投稿元:
レビューを見る
能力は環境次第で移ろうもの。能力という言葉を使った社会の仕組みを母と子の対話でほぐしていく感じがとても良かった。今まで読んだ能力主義に関する本とは別の着地点であり新鮮でした。
投稿元:
レビューを見る
『#「能力」の生きづらさをほぐす』
ほぼ日書評 Day628
ご自身が乳癌と闘病中の著者が、万が一にも命を失うことになったら…という想定で、15年後の愛する子供達に送るメッセージ。
"お兄ちゃん"である、新卒2年目で「できない奴」のレッテルを貼られ悩んでいるところへ、元人事開発コンサルの母が降臨するという、メチャクチャな設定ながら、それに続くストーリーは"HR基礎"の副読本として十分にオススメできる内容。
過去の実績を、その人の「能力」として捉える「メリトクラシー」。本来、「能力」とは未来に向けたポテンシャルも含めて評価すべきものではないか、という批判的考察。
さらに日本の能力主義では、学力(より正確には、学業の実績)が最重要視されてきたが、1980年代以降は「人間力」「生きる力」「コミュ力」等にも目を向ける「ハイパー・メリトクラシー」が台頭した。
同時に個性を重視する風潮も強まったが、その最先端を行くとされた慶應SFC(湘南藤沢キャンパス)の卒業生が就職先企業で"進歩しすぎ"(で協調性がない)として評判が下がり、結果、カリキュラムも"標準的"なものに修正されたとのこと。
ひとりひとりの「能力」よりも重要なのは「組織風土」、それを形作るのはトップの「リーダーシップ」、リーダーたるべき人に共通して見られる行動パターン、すなわち「コンピテンシー」モデル、さらには「性格」のように容易に変えられない要素を、いかに陽の光のもとに晒し、それらを活用して組織づくりを行うか。
「あなたは発達障害です」のような確定診断を得ても、事態は変わらない。
そんなこんなが、母と息子&娘の会話形式で、さりげなく語られる。
https://amzn.to/3HFrDuk
投稿元:
レビューを見る
「能力」という言葉に振り回されながら生きていることを痛感。
お子さんに対する対話形式の文章も読みやすかった。
マクレランドのコンピテンシーの説明がとても分かりやすく腑に落ちた。
「葛藤の除去に盲進しない」という言葉が印象的で目の前にあることを大事にしていきたいなと強く思った一冊。
投稿元:
レビューを見る
言い回しがややくどいので読みづらかったけど、改めて「個人の性格やメンタルまでもが『能力化』されてしまっている」と気づかされる一冊だった。
ずっとモヤモヤしてた、メンタルの「強い」「弱い」という言葉。これも会社など業績を図られる、競争させられる現場で使われることが多い。そもそもそのメンタルは環境や関係性にフィットしているかどうかでしかないうえに、職場以外の要員も複雑に絡み合ってくるので、その二項対立で語る方が間違っている。
あくまでその人のパフォーマンスは「関係性次第」というのが筆者の主張。僕もそう思ったし、そう考える経営者が増えていって欲しいなと切に願う。
あと何かのプロット図で、引用されていたYさん、まさに自分のことかと思った。めっちゃ人の顔色気にするタイプなのです。リモートワーク、ずっとしんどかったのってまさにそれが原因なのかもしれないなあ。
投稿元:
レビューを見る
感想
業績評価の限界。能力とは個人の素質と環境の掛け算。1人の個人の中にあるものではなく外部との境目に存在する。理解せずに能力開発は困難。
投稿元:
レビューを見る
【◯◯力に飽きてた私に刺さる一冊】
人材開発業界が成功した
「能力」の商品化
常に「◯◯力」が足りないと
欠乏を突きつけられる現代社会
なぜ能力は商品になったのか
どこまでいっても
能力が足りないのはなぜか
能力という強い光の裏側に迫る
どんな能力も
1人きりでは発揮できないよ
投稿元:
レビューを見る
あらゆる〇〇力が取り沙汰されるこの時代に、接種しておくべき処方箋のような本。
語りのスタイルがまず、よい。
専門家として、息子と娘には話しておきたいことだと思ったのだろうか。
大事な人へのお話を分けて貰えたようで、心地よかった。
バッサリ答えをだす本ではない(むしろバッサリキッパリさせようとした結果、能力主義の風潮で生きづらくなっていると説いている)ので印象には残りづらいかもしれないけど、いい本だとおもう。
投稿元:
レビューを見る
組織開発のコンサル事業を行う著者のリアルな事例も交えた、内省の仕方など。大きな組織改革の話に見えて実は自分で変えるヒントなども。社会人の初めに、著者に巡り会えたことに改めて感謝。
