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(毎月一回の予定です)
ガーナのおすすめ本商会(26)
今回紹介する本は、「ソノリティ はじまりのうた」というものです。
この本は、恐れ多いことに、ゲラを読んで感想を聞かせてほしいと頼まれたもので、レビューを書くのもいつもより緊張しています。
著者は佐藤いつ子さんというかたで、調べてみると他にもヤングアダルトの系統のものをたくさん書いていらっしゃってて、私も図書館で読んだことあるかもしれない……という本が結構ありました!
話のあらすじは、吹奏楽部なだけで合唱コンの指揮者に選ばれてしまった中学一年生の早紀が、最初は内気な性格なものの、指揮や歌声を通じてクラスメイト達と関わり成長していく……そんな青春真っ只中の話です。
読み進めていくと早紀以外の登場人物のことについても詳しく分かり、いろんな気持ちになれます。
大人が読むとおそらく懐かしい気分になるだろう、そうして子どもが読むと共感できるような、憧れるような気分に……。
クラスのなかで空気みたいな存在に思われていた早紀が指揮者になったことをきっかけに、みんなに認められて自分も変わっていったところは「この世の中に『ただの』で片付けられる人なんて居ない」そう思わせてくれました。
今度中学生になる私が読むと時期の関係もあるのだと思いますが、毎日少しずつ人は変わっていって、その毎日が青春なんだな、なんて確認させてくれるような現実と重ね合わせて、卒業に少ししんみりしたり……。
主人公の早紀もそうだけれど誰でも認められたい!という気持ちがあって、恋したり、友情を築いたり……。
最終的に合唱コンの練習が終わってしまえば前に戻っちゃうのかな、とか思っていたら、早紀が呼び捨てで呼ばれたり、気づいた時にはクラス全員が団結して勝っても負けても良かったと思えるようになっているところに感動しました。
指揮や歌声をきっかけに青春を築いた早紀。
自分に自信がない子でもこういう本に出会ったことをきっかけにできるような、そんな、人に大切にされる本だと思います。
青春とはサイダーみたいなもの。
最初は、爽やかだけど後味は甘ったるかったり、少し置いておくと炭酸が抜けていたり、そんな大事な青春のすべてが詰まっていました。
いろんな人の手に渡っていってほしいです。
2022/04/21
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外側から見える表情からは胸の内は見えてこないんだな、という思いをすごく感じました。全体を流れる透明感のあるストーリーのおかげで、より一層、それが強調されて、胸に響きます。
胸の内を理解するために必要なことってなんでしょう。僕は、この小説を読んで、実は互いに向き合う事なんだって思いました。
この小説における晴れ舞台は合唱コンクールです。そこの成功はどこにあるのかと考えたときに、僕は思ったんです。「何を奏でるか」以上に、「一人一人の気持ちを『チューニング』できるか」の方に価値があるんだろうなと。
大人の僕らも、そうじゃないですかね。各々を尊重することから、実はその『チューニング』ができるのかもしれません。今こそ、彼らのような純粋な気持ちで、それを考えて、見ること大事だと思います。
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前作「キャプテンマークと銭湯と」で一皮むけた佐藤いつ子の3年ぶりとなる待望の新作は、期待を裏切らない、いや、期待以上の作品に仕上がりました〜
合唱コンクールが間近に迫った中、思春期を迎えた中学生たちの揺れ動く心情が、みずみずしいタッチで描かれています。今回も、一人ひとりの個性に生命が吹き込まれ、物語の中で、それぞれのキャラクターが所狭しと躍動し、いつの間にか中学生の世界へ引き込まれます。
物語では、ベートーヴェンの運命をはじめ、バスケットボールの響き、早紀の透き通る歌声など、さまざまな音楽や歌声が溢れ、まさにソノリティ、鳴り響く音に包まれます。
クライマックスに向かって、読むのがもったいないと思わせる作品となりました。
読後感は、相変わらずさわやかで、心の中で物語がいつまでも鳴り響いています。
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合唱コンクール前の中学校を舞台にした、青い春の物語。
友人、学校、家族、そして初めて抱く桜色の淡い気持ちなど、一気に中学生時代にタイムトラベルさせてくれる一冊でした。
また、自分の娘が合唱コンクールを前にアツく話していた事も懐かしいなあ。
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合唱コンクールに向けて練習する中学生の物語。
群像劇となっていて、それぞれ全く違う性格の子たちが、一つの目標に向かっていく姿がすがすがしい。
