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著者のデビュー10周年記念のノンシリーズ短編集。収録作はバラエティーに富んでおり引き出しの多さを実感させられる。とりわけ表題作と「恋澤姉妹」は本当に素晴らしい。「平成のエラリー・クイーン」の惹句はもういらない。
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平成のエラリークイーンと呼ばれている、著者の
大きな挑戦が垣間見れた短編集でした。
館モノ、社会問題、コミックの小説化、百合系、本格脱出ミステリなど、様々なジャンルの作品が並ばれいます。特に表題作の「11文字の檻」は、某有名バラエティの検証企画に類似したテーマだったので、謎解き感覚で吸い込まれるような感覚で読み進めていきました。「加速してゆく」は、JR福知山線脱線事故をテーマにしていて、当時の状況が沸々と思い出してきました。社会問題というのか、過去の出来事がどんどんと忘れていくなかで、記憶を風化させないことが大事なのかと、あらためて実感しました。
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様々なバリエーションのミステリーが読める短編集。特に「恋澤姉妹」が面白い。百合小説なんだけどその設定の面白さ、人物造形の良さとに圧倒される。ロードノベルのような展開とアクションシーンと読み応え抜群。表題作の「11文字の檻」も設定の良さとそこから展開されていく謎解きのようなものがどういう着地になるのか興味深い。全8編収録されているけどどの作品も味わいが違って楽しめる。
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とても面白かった。
これ一冊で雰囲気やジャンルの異なる表情豊かなミステリーがまるっと楽しめるのはかなりお買い得ではないか。
自分的には表題作が一番よかった。秀逸、に尽きる。
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ミステリだったり、ショートショートだったり、漫画のトリビュートだったり、バラエティ色豊かな短編集
以下抜粋して雑感
『加速してゆく』
福知山線脱線事故をテーマに書かれた作品
物語の前半、変に悲劇ぶったりせず、事実を淡々と描写しているような書き方が真に迫る
『噤ヶ森の硝子屋敷』
いかにもな設定のお屋敷、突如現れる個性強すぎの探偵と助手
こういうの大好き(笑
作者によるとシリーズ化したいらしい、期待して待ってます!
『前髪は空を向いている』
わたモテの二次創作と気付いてなおキャラの把握に困難した
何も知らない人が読んだら、理解するの難しいような気がしなくもない
『your name』
「あれ、これ読んだ事あるぞ」→巻末の初出一覧を確認→
「STORY BOX?そんなの読んでないぞ?なんで記憶があるんだ?」→最後に作者の各話解説を確認→
「超短編!大どんでん返し、これだ!これで読んだんだ!」
作品内容とは全く関係ないんだけど、これですげービックリした(笑
『11文字の檻』
少ない情報から真実に迫っていく様子や、主人公たちが置かれている特殊な状況設定などが面白い
小説家である主人公が途中で考える創作への姿勢は、作者の思いを反映させているのだろうかと気になる
『加速してゆく』と『11文字の檻』が特に好き
作者本人による各話解説がついているのも嬉しいポイント
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ノンシリーズで初の短編集。
ショートショートあり、漫画のノベライズありだけど、根底にあるのはミステリ。
どれも完成度が非常に高く、ノンシリーズ、ミステリ多めのノンジャンルでここまでのものは中々読んだことがない。
おすすめは表題作の「11文字の檻」。ディストピアな近未来の日本を舞台に、政治犯が収容された刑務所から脱出するためのパスワードを探す話。敵を相手に少しずつパスワードの選択肢を狭めていく攻防が絶妙。
その他、「恋澤姉妹」のアクション(そこはかとなく西尾維新がチラつくw)、「噤ヶ森の硝子屋敷」の館もの、「加速していく」の日常の謎も捨てがたい。
シリーズ化できそうなキワもの探偵やキャラが多いので、待っていたらもしかしたら。。。と思いつつも、そろそろ裏染天馬シリーズを出して欲しい今日この頃です。
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なかなか面白く読めた。短編集といったても、この中に、長いやつや、短いやつもある。
青崎有吾作品は、なかなかどれも「なるほどなー」と感心させられます。
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雰囲気違う作品が散りばめられていて、楽しめました。あっという間に終わっちゃうのとか、スパイス効いたのとか、バラエティに富んでいて面白かったです。恋澤姉妹、いいですねー。アクション映画で見たいくらいです。しかし、なんといっても地元、沿線住民で日常的に利用しているものとしては冒頭作品のインパクトが強すぎてクラクラしました。あまりにリアルな描写に当時の胸苦しさが蘇り、読めなくなったくらいです。そしてこんなことあったなら、、と思わずにいられませんでした。明言は避けた、と解説にありましたが、登場人物の名前と作中のエピソードですぐわかりましたよ。
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作品ごとに方向性が違っており色々な楽しみ方ができた
脱線事故が題材に書かれていた、加速していくや
前髪は空を向いているなどが好きだった(スピンオフ的なアンソロジーとのことだったが知らなくても楽しめた
飽くまで、は個人的には最後の1ページがない方が好み
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表題作、主人公の相棒(?)に芸人のみなみかわをキャスティングして読んだらかなりいい感じだったのでオススメしたい。
