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CL 2023.3.30-2023.4.2
シェトランドシリーズ最終章。
シェトランドという舞台らしいしみじみとした物語が好きだった。今回の真相はやりきれなさが残るけど、ペレスやウィローが地道に捜査を重ねていく過程が好き。ペレスの生活も事件とともに変化してきて、このラストは希望があってよかった。
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シリーズ完結。
15年かけてシェトランドに思いを馳せて来たので
感慨深いものがあります。
特に4作目の衝撃は今なお忘れられません。
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2007年発行の「大鴉の啼く冬」に始まった「シェトランド四重奏(カルテット)」から続いた「ペレス警部シリーズ」、こちらも4作目で完結です。
英国最北端(つまりスコットランド最北端)のシェトランド諸島。
荒涼とした景色が美しいが、冬は厳しく、開発もされているが、新しく住む人はそう多くはない。
イングランドから越してきた一家の納屋で、前の住人が首を吊ってしまった。
それ以来、何者かが敷地に侵入して、謎めいた書きつけを残していく。
さらに、近所のお邸で子守りをしている若い女性エマが遺体で発見された。こちらは自殺とは思い難い‥
子守と言っても子供二人はかなり大きく、エマは色々な役割をしていたらしい。綺麗だが一風変わった娘だった。
ジミー・ペレスは漂着したスペイン人の子孫で黒髪、見た目は地元民からは浮いているが、よく知られている。
もの柔らかで人の話を聞きだすのが上手く、理解力は鋭い。
婚約者フランを喪った悲しみを抱え、忘れ形見の幼い娘を育てている。
今は、島外の上司に当たるさばさばした女性ウィローと、いい関係を築いていたはずが‥
事件が起きるとインヴァネスからシェトランドにやって来るウィローとは会う機会が少なく、意外なことで亀裂が走る。
事件の重い背景、入り組んだ人間関係と、必死さ、身勝手さ、逃れにくさ。
それとは対照的に、ペレスとウィローのぎこちない衝突と悩みようは若い者のようで(いや若かったらもろにサイテーな感じかもだが)、あのペレスが盲点を突かれて、というところが初心な恋めいている。
そう悪い方向へ運ぶわけがないでしょう(笑)
作者はベテラン作家であり、自分もシェトランドに移住した人。
緻密な作風で、特異な状況もささやかな喜びもありありと描き出す、その力には脱帽です。
シリーズは完結しましたが、他も翻訳が始まっているので、楽しみです。
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シェトランド島シリーズの八作目。
ウィローが妊娠(!)を告げたのに、
喜びもせず感じの悪いペレス。
たしかに、
刑事の仕事をしながら、
元婚約者の娘キャシーを育てるだけでも大変なのに、
もうひとり子供を持つことの責任の重さに腰が引けてしまうのはわかるが。
前の家の持ち主が納屋で首吊り自殺をしたために、
肩身がせまくなっている移住してきた家族。
同じ納屋で、近くの家に住み込んでいるベビーシッターの若い女性が
首を吊っていた。
ベビーシッターと言っても、一番上の子供はティーンエイジャー、
子供たちの送り迎えや世話だけではなく、家事も手伝う、
雇い主にとっては都合の良い存在だったらしい。
明らかに自殺ではなく、
彼女の恋人やその母親、雇い主や既婚者の元恋人が疑われていく。
被害者の人となりがどうも納得がいかないし、
被害者が世話していた子供たちとウィローたちが話をする場面も、
後から思えば不自然な気がして、ちょっともやもやする。
とはいえ、
サンディがプロポーズに成功したし、
ウィローとペレスも上手く行きそうなラストで良かった。
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『シェトランド』シリーズ最終巻。
相変わらずの切れ者警部、ジミー・ペレス。だけど同時にこのオトコ、ダメダメ男。そこが魅力的なんだけれど。
シェトランドである程度裕福なふたつの家族。次々と関係者が殺される。
あんなに美しい諸島なのに人間臭いドロドロとした感情が見え隠れする。
嫉妬、憎悪、それらがついには人をも殺す。
今回のテーマは突き詰めて言えば虐待。
放任主義も言葉を換えればネグレクト。
負は連鎖するという悲しい親子関係。
国、民族など関係なくそういったモノはある。
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ペレス警部の自宅を訪れたのは、シェトランド本島に一家で移住してきたヘレナ。彼女はまえの持ち主が納屋で自殺して以降、何者かが家に侵入して謎めいた紙片を残していくことに悩まされていた。その納屋で、今度は近所の家の子守りが死体で見つかり、ペレスが捜査担当者となるのだが──。
第二作を読んで以来、12年ぶりにいきなりシリーズ最終作を手に取ってしまった。過去作も読むことにしよう。
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司書さんから個人的にお借りした本ですが、シリーズ最終巻でした。(なぜこの本を?)
シリーズの主人公はシェトランド署の警部で、過去に婚約していた女性の娘と二人暮らし。
婚約していた女性は目の前で刺殺されたらしく、そのトラウマから抜け出せないでいる。
しかし、シェトランドを含む広域を管轄する主任警部と現在は恋愛関係にあるのだが、今回は二人の間に溝ができて…。
というような複雑な人間関係が、事件と同じくらいの分量描かれています。
事件の背景にあったものはなかなかに重苦しく、読後嫌な感じがぬぐえません。
親に厳しくしつけられ情愛を感じることなく育った父と、親に甘やかされ自分のことしか考えられない母と、親に暴力を振るわれ誰にも心のうちを見せない子守り。
こんな家庭は嫌だな。
または、つねに勝ち組でいたい、負けた自分を認められないまま、子どもを縛り付けることしかできない親。
これも嫌だな。
死体が発見された家は、この島に移住してきたよそ者一家で、都会風をふかした鼻持ちならない人たちであると地元の人のうわさが絶えないフレミング家。
ここも、子どもたちは変わりもので、夫は鬱病で、問題満載だけれど、軌道修正をしようとする意思はある。
小さな島の小さな集落では、秘密を持てようはずがない。
誰もがみんなのことを知り尽くしているのだから。
あー、息苦しい。
そんな島での殺人事件。
よそ者が犯人とでも思わないとやっていけない同調圧力。
あー、鬱陶しい。
それでも面白くて本当に一気読み。
さて、シリーズ最初から読みなおすか?
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ここ数ヶ月かけて読み続けていたシェトランドシリーズがとうとう完結。
最初の頃に抱いていたシェトランドのイメージは
のどかな風景、自然に囲まれた素朴な人々、だったけど、読み終えた今は、
プライバシーゼロ、噂話にあふれた知り合いだらけの場所、というふうに変わった。
シリーズを通して描かれたのはやっぱり家族。
ただただ幸せなだけではない、複雑で、変化しやすく、離れ難い関係を、様々な家族を通して繰り返し繰り返し見せられて来た作品だった。
今回の殺人事件の結末は辛いものだったけど、
メインキャラクターたちのラストは明るい兆しの見えるもので良かった良かった。
いや、でも、ペレスに関しては
わたしとしては「うーーーん」でしたけどね!
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ジミーペレスのシリーズ最終話。何はともあれジミーペレスがようやく幸せになれそうで良かった(子どもが出来たとウィローから聞かされた時の、ジミーの態度は酷かったけど!)。事件の方は犯人も含めて、後味が悪かった。追い詰められた子どもたちと無関心の親、虐待の連鎖。子どもが関わる犯罪はとても悲しい。