音楽っていいな!青春っていいな!と、単純に思わせてくれる一冊。
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内気な早紀。中学1年生。吹奏楽部に入ったが、
担当楽器を決める時、人気がある木管がやりたいとはうまく言えず、一番やりたくない楽器を押し付けられた。
幼なじみの音心(そうる)はピアノの天才。同じく吹奏楽部。
合唱コンが近づいたある日、早紀は吹奏楽部というだけで、合唱コンクールの指揮者を任された。
物語は、涼万(りょうま)、キンタ、岳、早紀、それぞれの視点で進む。それぞれのクラスメイトの関係性にも注目。
本番直前のアクシデント。
合唱コンの結末は…。
恋と音楽と友情と部活、心の成長。
すごく良い作品でした。あっという間に読了。
たくさんの人におすすめしたい本です。
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期待以上に面白かった。イライラする場面もあったが、中学生の青春が描かれていた。
最後の親子のシーンが最高。
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青春だなぁ、いいなぁ。何事にも夢中になれない、思ったことが言えない、コンプレックスがある、頑張っても超えられないものがある…どれもわかるんだよなぁ。それぞれが合唱コンを通してつながっていく感じがよかった。恋愛面は一方通行な感じがもどかしかったー…。これも青春か?
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さわやかな青春が描かれていてうらやましくなってしまった。
皆が片思いしながらも合唱コンクールに向けて、
心を一つにしていくってすごくいいなと思った。
主人公をはじめ、同級生たちの内情や気持ちの描写も読んでいて心地よい。
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瑞々しい中学生の恋、競争、調和、協力、嫉妬、自律を合唱コンクールに合わせて描いた物語。大人にも子どもにも心地よい物語かな。
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中学生の心の動きが無理なく描かれていてよかった。四角関係はちょっとできすぎかなと思わないでもなかったけれど。結末もよかった。岳の「水野の中学生は水野のもの」とそれに動かされる早紀の行動もいいと思う。
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話の起承転結はしっかりしていて、読後感も良い。
恋愛要素に関してはそれぞれの矢印が交差しなさ過ぎて少しストレスがある。
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最初のシーン(モラハラ気味の父、それに気を使う母、思っていることが言えない主人公)が上手くて、良いかも!と思った。
読んでみて、とても上手い印象は変わらなかった。
が、私の好きな小説ではなかった。
思春期の登場人物たちの心の揺れを、巧みに表現した文章は、中学入試に確かに向いている。
内気だが秘めた強さを持つ主人公、積極的でコミュ力高くても実はコンプレックスを持っている女子、バスケ部のエースのように目されながら、友人の能力の方が高いことに焦りを感じている男子、何事もそつなくこなすが、夢中になれるものがない男子と、身近にいそうなキャラクターばかりで共感しやすい。
(音楽にずば抜けた才能を持つ登場人物が中心から外されているのは、「普通の人」ではないからかも。)
冒頭のシーンで、主人公の自信のなさはこういう家庭に原因があるのかと思わせるが、主人公だけでなく、それ以外の少年少女の家庭の事情も描きすぎることなく、合唱コンクールを通した子どもたちの成長を過不足なく描いている。
恋愛要素もあるし、中学生くらいにおすすめ。読後感も爽やかで言うことなし。
大人もこういう中学生だった人は楽しめるかもしれない。あの頃の切ない気持ちを思い出して。
個人的には私はこの小説で描かれなかった「その他大勢」のクラスメイトだったし、ひねた中学生からクセのある大人になってしまったので、こういう正統派のキラキラ青春ものは若くても好きにはならなかっただろう。これを読んで中学時代を懐かしく思い出せる大人になってみたかった気がしないでもない。
大抵の人にはおすすめ。
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出だしが良く、4人?5人?の恋愛模様が始まった時にどうなるのか楽しみだった。。。けど、読んでいくうちに嫌な予想は的中する方向に向かい、結果表面だけで終わってしまって残念。
もっと深い所まで話を進めての友情・恋愛・アオハルが欲しかった。