投稿元:
レビューを見る
ちゃんと「分かる」ようになってるのは意外と難しい。素晴らしいです。
その文章に似合う絵と、その絵に似合う言葉の絵本でした。
投稿元:
レビューを見る
酒井駒子さんのモノクロの陰のある暗い絵.ランドセルを背負って橋の上で川を見下ろす姿が痛々しい.そしてお話の内容にピッタリはまっています.
小さな子どもが思いをためて,耳を澄まして,乗り越えていく姿,応援しながら読みました
投稿元:
レビューを見る
湯本香樹実×酒井駒子作品がまた読めて嬉しい☺️ “橋の上”で川を見ていた夕方、いつの間にかぼくの隣に立っていた雪柄のセーターを来たおじさん。私、このおじさんになりたい!と思った。
投稿元:
レビューを見る
噛み合った、文と絵。
この本が必要な人にどうやって届けたらいいだろうと、この本が必要だった僕は考える。
熱く生きる必要はない。ただ生き延びるのに、誰かの言葉が、作品が、存在が必要な時がある。
ただ、この本がこの世に生まれ、存在することに、ありがとうと言いたい。
投稿元:
レビューを見る
ある夕方、
小学生の「ぼく」は
橋の上で川を見ていました。
すると
いつのまにか
「ぼく」の隣に
ホームレスのおじさんが立っているのでした。
ページをめくっていくと、
「ぼく」が何故橋の上にいたのかがわかってきます。
「ぼく」は考えていたのです。
いま、ここから川にとびこんだら、どうなるのだろう、と。
「ぼく」にぬれぎぬをきせたあのおばさん
「ぼく」の上着をごみ箱に捨てたあいつ。。。。。
そんな「ぼく」に、おじさんは言うのでした。
みずうみを見たことある?
と。
水路の暗がりのむこうには
たった一つの
きみだけのみずうみがあると
おじさんは言います。
そして
耳をぎゅうっとふさぐ術(すべ)を教えてくれたのでした。
文章と絵が
こんなにも一つになった絵本は
そうそうあるものではないと思います。
「ぼく」が青年になってから見える
みずうみの光景は
そのページだけ彩色されていて
とても美しいです。
川にとびこまなかったからこそ会えたひとたちが
水辺にいるのです。
「ああ、生きていてくれて
本当に良かった………」
読者である私の胸には
そんな想いがさざ波のようにひろがっていきました。
それにしても
酒井駒子さんの描く子どもは、反則的なほどにいとしすぎる(涙)
横顔も
後ろ姿も。
子どもたちの苦しみを
全てなくすことはできないけれど、
でも、
全ての子どもたちに、よき出会いがあるように願いつつ、本を閉じました。
投稿元:
レビューを見る
こんなにも絵と文がピッタリ合うなんて、驚きとともに感動しかない。
何度も何度も読み返す。
私の最高の一冊となる。
川が好き?
橋が好き?とおじさんが聞く。
そして、耳をぎゅうっとふさいでごらん。と
少年と同じように耳をふさいでみた。
水の音が、きこえた。
おじさん、教えてくれてありがとうと言いたい。
投稿元:
レビューを見る
絵が素敵すぎて、圧倒された。
川にとびこんだらどうなるかな?
そこに声をかけてくるおじさん。
若い頃、つらくて死ぬことに気がいっていた時、私にも声をかけてくれたおじさんがいた。
「どっか車で連れて行ってあげるよ。あんた、今にも死にそうな顔しちょる」
相手のおじさんの顔とか、詳しいことは覚えてないけれど、その時の、声をかけられた驚きや、自分の心の中を人がわかっている驚き,色々が混ざり合って,その時の心境は鮮明に覚えている。
この少年も、おじさんのことを一生忘れないだろう。そして、人生を振り返る時、思い出すんだと思う。
死んじゃいけない、みたいな本は沢山あるけれど、この本は酒井駒子さんも味方につけ、他とは圧倒的な差をつけて輝いている。
少年の後ろ頭が、特に好きだ。
投稿元:
レビューを見る
橋の上で川を見ていた夕方。
雪柄のセーターを着たおじさんにぼくは出会います。
おじさんは「川が好き?」とぼくにききます。
ぼくはほんとうは考えていました。
いまここから川にとびこんだらと。
ぼくがぬすんでいない本をぬすんだっていった
あのおばさんは悪かったって思うだろうか。
ぼくの上着をゴミ箱にすてた
あいつはおびえるだろうか。
いまここから川にとびこんだら。
するとおじさんは
みずうみを見たことある?
