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第一章 チェチェンとの出会い
第二章 潰された平和行進
第三章 サマーシキ村大虐殺の真相
第四章 三〇〇年にわたるロシア支配
第五章 チェチェン全土に拡がる抵抗運動
第六章 山岳部のゲリラ村にて
第七章 緊迫のセルナボツク村潜入
第八章 ドゥダーエフ最後のメッセージ
第九章 停戦ーー傷だらけの勝利
第十章 第二次チェチェン戦争、再会への旅
第十一章 ウクライナ侵攻の原点はチェチェン戦争
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ロシア連邦のウクライナ侵略はソビエト連邦が崩壊したのに未だに連邦意識をプーチン大統領が有していることが元凶である。連邦という概念が有害である。これがウクライナを独立した主権国家として尊重することを妨げている。ロシア連邦はウクライナ人を独立した主権国家の人間として尊重していない。だから残虐行為ができる。ウクライナ戦争の解決策、落としどころとしてロシア連邦解体が指摘されていることも理由があることである。
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1997年に小学館から『カフカスの小さな王国 チェチェン独立運動始末』として刊行された書籍に、プーチン首相就任後の第2次チェチェン紛争、2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻後の取材と文章を追補したもの。1995年、エリツィン政権時代の第1次チェチェン紛争の現場に入り、自由とロシア支配からの解放を目指して抵抗を続けたチェチェン人たちの飾らない素顔が文字に定着されている。
本書の記述を追いかけていると、プーチンの権力基盤とそれを支える人々の思考がより鮮明に見えてくるように思う。わずか人口80万人の小国の独立さえ抑えることができないロシアの状況を「悲しむべきこと」と捉え、「強国」「大国」としてのロシアというアイデンティティにノスタルジーを感じる人々の情動を利用するかたちでプーチンは、ほとんどナチスのような自作自演のテロまで起こしながら、チェチェンを圧殺していった。と同時に、メディアを政権の統制下に措くことで、戦争の現場をゲットー化し、何が起きているかを伝えさせないように企てた。すなわち、チェチェンでの「勝利」が「成功体験」として、プーチンの権力の土台となっているのだ。そのことを考えても、第2次チェチェン紛争は「自分たちを敗北に追いやった自由と民主主義、言論の自由への復讐戦」という側面を有しており、それがウクライナ戦争にもつながっていく、という著者の指摘は重要だ。(まさに旧ソ連の「敗け方」の問題!)
著者はチェチェンでパルチザンたちから、ことあるごとに「なぜ日本は南クリル諸島を奪還しないのか?」と問われたという。チェチェンの軍事指導者の一人は、映画『七人の侍』が大好きだ、とも語っていた。情報とメディアは、思わぬところでつながり、文脈を作ってしまう。