投稿元:
レビューを見る
「仕事ができる人」と言われている人でも
別の環境に行けば「無能」になることだってある。
となると、「能力」とは本当になんだろう。
自分たちのイメージでしかなくて、具体的な答えはない。
そんなによく分からないことに苦しめられている人が少なからず一定数いて、でも「あの人は仕事ができない」っていうのは、あたかも事実かのように語られている。
しかし、それが事実とは限らない。
社会人として働いている身としては、能力がないなんてことは誰にも起こり得ない。
その人の力、良さをいかに発揮させてあげられる場所にするかが、一緒に働いている人の役目なのではないかと感じた。
投稿元:
レビューを見る
就活生ら若者は必読ではないかな。システムに食いつぶされないために、この社会を生き延びる言葉を積み重ねよう。本書はそのためのいい武器になる。
社会に出ると、私たちはいつの間にか「○○力」のモノサシにからめとられ、せかされる。でも、能力はニュートラルに存在するわけじゃない。「「能力は固定的に存在するわけではなく、関係性次第」(p124)。評価する人、ともに働く人がいてこそ、能力が発揮されたりされなかったりする。
それなのに、個々のその人だけの自己責任視するのはどうだろう。その人のせいにする前に、環境に目を向けたっていいはずだ。実はここには、人材開発とメンタルヘルスの一致団結した「金のなる木」(p206)があるとする本書の指摘はすごい。
働くのが苦しい人、特に若い人たちは、能力を磨く前に、病院に行く前に、まずは本書を手に取ろう。何より、母が語るというこの構成が泣ける。本書で言及される磯野真穂「他者と生きる」も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
「能力」が商品化され、人の心を蝕み、「メンタルヘルス」という受け皿と共に、市場が広がっているーーー。
そんな構図を、わかり易く見せてくれた本。
?と思うもの(今の場合は「能力開発」)に値段がついて(価値がついて)、いつのまにか、市場経済のループに嵌め込まれ、無限の輪っかを回すハムスターのように忙しい。
そして、なんだかとっても苦しい。
この苦しさは、いつか終わりが来るのだろうか、、、
どんな物語を心に描いたら頑張り続けられるのだろうか、、、
そんなモヤモヤの背景を言葉にしてくれて、ありがとうございます。
限りある人生、全うされますように。
もちろん、私も。
投稿元:
レビューを見る
まず抗がん治療をされながら、会社を経営して育児家事をこなして執筆された筆者様のバイタリティというか、信念の強さに敬服いたします。
何度も転職をしたので市場価値や能力査定というワードに毎回疑問を感じていたのですが、人材業界側からみた能力査定の歴史を知り、なるほどーと。
能力と言っても、それはあくまで個人の一側面であって、優劣はつけられないのが本来の能力だと。置かれた環境次第で個人の能力の発揮され具合も変わるので、個人による努力以上に、採用前の人物像の明確化と採用後のフィッティングが大事だよ、と。
ほんそれー!と納得しかないのですが、実際の会社で新卒や転職者にそんなに丁寧にフォローする人事はいないので、自分で気づいて調整していけるやつが出来るやつ、みたくなっちゃいますよね。
でもこの本読んで、自分の会社での評価が絶対値じゃないんだよ、ほんとに悩んでるなら他に行けばいいんだよ、って思える新人さんは多いと思う。我が子が就職したら送りたい本ですね(何年先なの)
投稿元:
レビューを見る
能力ってわけわかんないくせに
社会のあらゆる評価基準に
組み込まれているよね、という本。
生きるって心細いことだわー。
(まずは読後すぐに思った一言)
投稿元:
レビューを見る
時代とともに変化する、社会が求める「能力」の曖昧さ。人材開発業界が生んだ「能力商品」の数々。組織がうまくいくためには、個人の「能力」よりも、他者との「関係性」が大事。「能力」に関するさまざまなことが分かり、少しだけ気持ちが楽になった。
「排他的な基準に振りまわされないことは、自分を尊重することであり、他者を尊重することだ。」
投稿元:
レビューを見る
魂のこもった一冊。
著者本人の血がインクになったような内容にも関わらず、知らず知らずのうちに自分の中で常識化されていた価値観や既成事実を対話形式で分かりやすくときほぐしてくれる。