といって、自分だけのみずうみの話をきかせてくれました。
そして
はやくおかえり。
といっておじさんは手をふりながら橋を
わたっていってしまいました。
いつか、たぶんおとなになってから、
きょうのことを思いだすだろう。
ぼくは、ときどき耳をふさいで、
地底の水の音をきくことがある。
いまでは、みずうみが、はっきり見える。
※ここまではベージュと黒の二色だけの色で描かれているのですが次のページだけが明るく輝くようなブルーとグリーンと白を使って描かれています。
水辺には、かならずだれかいる。
友だちや、だいじなひと。
生きているひと、もう死んでしまったひと。
※そしてまた、ベージュと黒の絵に戻ります。
あのときもし川にとびこんでいたら、
会えなかったひとばかりだ。
みんなの顔に目をこらし、声をききながら、
ぼくは眠ってしまう。
長い夜が明けるまで。
これはもう、子ども向けの絵本ではなく、中高生以上から大人に向けられた絵本ではないかと思いました。
いつかたぶん誰もが大人になってから思い出すあの日のことが描かれた絵本だと思いました。
投稿元:
レビューを見る
橋の上から川を見つめているぼくがおじさんと話した。そこに何が起こったか。心が傷ついているぼくに読んでほしい。
投稿元:
レビューを見る
絵が白黒のパステルであり、岩崎ちひろの白黒版である。橋の上から飛び込もうとした自分に話しかけてくれた人がいたことを回想しているものである。
投稿元:
レビューを見る
いまここから、川にとびこんだら-
このページだけ、橋桁が、マスキングされた直線でハードエッジに描かれている。
他のページでも下絵には定規で直線が引かれているけれど、あとで手描きでなぞられている。この橋桁は、とりわけ鋭く描かれている。
その水は、どれほど冷たかったろうか。
投稿元:
レビューを見る
圧倒的な「絵の力」を感じる絵本。
読後(読んでもらった後)、じっくりと味わい、感想を誰かと共有したくなります。
少年を泥棒扱いするおばさんが、図書員のように描かれているのが悲しい。(絵の中の本に背ラベルが貼付されている)
「前向きなラストに救われた」と感じる人もいれば「彼はまだ辛いままだ」と感じる人もいて、様々なとらえ方ができる一冊です。
投稿元:
レビューを見る
本当は、夜を長いと感じたくはなかった、けれど長い夜の真ん中で夜明けが来ることを待つしかできない日が、日々がある。橋の上で私はおじさんに出会わなかったけれど、いつしか私だけの水辺を知った、それがどうか川に飛び込まない理由であれば良い。
投稿元:
レビューを見る
橋の上の彼のように、死にたいと思ったことは、幸いにして、ない。けれど、死にたいと電話口で泣く家族に、なす術なく身を捩る思いは何度も味わっている。
だから、この橋の上に立つ彼が、家にいそいで帰る後ろ姿に、祈るような気持ちになる。すべての、橋の上に佇む人たちに、おじさんのような、死へ傾く気持ちをずらしてくれる人が現れますように。私も、おじさんのようになれますように。
#酒井駒子 さんの無彩色の静かな絵が、さらに心にしみる。その絵が、水辺の見開きだけ色づいて、いのちは出会いだと感じさせる。
投稿元:
レビューを見る
橋はあの世とこの世の境界線だ。小さな「ぼく」が橋の上で川を眺めているのは、まさにその境界線を越えようとしていたのだとわかってゾッとした。生きていたら良いことがある!なんて簡単に言う人はいるが、今、橋の上に立っている当人にとっては申し訳ないが響かないものであることは経験的に知っている。だけど、こんな風に、静かに優しく、ちょっとおかしな人が「〜してごらん」って話しかけてくれたら、生きながらに別の世界があることを感じさせてくれたら、その子はたしかに救われるだろうなと。酒井駒子さんの描く少年がとても素敵だ。