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「harvest in architecture 地球と共に生きる建築」私たちが生きる自然環境の中で建築はどうあるべきだろうか。
SUEP.は建築も自然循環の一部として建築を考え、自然を受け入れる寛容さを持ちつつ、活力のある建築を目指している。その地域の年間降水量や緑被率、ハザードマップなどのデータに基づきつつ、
環境シミュレーションを多用し、風、光、熱など自然エネルギーの動きを可視化させ、その後検討と比較を繰り返して建築を設計している。中でも面白かった設計は「淡路島の住宅」と「レソラ小泉テラス」。
まず「淡路島の住宅」については夏至と冬至によって日射遮蔽率が異なる外壁となっていて面白いと思った。湾曲した淡路瓦を編み籠のようにすることで夏至は日差しを遮り、冬至は日を取り込むようになっている。
次に「レソラ小泉テラス」についてはアルミでできた葉脈のような構造材をファサードに取り付け、そして壁面緑化を行う。この構造材の間には灌水パイプを仕込んであり、水を循環させることで冷却効果を得られるという仕組みもある。
この設計自体も面白いが特に面白かったのはアイデアである。実現出来なかったのだが、新しい可能性を感じた。そのアイデアとは壁面緑化にクラウドファウンディングを取り入れ、みんなで緑を増やそうとした試みだ。内容として参加者は壁面にある5タイプのドネーションポッド(植木鉢)と植える位置を決められるという内容。建築と環境とビジネスの融合のようで、新しくなんだかワクワクした。
私は正直な所、都市に植物を擬似的に植えたとしても、自然を作るのはかなり難しい事だと思ってしまう。しかし不可能ではないと思う。こうした取り組みをみんなが行えば小さな緑地がいずれ大きな自然になることは想像できる。だからこのような取り組みは素晴らしいと思う。また都市における自然の再生の先駆けになるのではないだろうか。