投稿元:
レビューを見る
あの方がこのような苦労をされていたとは。
事実は小説より奇なり。色々と不満に思うこともあったかもしれないが顛末を明るく書かれている。ラグビー界というタテ社会っぷりは、日本の会社やコミュニティのそこかしこにある構造なのだろう。
暗くなりがちなテーマ最後に、彼女自身のラグビーへの愛や繋がりを示す素敵なエピソードが紹介されている。
投稿元:
レビューを見る
ステレオタイプで良くはないが、ラグビー経験者は、「俺たちは、あんたより辛い練習を耐えた」「俺たちのフィジカルは、あんたより強い」と言う優越感というか、古典的マッチョイズムというか、上から目線というか圧を出すイメージがある。もちろん肉体的に大きいだけで、そんなつもりがない場合も多々あるだろう。(そうじゃない方も多々知っているので、あくまでステレオタイプということでお許しを)
しかし、ビジネスや成長という文脈において、その優越感に浸って、同じ村の人々とのみずっと交際したりすると、危険である。最近のビジネス用語で言うと、アンラーンしないのでグロースマインドセットにならない、ダイバーシティーの欠如がイノベーションを阻む、心理的安全性がないと新たな意見や考えがでない、などなど。陳腐な優越感がもたらす代償は大きい危険性がある。
物事には両面があり、著書のいうことが全て真実ではないだろうが、残念ながら日本ラグビー協会に対する同様の声は、30年以上前から続いている。しかし、エディー・ジョーンズという黒船を受け入れたことで、パフォーマンス面での進化は急激に進んだ。しかし、経営面での進化はそのままだということを、この本が浮き彫りにしたのかもしれない。
でも考えてほしい、Jリーグも誕生から急激にパフォーマンスが伸び、ワールドカップ常連になったが、クラブ経営はそんなに順風満帆ではなかった。時間がかかった。途中何度も挫折やピンチがあって、コロナが来ても逞しく乗り越えようとする今がある。
ラグビーも長い目で見たら、そういうことなのではないだろうか?ビジネスや運営面での成長は時間がかかる。今はその過程だということだけかもしれない。これをきっかけに、グラウンド外の部分での成長を求められるだろうし、クラブを支えている日本の企業トップも求めるべきだろう。まともに、リーグ参戦表明資料を作る努力さえできないのでは、心元ないというか、選手も恥ずかしいだろう。章男さんあたりが一喝して、挽回することを期待しよう。他の企業も同様に。
最後に、星新一の言葉を紹介したい。
「男」
『わが国で「男がたたぬ」「男の花道」など「男のなんとか・・・」という場合、そこに表現されているものは、体裁であり、虚栄であり、非論理的であり、他人への強要であり、背のびであり、感情、ムード・・・つまり、みんな女性的なもの。ひょっとしたら、俺たちはみんな女じゃないのかしら。そんな気がするわ。男とは独特な自我を持ったクールなものであるべきでしょう。』
森会長も清宮さんも岩渕さんも各チームの部長さんも、実はラグビー経験者はみんな女性なのかしら!??? 経験者の皆さん、怒らないでくださいね。
ちなみにこの文章も、現代ではダイバーシティーの観点からアウトかもしれませんね。それだけ時代と世の中が変わっていっている証なのでしょう。これをきっかけにラグビー界がオープンな議論ができることを願います。
投稿元:
レビューを見る
ラグビーリーグワンの設立に尽力するも、チームのクラス分けをめぐり、ラグビー協会幹部と対立し、事実上更迭された女性の告発の書。ラグビー協会の不透明さ、ガバナンスの欠如などがよくわかる。
ただ、著者をラグビー協会に招いた清宮克幸氏の見解なども載せるべきと思うができていないし、協会のキーパーソンとも話し合うべきと思うが、できていないように感じる。一方的な主張ととられないためにも、すべきだっただろう。
投稿元:
レビューを見る
読みやすく、あっという間に一気に読んでしまいました。
こうした変化を嫌う「おっさん」にはならないよう、自分も日々気をつけなければ。
