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泣いて笑ってまた泣いて。
劇団ひとりに私たちは何度驚かされるのだろう。驚いたあと何度喜び続けるのだろう。
彼が書き続けてくれる限り、驚きと喜びは続く。その幸せよ。
遊郭、置屋。
そこに生きる女たちの矜持と、命の物語。
こんなにも悲しくて切なくて、そして美しい「ルンタッタ」が今まであっただろうか。
歌に救われたかつての自分の、その涙を思い出した。
どんな境遇の中にでも「救い」となる「それ」がある。あるからこそ生きていられる。
かすかで見えない光かも知れない。でもその「それ」を見つけられたらきっともう大丈夫だと思える。
言葉に出来ない「それ」を紡いで私たちは生きている。
劇団ひとりの優しいまなざしを、そこに感じた。
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ルンタッタ ルンタッタ!とあの懐かしいリズムに合わせ踊りを踊っている姿が目に浮かぶ。大正12年9月関東大震災があった時、小生の父は16歳前後の筈、よく震災の話しをしていた事を思い出した。明治大正昭和と生き抜いた逞しい主人公緊張の連続のうちに読了。感動の一冊であった。
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明治、大正時代の浅草が舞台。
雪の日に女郎屋燕屋に捨てられた女の赤ちゃんを拾った千代が母親として娘を守ろうとする。
いつの間にか燕屋のアイドルになっていたお雪をなんとか守ってやりたいという思いが溢れていた。
お雪の強さにも驚く。母性本能が繋がっていく。
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これちょっとまだそこまで売れてないのがとてももったいなくてですね…
軽めのエンタメ小説ファンは損しないと思う。(週に小説たくさん読むタイプの読書家さんの意味ね。)
「陰日向に咲く」から、劇団ひとりさんは彼ならではの物語世界を持っていたけど、
どんどん完成度が上がってきてますよね。
映像作品も含め。
文章もシンプルで、脚本に近いというか、ぐいぐい読めて、劇団ひとり独特の哀感と、ちょっとしたファンタジーがあって面白かったです。
シスターフッド的にも読めるしね。
考えてみたら劇団ひとり作品って、女性の扱いに癖がないんだなあ。
ただちょっと他の作品もだけど、個人的な好みとしてはすっきりあっさりしすぎているなー、とも。(アクの強いものが好きなので)
でも意識的にエンターテイメントに徹しているんだろうな。作りたい世界がものすごく堅固にある印象は毎回受ける…
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厚さはさほどでもないのに、大長編を読み終えたような満足感。
きっとこれも映画化するんだろな。
誰が誰を演じるのか
とても楽しみ。
[図書館·9月20日読了]
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Amazonの紹介より
行き場をなくした女たちが集う浅草の置屋「燕屋」の前に、一人の赤ん坊が捨てられていた。かつて自らの子を亡くした遊女の千代は、周囲の反対を押し切って育てることを決める。お雪と名付けられた少女は、燕屋の人々に囲まれながら、明治から大正へ、浅草の賑わいとともに成長する。楽しみは芝居小屋に通うこと。歌って、踊って、浅草オペラの真似をして、毎日はあんなに賑やかで幸せだったのに。あの男がすっかり台無しにした──。
題名から想像するイメージは、明るく楽しい雰囲気のあるイメージだったのですが、読み進めてみると、地震や殺人といった壮絶な出来事の連続で、心情としては重い気持ちになるばかりでした。
多少、違和感やご都合主義な部分もありましたが、みんなで協力し合いながら懸命に生きている姿に心が救われた気持ちにもなりました。
気になる箇所というと、冒頭の赤ん坊が捨てられる場面です。福子が発見し、「燕屋」で育てることになるのですが、その際、赤ん坊=お雪が結びつきませんでした。表紙の帯では、あらすじが書かれていて、その際「お雪」も書かれています。
ところが、その辺りは小説内では端折っています。赤ん坊を発見し、その後5年後の世界になるのですが、その際「お雪」=発見された赤ん坊だったとは、少しの間わからなかったので、ちょっと戸惑っていました。
