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(群像2021.12号にて読了)
4人の若者が、横浜から鳥取砂丘まで、ショートムービーを撮るため、車で旅をする。その途中途中で交わされる会話が、奥深く「あ、私だったらどうだろう?どう考えるだろう?」と立ち止まり思いを馳せながら読みました。
記憶すること、思い出すこと、忘れること、生きること、死ぬこと・・・。そのような生きていく過程で何度となく出会う感情が繊細な言葉で語られています。ただ、著者の独特な言い回しに最初は戸惑いました。美しい世界観です。
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なんか、わかんないけど最後泣いてた。
曖昧で、複雑でよくわかんなかったけどなぜかとても羨ましかった。
学生のときにそんな話ができる友人がいて、聞いてくれる友達がいてとても羨ましいし、なんなら読んでる途中から私もひとりの登場人物として車に乗ってた気分。
なにが言いたいかまとまらないし、何を読んでたんだろうという気持ちが残るけど、ひとつ、確実に言えることは
この本に出会えてよかった気がしてる。
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哲学的な要素が多く含まれていて難解でした。一行が長く、何の話をしているのか捉えきれない部分もあって情報量が多く、処理しきれないところがありました。
けど、難しく話しているのであって共感できる部分も確かにありました。
後半は展開が早く進んで比較的読みやすかったです。まだ若い作家さんなのにこれほどの文章力があるのかと感嘆しました。
次回作にも期待したいと思います。
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大学生の等身大の哲学談義。の、ようなもの。
身につけた知識を自分の中に落とし込んで内省して、自分なりの「哲学」を作り上げる。
私にも身に覚えがある。世界を定義したり、心のありかを考えたり、人生を物に見立てたり。
私も彼らだったんだなと懐かしく振り返った。
確かに経験しているはずなのに明確には残っていない記憶があるというのは確かに不思議だ。
幼少期の神隠し、父親の自殺、死んだ後に美化される曽祖父の思い出、弟の失踪。
結局人間は、記憶は、自分にとって都合のいいようにできていて、身の回りのものに身勝手に意味を持たせようとする。
そして過去でも未来でも今この現在でさえも、「事実」を私たちが正確に掴むことはできなくて、どうしても意識のフィルターを通して、やはり都合のいいように理解されていく。
私たちは身の回りの情報や経験を無意識に取捨選択している割に、ふと思い出す記憶は取捨選択することはできない。
マーヤの言葉を借りれば、美術館に行く行為だけでなく人との記憶も、そして今こうして本を読むという行為も、しばらく経てば内容を忘れてしまうもので、だけど「ふとしたときに、ふわーって浮かんでくる」ものだ。それでいい、充分だなと思った。
全部正確に理解して、全てを正確に記憶していたら、それはそれで頭がおかしくなりそうだ。
人類最後の会話って、何が最適なんだろうな。
デビュー作「鳥がぼくらは祈り、」に続いて、こちらも感情がそのまま流れていくような文体だった。
だけど前作より文体に違和感なく読めた。
そしてやっぱり、青い。
あの頃の青さを思い出す。
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難しい…会話部分の深い深いやりとりは一語一句拾ってしまうと読むのが大変かも。
雰囲気を楽しむ作品なのかなーと思った。
あと、後半になると一気に話が進みます。
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大学生の日常を切り取ったような描写のため、まとまりのない会話はまさに現実だったと感じた。哲学的な発言は理解に苦しむことが多々あったが、これもこの本の特徴であり面白さのひとつなのだろう。hspである私の頭の中もこのようにまとまりのない事を常に考えている。故になぜか親近感がわいた。
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芥川賞候補作ということで読んでみた。記憶や現実と虚構など概念的な話が多く難しかった。学生たちがそれぞれの考えを述べて、互いに影響しあいながら話が発展していく様子と、観客が映画を観て、または読者が小説を読んで何を感じて何を考えるか、通じるところがあり面白いと思った。同じものを見てもそれぞれの過去によって連想するものは違い、考えることも変わっていく。そんなことを私はこの作品から考えた。
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取り留めない会話、くどくど、なっがっ!
って程、語られる友人とのやりとり。
でも、そんな会話が自分には合いました。
日常でこんな会話をやり取りすることもまずないし。ともすれば、くどいよって言われちゃうような会話を交わす4人のロードムービー。面白い言葉だけしか使えない
しりとりもやってみたいなぁと。
物悲しくも、なんかオシャレな感じで
映画ナイトオンザプラネットも観たいと思います。
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この世界じゃないどこかに、弟がいる!と思っているトリキ。
若者が話す、今時の言葉や、言い方などがずっと続くが、
リズム感がいいので読みやすい。
ゴミなのか?海に落ちている物を集める女子について、あるいは犬の散歩について話すマーヤ。
浜松のトリキの実家に泊まり、鳥取へ。
「世界って何?」
話が尽きない。
青春だなぁと思う。
表紙も印象的。
芥川賞ってこうだよ、結局、何だろう?わからん!って感じ。
登場人物の島口って作者?
1羽持ち帰った鳥の話は、ホラーのようで怖すぎる。終わり方の印象が強い。
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小説というか、ロードムービー。
東京の若者が、鳥取を目指すロードムービー。
淡々と映画を撮っているような、その文章の進み方に、なんとなく読み続けて鳥取へ。
ロードムービーに、作者の意図とかはあるのか?
ロードムービーは、ロードムービーであることがその存在の理由に思える。
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旅をしているにもかかわらず、ずっと密室で対話しているような錯覚に陥る。情景が排除され、それぞれの不安定で内省的な言葉が行き交うからだろう。「なんとなくわかるよ。なんとなくわかるんだけどさ、よくわかんない。」不安定さを端的に表している。
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第166回芥川賞候補作、島口大樹さんの作品は初読み。今時の若者といった感じの男子3名女子1名の4人が、映画を撮るために車で鳥取砂丘を目指すロードノベル。テーマは「記憶」で、横浜~鳥取までに交わされるすべての会話に意味が詰まっており、主人公の心理描写が詳細に描かれる。内容はメタフィクション的なかんじで、哲学的で難解と思う人も多いと思う。ラスト20ページはかなりいい感じで、読後感はよかった。
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過去と未来、記憶についての話。今見るためだけじゃなくて、思い出すためになにかを見ているという話が好きだった。そのことを意識してこの小説も書かれているように感じた。
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一本の映画を撮るため旅に出る若者たち。道中の話題は哲学、概念的な思想が伴うものばかり。難解な部分はあれど興味深い内容でした。「今見るためだけでなく、思い出すために見る」。映画の世界観が小説となったような。
若者のエピソードに沿って、概念を語り合う様子は、とりとめのないようで、読み手を深くふしぎな感覚に陥れていく気がした。
小説なのかフィクションなのか、その境目もまた曖昧で、読後、何故か不安で心が騒いだ。
登場人物が連発する「でもさ」に不快感。
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経験したことと記憶の差異、思い出せることと人に伝えられること。これらは少しづつ違う。
人は記憶によって規定されるけど、それは事実とは違っていたりする。
筋立てはロードムービーだけど中身はかなり尖ってる。好みの作品だ。