この本を通した上での協会側の言い分を聞かないもの何とも言えないところではありますが、信憑性のある内容です。
投稿元:
レビューを見る
p72 男の嫉妬というのは怖いもんやな。嫉妬という言葉はおんな編でなくおとこ編の方がええんちゃうか
p75 強いリーダーほど冷静な参謀が必要なのだた気づいたのです
p156 合理的思考よりも優先される年功序列主義、それに伴う上長への行き過ぎた配慮、曖昧な命令による組織の迷走 いづれもラグビー協会で目にした光景です
p164 私がこのとき定義したオッサンとに、年齢や見た目は関係ありません。「独善的で、上から目線。とにかく偉そうで、間違っても謝ることもせず、人の話を聞かない男性」を指します。いいえ変えれば、ありがとう、ごめんなさい、おめでとうを言えない人たちです。
投稿元:
レビューを見る
いやー面白かった!思い当たるところがありすぎて、うちの会社の上層部と男性陣全員に一冊ずつ熨斗つけてお贈りしたいくらい。
理事を依頼される冒頭部分の、本人の事情や意向まるで無視なおっさん達の態度からして、ニッポンの家父長制の悪いところを集めて煮詰めたよう。いまの強引な女性登用って、おっさんによって生み出された家父長制の膿なんじゃないの…とすら思ってしまう。
元ラガーマンがスクラム組んで女性一人囲んで役職を依頼するなんて圧迫面接そのものだし、彼女を登用しておきながらずけずけ意見をいわれると「意見を聞かなくなった」って他人に愚痴ってる清宮さんもたいがいマチズモ体現してるし、川渕さんもその世代の男性にしては広い心を持った革新的な人なのかもしれないけど、こういうオジサンに頼らないと女性一人では物事が進まないっていう事実がもう、ダメダメじゃんね。
こんな状況で2年も頑張ってこられた著者の谷口さんはすごいなしかないのだけど、本当に日本の状況はひどいなぁと再認識させられた。
投稿元:
レビューを見る
◉あらすじ
著者は、年々無神経な発言が目立つ関口宏氏の『サンデーモーニング』のレギュラーコメンテーターとして、関西弁で寸鉄釘刺す意見をビジバシ吐かれておられる法学者 谷口真由美氏。
幼少時から16歳まで育った家がラクビーのメッカ『花園ラクビー場』。父親は近鉄ラクビー部の選手から指導者に、母親は花園ラクビー場内にある独身寮の寮母を務めていたことから、むくつけき選手たちに囲まれ育つ。
そんなバックボーンを持つ谷口氏に、白羽の矢を立てたのが大体大ラクビー部監督であり、当時日本ラクビー協会副会長の坂田好弘氏。折りしも、スポーツ庁が女性理事40%というガバナンス設定もあり、坂田氏は理事に推薦。さらに後押ししたのが、以前より交流のあった清宮克幸氏。これが決定打となり、2019年6月日本ラクビー協会理事就任。
この清宮氏との関わり以降、著者の表現を借りるなら『ラクビー村』に蔓延る、昭和も昭和バリバリの時間も価値観も止まったままの『おっさん社会』に翻弄されていく。
さて清宮氏、現役時代の活躍のみならず指導者になっても、母校早大蹴球部を常勝チームに育て、サントリーの監督でも名将ぶりを発揮。清宮氏に目を付けたのが、他でもない早大の先輩であり当時日本ラクビー協会名誉会長 森喜朗。森氏の後ろ盾を得て、理事経験なしでいきなり副会長に大抜擢。早速、イノベーションプロジェクトチームを立ち上げ、その一員として谷口氏も参画。
知名度と実行力を兼ね備えた清宮氏だけに、否が応にも期待は高まる。森氏の隠然たる影響力を笠に着たのか、生来の性格か十分な根回しをせず改革を急ぐ。面白くないのは守旧派の面々。激しい抵抗を見せ、プロジェクトは頓挫。わずか4ヶ月で解散。
著者は清宮氏失脚の理由として、『ジェラシー』ではないかと推察。根拠として『あいつはジャパン(日本代表)になっていないくせに』という言葉を反清宮派から異口同音に聞かされたと綴る。
