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推理小説としては、まぁこんなもんかという感じだったんだけど、全編流れるなんというか、ノスタルジーともちょっと違う、そうだな、多分語り口なんだろうな。それがなんとも良くて、話の筋はそんなに追いかけずに終わってしまった。昭和36年なんて生まれてもいないから正直懐かしいなんて感じが起こるわけでもないのにな。
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昭和36年。作家という肩書きだけでは食えない勝利は、中央放送協会(CHK)でプロデューサーとなった高校の同級生、大杉に声をかけられ、ミステリ短編ドラマの脚本を手がけることになる。
なんとか脚本を完成させ、ようやく迎えた本番。
ほぼ生での放送。いくつものアクシデントを乗り切り、さあフィナーレというところに、主演女優が刺殺死体で発見される。
テレビが普及して、映画からテレビへと娯楽の中心が変わってきた時代。
ドラマが生放送って、舞台よりドキドキする。
セットが見切れないように、スタッフが映らないように、次のシーンへの切り替えにも気を使って。
ドリフの全員集合さえスゴイと思うのになー。
そんな放送中に、事件が。
導入部にハラハラしつつ読み進めたら、その後は淡々と事件までの経過が描かれていて拍子抜け。
テレビ局の裏側を描きたかっただけなのかなあ。
トリック?は早々にわかってしまうし、登場人物も淡々としていて、さらりと終わってしまった。
あとがきを読んで、こういう自分史の描き方もあるのかも。
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1年半ほど前に那珂一兵シリーズの2作目を読んで1作目も読もうと思って忘れててこの3作目を読んだ。このシリーズは結構めんどくさいけど、今度こそ第1作も読もう。で、2作目もそうだったけど、前半が読んでて結構疲れる。後半は悪くないんだけどなあ。昭和36年か、ほとんど記憶にないけど「時間よ、止まれ!」はよく「ごっこ」してたので覚えてる。生放送だったんだよな、みんなグラグラしてたのも記憶にある
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昭和回顧ミステリーの第三弾。
前作までが戦前戦後の名古屋が舞台で一般人目線からの話だったため、すごく共感しつつミステリーとしても楽しめましたが、本作は東京のNHK(物語ではCHK)中心のTV業界ものになっていて、TV勃興期薀蓄は面白いものの時代に対する感じ方に共感はできなかったのとミステリーもイヤミスの上に無理筋っぽいトリックなのでイマイチでした。
自分の生年前夜の話だったので自分の地元の名古屋が舞台だったらよかったのにとは思いますが、作者がこの時期にNHKに入社しているので仕方ないですね。
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実はほとんど覚えてないけど『たかが殺人じゃないか』の己の書評を読み返すとそれなりに高評価で、次弾となるこれを手に取った。う~ん、作者の回顧録的な昔語りを味わうには私には古過ぎた。当時のリアリティを高めんと、なまじ実在の芸能人たちが登場するものの、皆さんお年を召したころのお姿しか存知ないのでどうにも懐旧の情にかられない。となると、せっかく冒頭に殺人現場のスタジオを図解していただいているものの、状況を頭の中で整理しよう理解しようという意欲がわかず仕舞い。なんだか殺人動機でも?が払拭できず・・・。私が未熟です。
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昭和ミステリーシリーズ第3作。本中ではCHKとなってるけど、NHKだわな。生放送中のテレビドラマの中で主演女優が殺されたという話。みはるの話ぶりから、枕営業させられてるという話だと思ったのに、全然出てこず。まぁ幼少期に里親から被害を受けていたという話だったけど。しかし、勘違いで殺されるなんて気の毒な話だ。ユイがどうして日本の映画に出たくないと言ってたのかも明かされなかった。まぁでもこのシリーズはミステリー云々より、その時代のことが分かるというのがメインだから。本当、職人技と未来への意欲を持った人たちの手で、今私が毎日見ているテレビ番組が作られてったんだな。それが今やオワコンと言われているとは。でも当時は映画がそう言われてたんだろうけど、映画も残ってるもんな。まぁ当時のとは全然違うんだろうけど。しかし、自身が体験したことをこんなに覚えているなんて、作者は天才かよ。当然資料も参考にしてるんだろうけど。
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昭和三部作の三作目。前作までのネタバレもろに食らうので注意。駆け出しミステリ作家となった風早がシナリオを書いたミステリドラマの生放送中に主演女優が刺殺された。スタジオは締め切られていたため犯人はその中にいるはずなのに該当者が浮かばない。風早と美術担当の那珂がこの謎に挑む。前作高校生の風早が一気に大人になっているけど中身がそう変わっていないのには一安心。近所のおばちゃんか私。テレビの黎明期の舞台裏が実在の芸能人や実際放送された番組名を挙げながら語られていくのはとても面白かったけど(辻さんだからリアルタイムの体験だろうし)事件発生までが長くてちょっとダレた。トリックも前作までと比べたら小粒で動機もなんだかなぁ。ちょっと残念。
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十二年周期の昭和物ならば、60年のミステリを望むのは酷かな。
でも、48年は、その後のみんなの様子を知りたくなる。
推理小説というよりも、小林信彦さんの初期テレビ物に近い感じ。