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<目次>
序章 「昔はコーチなんていなかった」
第1章 石井琢朗
第2章 鳥越裕介
第3章 橋上秀樹
第4章 吉井理人
第5章 平井正史
第6章 大村巌
<内容>
プロ野球のコーチにしぼって取材をしたもの。雑誌「野球小僧」などに関わった著者が、多くのプロ野球人へのインタビューから考えたものを、「名コーチ」(自分のいた球団だけではなく、無関係に近かった球団を含めて、複数年コーチを務めている人=自分の定義)に聴いたもの。
6人に共通しているのは、「観察」「傾聴」「褒める」「日常の生活をつけさせる」。プロ野球は「コーチ」のライセンスがない(サッカーはある)。そして「名選手が必ずしも名コーチにあらず」だ。その中で、6人は現役時代に考えてきたことをコーチになって実践している。「押し付けない」「見ながら考える」「勉強する」だ。日本ハム、DNAなどはコーチングに研修もあるらしい。そこもうまく利用する。教育にも役立つ話が多かった。
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本書は,「名コーチ」とはどういう人を示すのか,どういう条件を備えている人なのかを,明らかにしようとするドキュメントである。
ファンはしばしば,エラーやミスをする選手に対して,「コーチがもっとしっかり技術を指導しろよ」と批判するが,技術指導だけがコーチではない。それに加えて,従来の昭和時代型コーチは,自身の経験だけを素材とした命令基調のティーチングであったが,それで結局,多くの若手選手が成長してきたわけではない。なかには,そうした経験自体が,のちに反面教師になることもあり得た。著者は,監督でもなく,選手でもなく,コーチという存在に焦点を当て,2021年時点で球団に所属していたコーチングスタッフ6人に取材を行い,本当の「名コーチ」の条件を探究することに努めてきた。
序章に続いて,本章では,6人のコーチ(石井琢朗,鳥越裕介,橋上秀樹,吉井理人,平井正史,大村巌――以下,人名は敬称略)が,1人1章ずつ,著者のインタビューに対して,コーチングのプロセス,そして「名コーチ」とは何かを回答している。まず,6人のコーチングには,投手・野手を問わず,なんでも教え込むのではなく,選手自身に主体的な達成感をもたせることを共通点としている。ただし,そこに至るアプローチは,6人6様であった。たとえば,鳥越や大村のように,家庭的な躾という観点から入団まもない選手たちを育成する方法もあれば,橋上のように,データをもとにして主力選手と個別に対話したり,吉井のように,大学院へ進学し,専門的な心理学や生体力学の研究を修得した成果をコーチングの現場で活かすやり方などがある。橋上と吉井の受け答えが理論的かつ具体的である分,他の4コーチのコーチングがやや抽象的・一般的な印象を拭えなくはないが,それでも本書としては,さまざまな事例を列挙することに意義がある。
読者によっては,贔屓の球団におけるコーチングを垣間見るという読み方をするケースもあ。ライオンズファンとしては,橋上秀樹を語る第3章は,熟読するに値する。
ファンの間では,いわゆる「暗黒時代」と呼ばれる田辺監督期の最終年(2016年)に,ライオンズの作戦コーチに就任した橋上は,チームの三振数を減らすことを至上の命題とした。そのターゲットとなった浅村栄斗や森友哉に対しては,彼らと個別に対話することで,両選手とも2ストライク後の打撃が改善され,つなぐ打撃の大切さを再認識できるようになったという(88頁)。また,金子侑司に対しては,それまでの打撃練習で中村剛也や浅村と同じようなバットの振り方をしていたのが,自身のセールスポイントを強調させることで,選球眼が磨かれたという。そういう意味で,2018~19年の「山賊打線」は,橋上のコーチング力なくして語ることはできないといえよう。紙幅の制約で省略されたのかもしれないが,惜しむべくは,浅村,森,金子が,橋上のサジェスチョンをどのように受容していったのか,その返答も,言葉として聞いてみたかった。
最後に本書の構成に関して,2点指摘しておきたい。
第1に,序章は,「名コーチ」とは何かの問題提起をしながら,かなりの具体例も書かれていたために,幾分長く感じられた。序章では問題提起のみを語って,荒川博や土井正博,根本陸夫の部分は,各論が展開されるまでの短い第1章としたほうが,読者には読みやすかったかもしれない。なぜかというと,根本による「どれだけその選手の目標をサポートできるか」という台詞が,序章にして,本書の結論となっているため,読者によっては,各章を読む必要がないとも思ってしまうからだ。