清宮氏は失脚し、理事に就任してわずか数ヶ月で、谷口氏はハシゴを外された最中、新リーグの法人準備室長の打診を受ける。もちろん固辞するも、『なんでもサポートするし、何があろうとあなたを必ず守るから』とまで言われ、就任を渋々受諾。しかしその約束は早々に反故にされ、理事就任から2年で明確な理由なく解任の憂き目に…。
◉私見
本書は2019年日本ラクビー協会理事就任から2年の間に起こった様々な出来事を谷口氏観で描いた、謂わば私家版『日本ラクビー協会 vs 谷口真由美』の暗闘史である。当事者意識に著しく欠け、シャンシャン総会レベルの理事会、プロジェクトチームを立ち上げても実務スタッフもろくにおらず、リーダーが掻き集める惨状。そんな体たらくぶりを伏字のない実名報道で容赦なく克明に綴り、まさしくそこまで言って委員会。そこに谷口氏の強い覚悟を感じられる。まぁ、そもそも出版自体が明らかに仁義なき戦いの表れである。
はたして、日本ラクビー協会は谷口氏の『たった一人の反乱』と見てるだろうが、言われ放しでいいのか。協会はここでも昭和のおっさ���論理を発動し、『女性だし、口達者の大阪のおばはんに反論しても分が悪いだけ』とダンマリを決め込むのか。
いやいやこれはノーサイドで済まないだろう。現に谷口氏に向けて協会は内容証明郵便で『協会内で知りえた情報を口外すれば法的措置を含む断固たる措置を採る』という、脅しとも取れる文書も通知。理事会の宣言通り機密漏洩を理由に法廷という場外乱闘に打って出るのか…。
いずれにせよ、遵法精神バリバリの法学者 谷口氏は手ぐすねを引き、『かかってこんかい!昭和のおっさんども』と咆哮し、ファイティングポーズをしているようにも見えるのは僕だけかな。
投稿元:
レビューを見る
奥深いことを考えさせられた。
組織の論理だけでは通用しなくなっていること、これまでどおり進めるのではなく常に新しいものを組織に取り入れること。
ラグビー協会はなぁと以前から思っていましたが・・・。
リーグワン、盛り上げていかないといけないですね。
ラグビーファンは一回読んでいただきたい本です。
投稿元:
レビューを見る
ラグビーをこよなく愛する者として、この現実には非常に失望してしまうが、反面、さもありなんと理解できるのも事実である。せめて、自分は『おっさん』『おばはん』にならないよう気をつけねば。
投稿元:
レビューを見る
ラジオノオトでずっとパートナーをお務めだった谷口さんの著書ということで購入。
ラジオでもあらすじをおっしゃっていたように、ラグビー協会が、世の中にはびこる「おっさん的」思想や行動の代表格みたいな集団でびっくりした。
協会側の意見はこの本に記載が無いということを織り込めば、谷口さんはいわゆる日本企業でお勤めをされた方ではない(はずだ)し、「組織の論理」で目上に迎合する慣習みたいなものとそもそも反りが合わなくて、巧く協会内の政治ができなかった部分はあるのかもしれない。
ただ、私が思ったのは、ラグビー協会を「その中で上手く立ち回って少しずつ変えていく」レベルではなくて、「革新的に変えていく」必要があると思ったからこそ、谷口さんの力が求められた部分は無かったのだろうか?ということ。
新しいリーグを作るほどの労力が必要ともなると、旧態依然の村社会のなあなあでは成功できないと思う。
我関せずではなく、どんなに小さなことでも、自分なら何ができるかを考える力を持つこと、そして目上であろうと関係なく、自分の考えはきちんと相手に伝えること(当然、相手の意見もきちんと聞くこと)が、組織をより良くしていく上で本当に大切なことだと気づかせてくれる一冊。
投稿元:
レビューを見る
とてもわかりやすく組織の硬直化の様子がわかった。やはり外部の人間が入った時にその組織の異常性が見えてくるとおもう。作中にもあったが歴史の長い組織ほど慣例化、硬直化が激しい。
男女間の差異ではなく、組織の運営が長くなればなるほど、一部の人間が権力を持ち、自分のやりやすい仕様に組織を変化させていくのではないだろうか。
このような例はおそらく世界に多く存在すると思う。そのような組織の硬直を打破できると現代で考えられているのが、論理性、数字なのだと思う。ただ、本文中にもあったがそれすらも組織が葬ってしまう場合も多々あるのだと思うけれども。
