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探偵役の魞沢(えりさわ)くんは、探偵らしくない探偵だ。
物語の背景に溶け込むというか、ガツガツしていない。ていうかこの短編集自体、ミステリー小説っぽくない。
話全体も柔らかい雰囲気が纏っているんだけど、語られる真実は結構えげつない。
手放しのハッピーエンドはないし、皆何かしら喪失している。
「蝉かえる」は終わり方がとても好み。余韻が残る。雨のシーンが好き。
「彼方の甲虫」は運命って残酷だなと思う。どうしてこうなったの、とやるせない思いを感じた。
「ホタルの旅」は薄々感じていることが、どうか当たらないでと祈りながら読んだ。
毎回主人公の読み方忘れるんだけど、ようやく覚えられた(笑)
次回作が出たときまで覚えていたい。
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読み終わってしまった…
あー、良かった…。
法月綸太郎さんの解説や帯にもある「読み終わるとため息が漏れ、また読むことができてよかったと思う」一この一文に尽きます。
一気読みしたくなる良本と読み終えたくない良本があるけど、『 蝉かえる』は私の中では両方持ち合わせてる一冊。過不足のない連作短編でした。
情に厚いけど、決して情に流されない。交友関係が狭くとも、深い。思慮深く、優しい魞沢泉にこれから先も会えますように。
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蝉かえる★★★★
コマチグモ★★★★
彼方の甲虫★★★★
ホタル計画★★★★☆
サブサハラの蝿★★★☆
前作「サーチライトと誘蛾灯」よりも、キャラクターやストーリー展開、会話のやり取りも洗練されていて、どの話も面白かったです。
個人的には「ホタル計画」が特に気に入っていて、派手さはないが、意外な結末や伏線回収のキレが良かったです。
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真相がみえた瞬間、同時にやり切れない人間模様が明らかになる。本書はどれもそんな切なさが籠もった短編でした。そういう話、好みです。
『蝉かえる』『コマチグモ』は共に前評判通りの面白さでしたが、それより主人公の内面を描こうとしているような書き下ろしの三篇が特に気に入りました。
本書内の魞沢くんと丸江ちゃんの会話
「虫と同じ程度には、人間にも関心があるんですけど」
「観察するだけじゃなく、相手にも自分をさらけださなくちゃ」
観察することで真実を見抜く探偵役・魞沢くんに対する人間関係構築のアドバイスは、今後のシリーズのテーマになりえそうです。
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一体何が起こったのか、起こりつつあるのかを解き明かすホワットダニットが軸となる5編。絶妙な反転で思わぬ真相が待ち受ける連作で、表題作の結末は鳥肌ものだし「ホタル計画」のミスリードにはまんまとしてやられた。「彼方の甲虫」から最後の「サブサハラの蝿」への流れもいい。何と言っても、ふんわりした人間味ある探偵役・魞沢泉の魅力に尽きる本作。シリーズの今後も楽しみ。
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前作に引き続き、今作もとても・・・良かった・・・
特に表題である「蟬かえる」と「彼方の甲虫」、「サブサハラの蠅」が良かったです・・・
魞沢の人間味というか、人を思いやる気持ちが不器用ながらも直球で、
昆虫にしか興味がなさそうに思える反面、人に対しても真摯に向き合っているように思えました。
サブサハラの蠅の最後、友人との会話が魞沢らしい言葉で暖かい気持ちになりました。
また続編ということもあり前作に登場した人物や、
一部話が繋がっているところもあり、そういった意味でも楽しめました。
相変わらずこの読了後の雰囲気が堪りません。
また続編が出ることを心待ちにしてます。
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魞沢泉が羨ましい。
興味関心が虫に一点集中しているようでありながら、思いやりにあふれている。
人として大切なことを通せるかどうか、は、自分の足場を持っているかどうかなのかもしれない。
リアルな虫は苦手だけれど、生物知識として、虫は本当におもしろい。ヒトとは異なるその生態が、ミステリーを解く鍵になることがおもしろいし、よくある探偵物とは異なり、虫愛に導かれるように、謎が解けてしまい、人への思いが行動を導く魞沢泉。
今までにないミステリーだ。
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評判が良かったので久しぶりに日本のミステリを。連作短編集は好み。最初、誰が主人公なんだろうと思いながら読み進めた。それくらい筆者とそれぞれの登場人物との距離感が等しく、どの話にもその姿勢が貫かれていたようにも思う。個人的にはホタルの話が好き。時代が違うことに後で気付いた。面白かったので、母にもすすめました。
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短編の、昆虫にまつわるミステリー小説、とても面白く、イッキに読み通しました。泉のこれからの活躍に期待ですね。
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「小説の名探偵は、登場人物の怪しげな言動に手がかりを見いだす。しかし本書においてもっとも怪しいのは、探偵役の
魞沢泉である。」(文庫版あとがき)って面白い。
法月綸太郎の解説、ホワイダニットとホワットダニットの話、本書の読み解きにすごく参考になった。
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推協賞受賞作の文庫化ってことで入手・読了。連作短編集ってのも良い。どちらかというと”日常の謎”寄り。虫を絡めてっていうのも、ちょっと珍しい視点だからアリ。会話パートが多く、サクサクっと読み通せる。総じて好印象。
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『サーチライトと誘蛾灯』に引き続き読みました。
読み終わってしまった悲しさが…
切なく涙が零れ落ちるような、でもどこか暖かく言葉で表せない読後感でした。
読むことができて本当によかったです。また魞沢くんに会えるのを楽しみにしています(紙魚の手帖買おうかな…)
まだ読んでない方はぜひ『サーチライトと誘蛾灯』から読んでください。感動が倍になります!
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前作同様,日常の謎が非日常の入口になる展開だが,非日常の深度と物語としての完成度が他の追随を許さない独創性を有しており,次作以降の作品群が楽しみ.
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面白かった!
虫は得意じゃないけど全然問題なかった。
主人公の魞沢泉のとぼけたキャラや発言にクスッとくるし、あっという間に読了。
"彼方の甲虫"の
明日がくることと、ぼくに明日があることは、同じではないのです
というセリフが今の私には刺さった。
このセリフから予期せぬことが起きるなんて思ってもなくて切なかった…
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昆虫は苦手で、しかも前作を読んでないのに手に取ってしまい、読み始めてから苦手分野ということがわかったのに、面白くてどんどん読みすすめ、最後は読み終わるのが惜しいくらいでした。前作も読みます!