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<目次>
第1章 高山植物という生き方
第2章 高嶺の花はなぜ美しい
第3章 お花畑ができる仕組み
第4章 高山植物のたどった道
第5章 消えゆくお花畑
<内容>
ただ「きれい」な高山植物の紹介ではなく、過酷な環境の中で生きている高山植物を、科学的に研究したものの普及書。第5章で、地球温暖化を主に受けているのが高山植物だと知って、人間として恥ずかしい感じがした。
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2022/10/1 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2024/1/17〜1/18
アルプスなどを登山した際、たくさん眼にする高山植物であるが、一部の名前くらいしか分からないのを常々残念に思っていたところ、高山植物の研究者である工藤先生が書かれたこの本を発見。主に大雪山(行きたいなぁ)の高山植物を中心に生物学的な調査結果や温暖化の影響などの環境面に至るまで、幅広い内容であった。いやあ、こうやって来歴を知ると、ほんとに見られるのが奇跡なんだと良くわかった。
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山登りが好きで、辛い登りでは足元に咲く花を見ると不思議と元気が出る。もう一息、もうひと踏ん張り、と背中を押してくれるそうした花々は高山植物と呼ばれることが多いが、果たしてその定義は?とネットで調べても「高山帯に生息する植物」としか書いていないことが多い。もっと体系的に、簡潔にでも、高山植物のことを学びたいと思っていたところ図書館で出会った本。
高山植物の花の美しさを解説する、といういささか著者の主観的な表現もあるが、それ以上に多くのフィールドワークと昆虫や動植物、地質などなど植物に関わる幅広い分野の情報まで記述してくれる、それでいて初学者にもわかりやすい入門書。
第5章では消えゆくお花畑と題して高山植物の直面する地球温暖化(気候変動)について述べられているが、そこで起こる高山植物の減少という問題に対して、人間はどう対応すべきか、という課題付与には考えさせられた。自然には手をつけるべきではないのか、あるいは積極的に保護すべきなのか。はたして植物にとって望ましい介入の仕方はどうあるべきなのか。本書で答えは出ていないし、著者の意見もあらわされていないが、考えるきっかけを与えてくれる本だった。