんで」
偉くなってた知り合いのおじさん
物件探しに暗雲
動かない自治体
区議会まわり
集まる保育士さん
近隣住民という名の隙壁
張り込みの日々
締めたらそこで
おうち保育園誕生
国にパクられるという栄誉?
わざと国にパクらせる
国会で法案が通らないかも
キーマン政治家を集めて討論
制度の中身を詰める
第3章 「存在しない」ことになっている医療的ケア児たちを、社会で抱きしめよ
誰も医療的ケアを預かつてくれない
テクノジーが生んだ新しい障害児
使える制度がない中に、ひた走るグレーゾーン
塩対応の行政たち 情熱ぁる担当者
障害児保育園「へレン」に
物件が決まらない
立ちはだかる東京都
それぞれの持ち場での闘い
開園の日
優しいおじいちゃんとの出会
超党派の会議が始まる
書き換ゎる法
オランダから総理へ
報酬改定を巡る戦い
ヘレンの子どもたちが認可園に転園
国がダメなら都
報酬改定をめくる闘い、再び
医療的ケア児支援法のために立ち上がる当事者
医療的ケア児支援法成立
第4章 如何に「提言」を変革へと繋げるか
ひとり親の手当が低すぎる問題
炎上騒動
署名を官房長官に届ける
保育士不足なのに保育士試験は1年に1回
特区出したら、潰すから
官僚vs官僚
第5章 社会の「意識」を変えろ イクメンプロジェクトと男性育休義務化
イクメンプロジェクトの発足
イクメンプロジェクトの成功
伸びない男性育休取得率
もうイクメンとかって寒い
前向きな政治家たちとの出会い
男性育休義務化議連の発足
バス停で倒れる
巨象が進む道を掃除する
小泉進次郎電撃さずかり婚発表
小泉進次郎、文春砲に被弾
コロナ禍が席巻
「男性産休」案が労政審に提出される
第6章 「保育園落ちた 日本死ね!!!」SNSから国会へ声を届かせる方法
起点となった匿名ブログ
安倍総理、下手をこく
小さな国会デモが大きな波紋を
我々は十分やっていたと思っていた
「もしもし、安倍です」
そして保育士の処遇改善へ
第7章 政策ができて終わりじゃない?「こども宅食」の挑戦
こども食堂で見えなかったもの
ごみ屋敷にいた子どもの耳に
文京区長に持ちかける
Lineによる申し込み
こども宅食で出会う家族
ひとりでに広がるこども宅食
新型コロナ禍、そして政策化へ
動けない自治体
自治体向けオンライン説明会
うべおたすけまんぷく便
第8章 1人の母が社会を変��た 多胎児家庭を救え
始まりは1通のLineのメッセージから
保育園での衝撃
外からは気づけなかった、多胎児家庭の孤独
勇気をだして地元の政治家に連絡してみる
ネットアンケ^ ―トでニーズを可視化
記者会見で話題沸騰
怒溽の営業とたらい回し
ついに小池都知事と会う
国土交通省のお墨付き
都バス5路線で双子べビーカー解禁
PR動画作成、そして全線で解禁へ
ルールなんて、変えられる
エピローグ
選挙だけでは「足りない」
力を貸してほしい
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いくつもの奇跡とそれを実現してきた著者の泥臭い活動。ルールを変える方法はこの1冊につまっている。胸が熱くなる。心に火をつけられる。とんでもなくおすすめです。
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フローレンス駒崎さんの新著。駒崎さんは著書多数ですが本作は、処女作にして社会起業家本殿堂入りの『「社会を変える」を仕事にする』の続編ともいえる作品。
課題を発見しなんとか対応する方策を作りそれを仕組み化(政策化)するためのフローレンスやその周辺の泥臭い道のりの記録。
言葉が強くしばしば炎上もする駒崎さんですがこれだけ実際に現場をつくりルールを変えてきた人はNPO業界にもなかなかいないし、炎上も決して見て見ぬふりしてるわけじゃなく良くも悪くも向き合っていることが本書にも触れられててそこはさすがだなと感じた。そして何より圧倒的に文章が面白く痛快。
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普通の自分が社会のルールを変える方法を知りたくて、
この書籍を手に取った。
著名人や能力や人脈を持つ人だけが、
政治に影響力を持つ、政策を変えられると思っていた。
でも、そうではなかった。
何も特別なものがなくても、
その胸に少しでも社会を変えたいという熱があるだけで、
何かが変わる、変えられる、そんな気持ちになった。
実際には、政治の仕組みやどのような立ち回りをすべきか、学ぶ必要はあるけれども、誰だって、社会を変えられる力があるのだと強く思った一冊。