投稿元:
レビューを見る
「さもありなん」という感じだった。
あらゆる組織の、ある程度上位に女性を増やすことが、これからの日本に必要で、そこにこそ、そこにのみ希望が見出せると思っている。
一つ一つおっさん的なものを潰していくしかない。
投稿元:
レビューを見る
ラグビー協会内の暴露本かと思いきや日本のジェンダー問題までえぐったかなり攻めた内容だった。
著者がいくら大阪のおばちゃん気質だと言ってもこの本を書くにあたってはかなり勇気が要ったと思う。
それにしても日本のおっさん気質、このまま放置しておくと取り返しのつかない事態になるな。根が深いだけに改善は難しいと思うけど。
とりあえず自分は「おっさん」にならないように努力しよう。
投稿元:
レビューを見る
2022年2月発行ということは、かなり最近の本だ。
筆者は法学者で、かつ、テレビやラジオのコメンテーターをやられていた女性。2019年6月に、日本ラグビーフットボール協会の理事に就任。2020年1月にラグビー新リーグ法人準備室長に就任されている。
2019年のW杯で、日本チームは大活躍をし、日本中にラグビーブームを巻き起こした。一方で、競技人口の減少に危機感を持っていた協会は、ラグビーのプロ化に舵を切る。筆者の谷口さんが、法人準備室長に就任されたのは、そのようなラグビー界にとって非常に大事な時期であり、また、法人準備室長はプロ化にあたっての対外窓口を務めるキーポジションであった。
筆者はラグビー界のために、自らの収入を減らすなどを犠牲を払いながら奮闘する。しかしながら、(本書の中の情報で判断する限り)筋を通しすぎたために、孤立し、裏切られ、最後には解任されてしまう。
本書で紹介されている、ラグビー協会・ラグビー界の姿は、谷口さんの目を通してのものだけであり、実際にどうだったのかは、協会側の見解も知る必要があるが、谷口さんの書いていることは、信頼がおけるように思える。
谷口さんの目を通しての組織としての日本ラグビー協会は、
■内向きの論理で動いている
■よそ者に冷たい
■現状維持・波風を立てないことを優先する
■組織の意思決定や業務遂行に関するガバナンスの仕組みがほぼない
等の、例えば東芝といった失敗した日本の法人組織と似たような特徴を持っているように感じた。
それを谷口さんは「おっさんの掟」と呼んで本書の題名としているが、実は、もっと一般化できる腐った組織の特徴を書かれているように感じた。
投稿元:
レビューを見る
「私がこの本でもっとも伝えたいことは、審査の内幕暴露ではありません。」
※審査とは、新発足するリーグに登録されるチーム選抜の審査のこと
と終盤になって書いてるけど、それまでの3分の2ほどが、まぁ、ぶっちゃけ暴露話(笑) まぁ、本人的には、もっと言えないこともあったんやで、ってことなのでしょう。
で、そこから先は、
「合理的思考よりも優先される年功序列主義」、「組織の硬直化は、なにもラグビー協会に限ったことではなく、日本の津々浦々でおきている」と、ラグビー界を例に、未だに立ち遅れる我が国のジェンダー問題に切り込んでいく。 いや、ジェンダー問題というだけでもなく、そもそもの国民性というものか。
結局は、『失敗の本質』(中央公論新書/1984)や、もっと遡って、中根千絵の『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』(講談社/1967)で指摘された、日本社会の本質が何も変わっていないということか。本書の中でも、上記ふたつの古典を引いて、日本における組織の問題を強く訴えている。
著者の定義する「おっさん」のカテゴリに―当て嵌まらないようにすることはもとより、そんな組織の問題点は実生活においても(要は職場においても)大いに指摘していきたいと思った。
なにしろ、近頃、うちの職場でその「おっさん」化の傾向が顕著になりつつあるという危機感を抱くから。