また、5年後だったり、7年後だったりと読み進めていくと、色々時代が変わっていきます。「お雪」の変化はわかるのですが、「燕屋」の面々が、年齢を重ねてもそんなに変わっていないなという印象があり、もう少し変化が見られるのではとも思いました。
他にも、久々の再会!?と思いきや、事あるごとに偶然!?かのような悲運な出来事をいくつか登場させるので、ちょっと「作り込まれてる」感があって、感動がちょっと冷めて、ひいてしまいました。
そういった部分はあるものの、「子」を想う「母親」の気持ちや「親」を想う「子」の気持ちに心が痛かったです。
でも、時たま登場する歌やオペラが、心を和ませてくれました。
裕福じゃなくても周りがいれば、なんとかなる。浅草での人情が感動的でした。
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劇団ひとりの新作。
日露戦争が終わり、関東大地震が起こったその当時。
吉原には程遠い安く男が女を買える安宿の、女郎たちの貧しくも逞しい暮らし。
横暴で変態な鹿児島出身のいやな警察官のせいで、薄幸な女郎は地獄に落とされる。
女郎たちの光は、雪の降る晩に宿の軒先に捨てられていた赤ん坊、お雪。
その小さな命が唯一の幸せ。
突っ込むところは多少あるが、わたしは、芥川賞受賞の又吉さんよりも好きな作風。
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心弾む「ルンタッタ」だと思って手にしたら、人間の醜さと優しさたっぷりの物語。ひとりさん、たいした才能です。
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陰日向に咲くがむちゃくちゃよかったので、今回は辛口の星3つになりました。劇団の演劇を見ているみたいに普通におもしろかったんですけどね。陰日向に咲くみたいに心には残らなかったんです。
劇団ひとりさんは大好きなので次に期待してます。
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なんとも切なくてだけど物語を追いかけていきたくなってしまう、とても心にぐっくとるお話。陰日向に咲くの時も才能に感動したけれど、今回も悲しみの中に強い志や深い情が感じられてすごいなぁとただただ感嘆。厳密にいっちゃうとピアノがそんな簡単にマスターできるわけないとか、7年間も一人で生活するのは不可能ではと突っ込みどころもいっぱいあるのは確かなんだけど、全部ひっくるめて結果オーライであったように思う。
理不尽なことは多々あって何を大切に生きるのか深く考えさせられたお話だった。
題名とのギャップにまんまと騙された人は多いのでは。
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女郎に捨子、浅草を舞台に大正時代のモダンな香りと非道な男たちに踏みにじられていく姿がたんたんと語られる。彼女達に幸せは遠いのだが、それでも明るく強く生きていく姿に頭が下がる。
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映画監督として昨年末にNetflixで配信された『浅草キッド』も好評だった著者が今度は1910〜20年代の浅草を舞台にした小説を執筆。やはり信夫は劇団ひとり演で脳内再生されてしまうw浅草オペラが登場した辺りでは再び芸能の物語になるのかなと思ったが、ストーリーは予想外の方向へ。確かにこれは映像作品にするのは難しい題材かもしれない。
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タイトルと設定からもっとルンタッタと浮かれた話を想像していたので、予想外の展開に面食らってしまった。
暴力や地震の描写などは痛々しくて読むのが辛かったけど、女たち+伸夫の連帯には希望が持てて良かった。
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行間もあり、文字もそれほど小さくないので、サクッと読める。
当時の浅草の様子がわかりやすい。大正時代なので、関東大震災は外せない。辛い描写もいくつかあるけれど、激動の時代をいきぬく逞しい人々に勇気をもらえる。
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久しぶりに泣いてしまった。
シーンごとに映像が浮かんできた。
歌が色をつけ、歌が花を咲かせる。
劇団ひとりの文章にしびれました。