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著者のノンシリーズ短編を集めた「デビュー10周年記念作品集」。巻末に著者による各話解説がついているのが嬉しい。
■加速していく
今年も間もなく4月25日が来る。
解説に、令和改元前夜を振り返って『平成に起きた不都合な事柄の数々を忘れ去ろうとするような、なんともいえない空気を感じていた。そこで忘却をテーマに何か書こうと思った。福知山線脱線事故を選んだ理由は(中略)自身がこの事故のことを忘れかけていたからである』と書いてあったが、忘れない、という意味では、発表当時よりさらに時間が経った今だからこそ、詳細に記載された事故の様子がとても貴重に思えた。
謎解きも当時流行りのTV番組とリンクしていていたが、その頃特異に思われたあの役柄に重なる多鹿くんの秘密といい、ここでもまた時間が経った今のほうがより意味を持つ作品になったように思った。
■噤ヶ森の硝子屋敷/いまだ着手できていないという、探偵・薄気味良悪を主人公にした、残り5つの屋敷をめぐる話もぜひ読んでみたい。
■前髪は空を向いている/人気コミックのノベライズ。その世界の雰囲気は十分楽しめた。
■your name/いつかほかの話にも出したいという、探偵・水雲雲水の続きもこれまた読んでみたい。九州を中心に活動しているというから、そこも楽しみ。
■飽くまで/なかなかダークでした。
■クレープまでは終わらせない/巨大ロボットを清掃するという設定が面白い。田中さんの画集も見てみたい。
■恋澤姉妹/世界最強の姉妹を追って世界中を巡るプロセスとそこで飛び出す話の数々がキュート。
■11文字の檻/文庫のための書き下ろし。戦時下の更生施設での2297の11乗分の一のパスワード当てミステリー。閉塞感とやるせなさが迫る中での亀の歩みの解読作業に息が詰まった。みんな、あの暗号で答が分かるの、凄いなあ。
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ミステリーカテゴリに入れたが、ミステリー以外もある短編集。
まえがきで作家さんが書かれているように内容は様々。ページ数も様々。
「加速してゆく」
実際に起きた事故を取り上げるのは勇気の要ることだが、どのように扱うのかと思って読んでいた。
読み終えてみれば、この作品が一番、私のイメージする青崎さんらしい話だった。
「噤ヶ森の硝子屋敷」
館シリーズに嵌まった人間としては堪らない設定。ただ短編だけにちょっと呆気ない。
探偵役が個性的なので、シリーズ化して欲しい。
「前髪は空を向いている」
遠い昔過ぎて、こういう話は子どもたちの日常を覗き見しているようで気恥ずかしいような。
ただ温かい気持ちで見守った。
「your name」
禿頭の探偵・水雲雲水が気になって、オチを読み流してしまった。
「飽くまで」
阿刀田高さんのようなテイストで面白い。
「クレープまでは終わらせない」
世紀末的な世界で、女の子二人の日常会話が刹那的に映る。可愛らしさと諦めとが印象的。
「恋澤姉妹」
また強烈なキャラクター。近寄る者どころか、彼女たちを知ろうとする者すら葬る最強コンビ。
何故彼女たちは自分たちを知ろうとするものを殺すのか。そこも気になるが、こんな恐ろしい恋澤姉妹を商売にするワラビのような人間にも感心する。
こういう話、若い頃なら嵌まっただろうな。今の年齢だとしんどい。
「11文字の檻」
これまた架空の国、架空の設定。政治犯として捕らえられた主人公が、唯一の解放手段である11文字のパスワード当てに挑む。
表題作だけに一番力が入っていて面白かったが、何より主人公のメンタルに感心した。私ならとっくに折れているだろう。
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一つだけ読んだことはあったが、それ以外は初見だった。短い話ながら、トリックにこだわっているものや、動機にこだわっているものなど様々な種類のミステリが読めて面白かった。
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色々なところで書き連ねた青崎有吾の短編集。
既読一つ。最後の表題にもなっている11文字の檻を読むだけでも、この本を読む価値があるくらい面白かったです。あと、全作品の著者解説付きなのは嬉しい。
「加速してゆく」平成ストライク
「噤ケ森の硝子屋敷」謎の館へようこそ 白
「前髪は空を向いている」私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!小説アンソロジー
「your name 」STORY BOX
「飽くまで」メフィストリーダーズクラブ
「クレープまでは終わらせない」田中寛崇作品集ENCOUNTER
「恋澤姉妹」彼女。百合小説アンソロジー
「11文字の檻」書き下ろし
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【収録作品】加速してゆく/噤ヶ森(ツグミガモリ)の硝子屋敷/前髪は空を向いている/your name/飽くまで/クレープまでは終わらせない/恋澤姉妹/11文字の檻
著者による各話解説が巻末にある。
「加速してゆく」JR福知山線脱線事故が題材。
「噤ケ森の硝子屋敷」全面ガラス張りの屋敷で起きた不可能殺人。仲介屋・琵琶と事故物件収集探偵・薄気味良悪(ヨシアシ)登場。
「前髪は空を向いている」『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の公式二次創作。
「your name」探偵・水雲雲水。超短編。
「飽くまで」飽きっぽい男の犯罪。
「クレープまでは終わらせない」巨大ロボの清掃バイトをする女子高生の話。
「恋澤姉妹」百合作品。暴力的。
「11文字の檻」反政府思想の持ち主を集めて隔離した施設。囚人たちは解放されるため、11文字のパスワードを考える。ありそうな近未来に皮肉な結末。