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「ノンフィクション」のくくりで、エッセイ、評論、説明文など幅広く選書している。
読書に関する詩で始まり、詩で終わるところにノンフィクションへの心理的なハードルを下げようとする意識を感じる。
エッセイ、説明文、評論文など、今の中高生に合わせて、新し目の作品かつ新しいレーベル(「岩波ジュニアスタートブックス」など)から選書されている。
中高生なら背伸びをしてこれぐらいを読んでほしいという教える側のおごりがない。ただただ「ノンフィクションというジャンルも面白い。手にとって読んでみてほしい」という想いに溢れている選書だと感じた。
巻末に読書の手引が載っている。例えば、書評サイトやSNS、図書館の司書さんの活用。エッセイや説明文に比べ、とっつきにくさを感じられがちな「評論」との「楽しい」付き合い方。オススメのノンフィクションレーベルの図解。
自分が好きなテーマについて、そこからどのように本を選んでいけばいいのか、興味関心をもった先の道案内もしてくれる。
この一冊を使いながらどのような授業を展開できるだろうか。
ノンフィクションの魅力を紹介し、その先の楽しさまで導いてくれる素晴らしい一冊。
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筑摩書房といえば国語の検定教科書の他に副読本や参考書として使えそうな「高校生のための文章読本」「高校生の批評入門」などがあるが、今回のこの本はターゲット年齢を下げて中高生向けにするとともに、いままでよりもかなりとっつきやすい雰囲気になっている。
5〜10分で読めるぐらいの長さのいろいろなノンフィクション(エッセイ、説明文から評論まで)21編(+巻頭と結びに詩が一つずつ)のつめあわせで、旬の読みやすい(読ませる)書き手を選んでいるし、読書案内や読書コラムなども充実していて、芋づるがたっぷり。欄外にちょこちょこ登場するイラスト(著者の一人仲島ひとみさんによるもの)もかわいくて、巻末の「図解! 中高生向けノンフィクションレーベル(最近生まれたジュニスタ&Qブックスから一般向け新書レーベルまで網羅)」などは拡大コピーして教室や学校図書館や書店の壁に貼りだしてほしいくらい。
学校の国語の時間では小説か評論かでざっくり二分されて、書き手の主張を読み取らなければならない評論はとっつきにくくて人気ないし(たぶん)、本好き=小説好きという世間の思い込みも強いが、評論も含むノンフィクションの「読むと世界がぐっと広がる」楽しみというのを「国語」の中で教えるのはむずかしいのかな…
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こういう入門的な本が欲しかった!
参考書的なテクニックは書いておらず、読むための指針を示してくれる。
アンソロジーとなっているので、中高生でなくても、読書の幅を広げたい大人も楽しめる。
現に私も読みながら、驚いたり泣いたりと、感情を揺さぶられた。
生徒に入門書を薦めるときに、『ちくま評論入門』
あたりを頭にぽっと浮かべることはあったけれど、どちらかというと受験向けで、生涯的にノンフィクションを読むためのものではないよなぁとか、そもそも内容が難しすぎてこの子達には合わないなぁとか、悩みが多かった。
堅苦しい、難しいイメージの評論文ではなく、新しいことを知ることができる面白さ、こんなものの見方があったのかという驚きに満ちた評論体験ができる。
読み物としても楽しい一冊だが、しっかりと「読む」こともおろそかにしていないし、受験向けの入門書としても最適。
「あなたは豚肉」という言葉が衝撃を与えた『食べるとはどういうことか』も掲載されている。
この文章は、昨年度の共通テストの問題文で、私にとっても解きながら視点の新しさに驚かされたので、久しぶりに再読できたことが嬉しかった。
この本一冊を読見込むだけでもかなり勉強になると思う。
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3人の国語の教師が編者になって、物語ではない文章を広くノンフィクションと捉え、様々な分野のノンフィクションを、ハードルを低く、楽しく読めるように紹介しています。
各文章の終りに、読解の手助けとなる問題がついており、このまま国語の授業で使ってほしいと切望してしまうほど、内容の濃い良書でした。
そして、読んだ文章からさらに、芋づる式に読書の幅を広げていけるよう、読書案内や読書コラムを充実しています。
中でも特に興味深かったのが、次の六つでした。
○ハットリバー公国という国を自分で作ってしまった人の話「国ってなんだろう?」近藤雄生著
○自然界の仕組みを、面白く、しかもとてもわかりやすく教えてくれる、「花の色には意味がある」稲垣栄洋著
○食べ物の気持ちになってみようということで、自分が豚肉になってみたとする衝撃的な試みをする「食べるとはどういうことか」藤原辰史著
○中学生の息子さんが、純粋な視線で、社会問題の本質をあぶり出す「君たちは社会を信じられるか」ブレイディみかこ
○頑なに読書を拒否する子供たちも、読書に興味を持ってくれそうな「読書は僕たちをグーグルマップにする」苫野一徳
○巻末の、文月悠光さんの詩
各文章の最後に出される問題があるのですが、大体はわかるけど、過不足なく適切に答えられる自信がなく…ちょっと例解欲しいなと、思ってしまいました。
興奮する程素敵な一冊だったので、読んでくれそうにないけど、バレンタインのチョコレートに添えて中1の息子にプレゼントします。
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これも前にどこかで目にして気になっていたもの。書店でふと見かけて、そういえばってことで入手・読了。これはしかし、面白かった。フルサイズで既に読んだことのある作品もちらほらあったけど、本書の中で読んだ方が、より良い印象に思えた。こうやって、識者がそれぞれの主となる部分を抜き出し、まとめて提示されるの、アリだな。それぞれを通読した場合と比べて、そこまで満足度は劣らない気がする。実際問題、同じことの繰り返しとか、かなりくどく感じる部分とか、多いもの。自分の新書やらに対する接し方に、改めて一考を問われた気がした。
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冒頭に掲載されている「世界は一冊の本」(長田弘)にぐっときた。多くの読書を愛する人に共通する感覚ではないだろうか。有名どころを中心に多彩な本が魅力的に紹介されており、どんどん読みたくなる。各所に配置されている「手引き」は国語の授業の香りがするが、サイズ・ボリューム・レイアウトデザインも含め子どもたちが親しめるよう配慮されているのを感じる。一篇を朝読書で読み終わる長さにしているというのも子どもたちの現実に即している。
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5分で読めるノンフィクション
この先を読んでみたいと思う作品がたくさん
中高生にぜひ手に取ってもらいたい本だと思った