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リアル感無し
2022/04/16 21:13
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
女中のあやの、が大活躍して、解決するけど……。時代は明治。文壇や若き芸術家の集まりの西洋料理店で、帝都で発生した事件を解決していくお話なのですが……。こんなところで、こんな話に夢中になるのかな?登場人物の区別もつきにくいし。
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一話目は物語の世界に入るのに苦労したが、段々とハマってきた。
特に第三回「さる華族の屋敷にて」が好き。単純に好きというか、頭に残る。現代でも「お子さんはまだ?」などという発言があるのだから、この時代の女性はどれだけ子どもを産めないことで追い詰められていたのだろうか。だからと言ってどんな事情であれ、自分が産んだ子どもは可愛かっただろうに。だがそれだけに、この謎は女性である綾乃だから、スルリと解き得たのかも。
そして作中の洋食をみんな美味しそうに食べるのが、なんだか微笑ましく、そしてうらやましい。
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明治時代後半、木下杢太郎、北原白秋など錚々たるメンバーで集まる会「牧神(パン)の会」。ベルリンで起きた芸術運動の会名にちなみ、命名された会。いつも料理店「第一やまと」に集まり、一人が奇妙な事件に出くわしたことを会で発表し、みんなで推理を披露しながら、繰り広げていく。
そこへ、料理店の女中が加わり、会のメンバーたちに驚きの推理を披露する。
北原白秋や石川啄木など教科書で聞いたことのある人物が登場するだけでなく、実際の場所も登場します。事件自体や人物が実際に料理店で推理合戦をしていたというのはフィクションなのですが、当時の資料を元に構成されています。
なので、もしかしたら実際に起きていたのでは?そこにいたのでは?と錯覚してしまうほどリアリティがありました。
まさか森鴎外が探偵とは⁉︎それだけでも面白かったです。
全6回の連作短編集で、回が変わるごとに事件も異なりますし、毎回料理店に訪ねてくるゲストも変わったりします。
ただ、木下杢太郎と女中のあやのは毎回登場します。
この女中の推理力といったら、脱帽でした。
安楽椅子探偵?と思えるほどの「聞く」だけで推理は、面白かったです。女中のお陰で、カチッと事件解決に導くだけでなく、納得いく推理なので、スッキリ感はありました。
各回の最後には、当時の事件や出来事、実際の人物がどんな行動していたのかなど、裏付けとなる点も紹介しているので、説得力は抜群です。
そもそも、この作品の舞台は明治時代なので、ちょっと気難しい空気感や文章体なのかなと思いましたが、明治の雰囲気を活かしつつ、現代に合わせた文章だったので読みやすかったです。
毎回事件を聞き、女中が推理を発表するというスタイルの繰り返しなので、中盤あたりからはマンネリ感は否めないかなとも思いました。
ただ最終回では、今までの話を統括して展開していくので、必須です。
女中の正体や「会」の意義といった内容になっていて、ちょっと目が覚めたような感覚がありました。
リアルとフィクションの入り混じった作品で、詩人や小説家、洋画家など実際の人物の新たな一面?を垣間見たような感覚で楽しめました。
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「あとは野となれ大和撫子」以来の宮内悠介。前著でも感じたのですが、作者はリアルを材料にファンタジーの世界を構築するのが非常に巧みだと思います。今回は明治の芸術青年たちのサロンがその舞台です。実在する木下杢太郎、吉井勇、北原白秋などの文学者、石井拍亭、山本鼎などの画家がゲストを交えつつ「美のための美」という芸術についての形而上学的な議論をする場に、現実世界の事件が持ち込まれ、あーだ、こーだと意見白熱…このフォーマット、アシモフの「黒後家蜘蛛の会」をそのまま踏襲しています。この本が紹介された時点で、その構造が明らかにされていての副題「明治耽美派推理帖」なので、大昔「黒後家」にハマったものとしてこの本をいそいそと手にした次第です。メンバーの意見が出終わった後の「黒後家」におけるヘンリー役の推理とか一本一本の短編のあとの後書きなどすっかりアシモフのそれを上書きしているのですが、単純な日本への移し替えではありませんでした。実在した芸術青年たちのサロン「牧神の会」を舞台に「黒後家蜘蛛の会」のミステリー仕立てをフォーマットとし、芸術という新しい生き方に出会った青年たちの揺れる心が、犯罪という現実生活を推理することで、さらに増幅するという結構凝った構築なのです。なのでアシモフで感じた論理的ゲームではない芸術論をエンターティメントにした作品…と感じました。そしてそれは資本主義のカタチを整え始め大正デモクラシーを前にした日本そのものの青春期であるこの時代を舞台にして、で、なくては描けないファンタジーなのだと思います。その考えるとちょっと違和感のある最終章のアシモフシステムからの逸脱は必然であるし、そこにこの作品の成立意図が込められているのでしょう。なんだか、急に「黒後家蜘蛛の会」再読したくなりました。
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連作短編集。
明治時代の芸術家たちが次々と登場して、ワクワクした。
あやのが、給仕しながら聞いた話でサクッとした謎解きに、皆が納得するのはちょっと無理があるのでは、、、。
ラストであやのの正体が明らかになると、なるほど感は増す。
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明治に実在した芸術家たちがミステリーに挑み、謎の女中によって解かれる。錚々たる顔ぶれで北原白秋、石川啄木ら若き芸術家。そのメンバーに身近な山本鼎が出てわくわくしながら読んだ。ロマンを感じながら読んだ。
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面白かったけど、期待が大きすぎたかなぁ。
毎回、女中のあやのが解決してまうし。
あの時代の登場人物に知識がないと楽しさ半減してしまうのかもしれない。
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明治末に存在した若き芸術家たちの集い「パンの会」。 木下杢太郎、北原白秋、吉井勇、石井柏亭らのメンバーが料理店に集まって語り合ううち、奇妙な事件の話題から推理合戦が始まる。毎回謎を解いてしまう聡明な女中・あやのの正体とは?