第2に,「名コーチ」の条件を,どのようにカテゴライズするか,この結論がやや弱かった。「コーチになるからには自ら勉強するしかない。近道はなく,地道に続けるしかない」(216頁)という締め括りでは,この議論が先に発展しづらいからである。そのなかで,アナリストとコーチの関係性(212-213頁)を今後の課題として設定したのは,非常に有益だろう。橋上・吉井型のコーチングはアナリストとマッチしやすいが,鳥越型のそれはどのように関係性を築いていくのか,続編を待ちたい。
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野球が好きではない人にもおすすめな良書。教えるのではなく、気づかせる。
日ハムの、"俺が育てた"は評価しないというのも育成に定評のあることの裏付けかと思った。
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プロ野球における現代のコーチのあり方についての本です。
プロ野球における育成については、この本に出てくる現役のコーチ陣のやり方に違和感はないですが、一般の仕事における育成では、この本の内容とは異なる部分が多々ある気がします。
一般の仕事における育成においては、いわゆるCOACHよりも、TEACHの比重が高い気がします。
ちなみに、読んでいてとくに気になったのは、指導者のライセンスの話。
日本において、サッカーは、指導者になるためにはライセンスがありますが、野球にはありません。
ライセンス制度があるのがいいのかどうかはわかりませんが、日本のプロ野球とプロサッカーにおけるコーチの貢献度の違いを比較・調査した結果があるのかどうかが気になりました。
競技が異なるので、貢献度の比較は難しい気がしますが、ライセンスのあるサッカーの方が明らかに高い、ということであれば、野球もライセンスを導入した方がよいかと。
しっかりとした指導者が増えることで、しっかりとした選手が増えれば、そのスポーツにとって、マイナスになることはないはずなので。
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タイトルに惹かれて買ってみた。
スポーツに長くいたのでついつい指導に対してのステレオタイプ(押し付ける、やらせる、いわゆるティーチング)みたいなのが自分にはまだ残っていることに気付かされた。
プロ野球で、結果を出していると言われるコーチたちは本当にコーチングを実践してた。
吉井理人の名コーチと呼ばれたくないって話と、大村巌が紹介してた選手によってフレームの形が違うからそこに合わせて指導させるっていうエディジョーンズの話が気になる
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箱根駅伝を観ていて駒大の大八木監督が「答えを伝えてはいけない、私は提示するのは選択肢。 そこから選手達が自分の意思で決めていく」と語られた事を思い出しました。
「人を育てる」とはどういうことなのか? 改めて考える機会を与えてくれる本です。
スポーツに限らず「即戦力」は企業側は歓迎しますが、それは言わば「替えの効く部品」に過ぎません。
人材を「部品」ではなく、その人の幸せがその先に見えるように育てる(見守る)ことが「コーチの役目」だと感じました。
どんな業界、世界でも「現役で活躍」できるのは実はほんの僅かな年月、人生において「そこから、どれだけの人を育てられるか?」が真価かもしれませんね。
野球の枠を頭から取り払って読んでみるととても意味深い本だと思います。
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WBCで優勝したのは大谷翔平やダルビッシュが
参加したから。
そして、それを実現させたのは栗山監督。
そして、それには吉井が投手コーチだったから、
という事が大きいと思う。
現役の監督ですよ。しかも一年目の。
もっと称賛されても良いはず。
それはこの本を読んで再確認しました。
でもなあ、
そういうコーチをちゃんと評価してくれる
組織じゃないとなあ…と思う。
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優れた現役コーチ6人への取材を通して、プロ野球の指導者としてのあり方やコーチングの本質などが書かれた本。
優れたコーチング技術により、コーチとして活躍を続ける6人のプロ野球指導者。彼らのコーチング技術やコーチとしての原点などが、著者の取材により明らかになります。
コーチとは「相手が自ら努力する方法」を教えるのが仕事。名コーチは「オレが育てた」ではなく、相手が自分で成長したと思えるようにする人。