中でも、このままでは、日本は緩慢に死んでいく、という文章が、著者のブログから引用されていたのですが、この表現に対して、本当にそう思う。
これから、どう動くかは、自分次第。
モヤモヤしてものを抱える人へ贈りたい、一冊でした。
溺れる赤ん坊のメタファーという内容は初めて知った。
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2022.10
・日本で唯一の政策起業家に関する経験的実践者
・最低でも3年以上の継続した取り組み、粘り強さ
・困っている人への切実な愛情を感じた
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本書を読むと本当により良い社会に変えられるのではないかという勇気と希望がわいてくる。駒崎さんありがとう。
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社会の問題点には目がいくけれど、それを解決するには自分の立場からでは難しいと思っていた。
しかし、誰でも社会は変えられる可能性を秘めていると教えてくれた。社会を変えるプロセスが述べられているのも学びとなった。
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pivot見て、ちょっと胡散くらいな、と思いつつ、偏見はよくないと思いこちらの本を読んでみました。結論としては、日本の未来のために誠心誠意動かれている方だなと素直に思いました。前例がない、やり方が分からない、見通せない事でも恐れず一歩踏み出してみる事で小さな、そして大きな一歩になるという事を学びました。
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この方がされてることは素晴らしいし、参考になる考え方も沢山あった
でも若干の胡散臭さは感じた。何故だろう、、、
アダムグラントのGIVE&TAKEを読んで以来、顔写真をデカデカ載っけてる人はtakerなのかなと思ってしまう
とはいえ、こういう草の根から日本は変わっていかないといけないんだろうと思う。
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カバーに掲載されている著者の写真を見て、「何だかいけ好かない感じ」と思っていたのですが(笑)、中身を読み始めると、政策起業家としての著者の想いとエネルギーと行動に、ただただ圧倒され、また、その文体の面白さもあって、一気に読んでしまいました。
政策起業家とは、社会の困りごとに気づき、その解決方法のパッケージを生み出し、それを、政府や自治体と協力しながら、政策に落とし込んでいく活動家、と考えてよいと思います。
しかしながら、政策起業家側は、現場の困りごとの本質を理解した上で解決方法を編み出しているのに対し、机上の空論が大好きな官僚や役所は、解決方法の上っ面だけ見て政策に落とし込みがちなので、不思議な政策や、使い勝手の悪い政策が生まれがち。
それゆえ、実情にあった政策や使い勝手のよい政策を生み出すためには、官僚や役所との密なコミュニケーションが必須であり、そこが、政策起業家の腕の見せ所、といえるかと思います。
自分自身、官僚の机上の空論に振り回され、苦労した経験があるので、読み進めながら、著者に共感できる部分が多々ありました。
ただ、全体的に気になったのは、この本の中で、著者が政策に結び付けた解決策はどれも、政府が補助金(もとをたどれば、みんなが納めた税金)を出すものばかり。
実際にはビジネス(仕事)としては成り立たない解決策を、表面上はビジネスとして成り立っているように見える形に整えているだけなので、いつまで経っても補助金におんぶにだっこになるのではないか、と心配になりました。
穿った見方をすれば、癒着の温床を次々と生み出している、ともいえますし。
自分に解があるわけではないですが、もっと本質的な問題解決のためには、もっと解決方法の段階を上げていく必要があるように思います。
とはいえ、まずは著書のような政策起業家が日本には必要だと思いますし、この本は、そういう人を増やすきっかけになり得るポテンシャルを十分に持っていると思います。
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差がつく読書術から。たとえ立場が弱くても、上げる声は小さくても、それを上に届かせる手段はあるんだよ、と。具体的な実績が列挙されていて参考になる。