理想と現実の間で揺れる青年たち。まだ何者でもなかった彼らの高揚と不安は、そのまま近代日本の青春ともいえる明治時代を映しているよう。石川啄木、森鴎外、与謝野晶子などの有名人も登場する。個人的には画家の石井柏亭さんが好き。
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木下杢太郎を主人公に、芸術家たちがサロンとして開催していた「パンの会」を、アシモフ「黒後家蜘蛛の会」の形式にあてはめたミステリ。
黒後家形式と「牧神の会」の相性がとても良く、料理と謎と実在の登場人物と歴史上の出来事を上手くからめてあり、毎回お約束の「名給仕」登場と盛り沢山、さらに全編通して主人公である杢太郎の青春譚にもなっていて面白い一冊でした。
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「ひょん」が気に入らなかったせいか、その後は買っても読まずに積んでいた宮内悠介、今回は早々に読んだのではあるけど…
やっぱ、ナンダソリャ、な顛末になるのね…
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宮内悠介は中央アジアとかsfとかそういう題材の方がしっくりくる。今回は実験してみた感が強いように感じる。
けど、各話の間の覚え書きが面白くて(100年越しの嘔吐とか)、割とポンポン読めた。
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白秋や鴎外或いは啄木、漱石、与謝野晶子、金田一等々よく知られた方々が登場する謎解きミステリー小説だ。本書を著す為に参考にした文献の多さに驚愕する。やはり一冊の本を仕上げる迄には多くの参考文献を読んだなと感心し、感激めちゃ!あった著書でもあった。
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設定はとてもユニークで興味深いけれど、ミステリーとしては浅め&弱め。斬新な設定が印象的で、実験的要素が強めです。華族、の話は面白かった。後半に行くほどエンジンかかった感じ。明治の日本が思い起こされるノスタルジーに浸れたのも良かったです。
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ここしばらく明治時代とその文学を追い続け、「五足の靴」を読了し、木下杢太郎に興味を持った自分にはまたとない題材の小説が出た!と興味津々だった。設定も目次も楽しみ過ぎる、と思っていた。なのに。
面白くない。登場人物が描けてなくて、個性が薄い。ミステリは嫌いじゃないつもりだったけれど、あやのも謎解きも自分には全くの蛇足に感じられてしまった。
耽美派の宴会なのに、毎回グロテスクな殺人の話しながら食事してるって、…。
こんなはずでは、と思いながら何とか読み進めていくと、啄木の登場で一気に物語が動き出した感じがしたけれど、これはやはり人物が描けているか否かに関係していると思う。そして最後の章。何故こんな話を読まされたのか、という答が書いてあるとも言える。うーん。その指摘は興味深い、と思うけれどやっぱり前半が面白くないというのは致命的につらい…。個人的にはもっとパンの会の人々が生き生きと活躍する姿を見たかった。
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木下杢太郎を主人公に、明治40年代にひらかれていた<パンの会>に集う作家や画家の卵たちが、その時々に経験した謎を秘めた出来事を、ああでもないこうでもないと議論しあう推理小説。議論が出尽くし謎が宙に浮いてしまったところで、会場である牛鍋屋の女中があざやかに解決するという形式。北原白秋や石川啄木ら実在の登場人物、当時の時代背景などをどのように調べたのか、参考文献一覧が各章の最後に付けられているのが嬉しいです。当時は珍しかったであろう料理の数々と、それを食べたあとの登場人物たちの反応もなんとも楽しく、おなかがすいてきます。